●友達として選んだのなら、そこに自分の人生や命を捧げる
―― 人間の生き方として、どのように、まずは信頼を得るかということ。あとイギリスの例で、同盟という話がありました。
執行 同盟、約束ということですね。
―― 人間関係に置き換えると、友達の選び方はどうでしょう。
執行 選んだのなら、昔から言われていることですが、そこに自分の人生や命を捧げる。結婚と一緒です。捧げたあげくに失敗したとしたら、それは運命ということです。山本常朝は、それで犬死にするなら犬死にでいいと言っています。
ただ私は、本当に友情や愛情に命を捧げてダメだったとしても、それを失敗だと思いません。人生も。過去のいろいろな歴史も読んでも、みんな死んだりしても失敗だと思っていない。人が愛のために死んだとか、友情のために死んだことを失敗だと取りますか?
―― それは「見事な生き方」ということですね。
執行 そうです。「見事な生き方」ということは、成功者なのです。生命としては。私が言っている武士道は「生命としての燃焼」ですから。生命燃焼したうえでの結果は、すべていい。それを人が犬死にと言おうが何と言おうが、いいということです。だから愛とか友情も、選んだら命を懸けるということです。
―― 先ほど約束の話で、必ず果たすのだから、する約束を選ぶとありました。友達の場合も……。
執行 選びます。選ばなきゃダメです。
―― こいつのためなら死んでもいいという。
執行 そういう友達ができたら、そうしなきゃダメです。どこかの時点で、それを決める。愛情にしても、結婚式とか決める時点があります。決めたら、やらなきゃダメということです。
―― それはもう覚悟ですね。そういう覚悟を持つかどうか。
執行 ではダメだった場合は、どうするか。「約束を破った、どうしようもない卑怯な人間だ」という自分と直面しなければならない。その自分をどう立て直すかは、その人の責任です。
―― そこは完全な失敗というわけではないのですね。失敗を受け入れて、では自分がどうするか。
執行 受け入れるかどうかはわかりませんが、「そういうものだ」と認識する。
●勝ち負けに拘泥せず、信義に生きる
―― そのあたりは「人生の勝利条件」とも関わってくると思います。
執行 「勝利」というと、どうも言葉が気に入らないですよね。
―― 「武士と...