渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
三十年戦争…宗教戦争の地獄図とドイツ宗教社会への影響
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(4)三十年戦争の悲惨
渡部玄一(チェロ奏者)
ウェストファリア体制は「近代ヨーロッパの始まり」といわれる。しかし、それに先立つ「三十年戦争」は災厄と呼べるレベルの宗教戦争であった。それがあまりに悲惨な戦争だったために、その後、ドイツでは、根強い宗教対立感情は残るものの、社交の場で「宗教の話」を持ち出すことはタブーとされるまでになった。だが、ウェストファリア条約で「領主の宗教がその地区の宗教」という決まりごとが確定することになったため、その人がどの宗派に属するかは、出身地次第という姿になっていく。作曲家の多くも、だから出身地の別によって宗教が分かれているのである。(全6話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分23秒
収録日:2021年8月6日
追加日:2021年11月13日
≪全文≫

●三十年戦争で1800万人の人口が900万人まで減った


―― 本書で、「まさにドイツだなあ」と印象深く思われるのは、渡部昇一先生がカトリック社会とプロテスタント社会の両方を描いているところです。ドイツは皆さんご案内のように、三十年戦争という非常に苛烈な宗教戦争がありました。

渡部 その中心地になったところですね。

―― そうですね。昇一先生も書かれていますが、当時1800万人の人口が900万人まで減ってしまうほどの殺し合いが行われました。それで結局「ウェストファリア条約」が発され、領主の宗教がその地区の宗教という決まり事になっていくわけです。

 そのために、その対立が根深く残っている。昇一先生が行かれた時代でも、カトリックの方とプロテスタントの方の対話集会があると、集まるのは本当に善男善女の皆さんなのだけれども、話を聞いていくうちに、戦時中の日本の「鬼畜米英」のような話になってきて、「お前がどうだった」「ああだった」となりかねない。400年前はさぞ大変だっただろうということも書かれていました。

 だからこそ、たしなみとして「お前はどっちの宗教なんだ」という質問はしない。当時のドイツでは、自分がカトリックで、好きになった相手がプロテスタントだったら、結婚できるかできないかのような話も含めて書かれていました。先生ご自身が行かれたときのご経験では、何かお感じになったことはございましたか。

渡部 私は1年しか行っていませんし、その後も長期旅行では訪れましたが、それほど住民たちの中に入り込めたわけではありません。そのため、私自身はエヴァンゲリッシェ(プロテスタント)とカトリックの人が争っているような場面は見たことがないし、基本的にはなかったと思います。彼らがもし論じ始めれば、それなりに論争になるでしょうが、おそらく父の時代ほどではないのではないかと思います。

 そもそも「宗教の話はしないのがたしなみだ」と言われていたのは、やはり三十年戦争を経たからです。

 30年のあいだに1700万人ぐらいいた人口が800万人に満たないような状態になった。原爆があったわけでも、機関銃があったわけでも、大砲があったわけでもない時代です。そんな頃にそれほどの状況になったのは、いかに他者が他者に対して残酷になったかということです。

 そのうち、それは単なる宗教的対立を超えてヨーロッパの主導権争いの戦...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー
「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
生成AI「Round 2」への向き合い方(2)ハードで動くCopilot
Microsoft Copilotの革新性…想像がつかない世界に
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治