渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」
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終戦後ドイツの復興を支えたキリスト教と「教会の力」
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(3)大いなる「教会の力」
渡部玄一(チェロ奏者)
日本とドイツはともに第二次世界大戦の敗戦国として奇跡的な経済復興を遂げた。ドイツの場合、日本人の想像以上に、実はキリスト教の力によるところが大きかった。しかも、教会が果たした役割はとても大きいものだった。キリスト教の最も大切な原点は「原罪」にあり、そのため戦後のドイツで贖罪意識が強まったことが、クリスチャンらしさを濃く際立たせる1つの契機となった。そして、戦後のドイツを、教会に人と金が集まるシステムが支えたのである。(全6話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分30秒
収録日:2021年8月6日
追加日:2021年11月6日
≪全文≫

●戦後10年、贖罪意識の強かったドイツにいた渡部昇一


―― 特に渡部昇一先生の留学先がドイツだったのは、非常に大きなことだったと思っています。

渡部 非常に大きかったですね。『ドイツ留学記 下』の巻頭にも書かれていますが、当時、(在欧)アジア・アフリカ留学生機構というものがありました。ヨーロッパ全体の機構で、ヨーロッパに世界中から来ているアジア人、アフリカ人がつくっているソサエティです。

 そこでアンケートを取って「最もキリスト教的な国はどこか」と聞くと、だれもが「ドイツ」と答える。当時のドイツといえばナチスの記憶も新しいところで、非常に贖罪意識の強い状況でした。

―― (当時)戦争が終わって10年ですからね。

渡部 そうです、戦争が終わってから10年です。キリスト教の最も大切な原点は「原罪」で、そもそも誰もが罪を持っているということなので、「アダムとイブ」以来、罪のないところにはキリスト教もないというほどです。よって、(当時は)最もキリスト教らしくなりやすい状態であったうえに、ゲルマン人というのは昔から非常にお客さまをもてなすのです。

 ギリシャ語から派生した言葉で、ラテン語のほうでは「敵」になるのですが、ドイツ語では「ガスト(ゲスト=客)」になります。その言語学的な語源の違いも本書に書いてあります。

 そうしたゲルマン的な饗応の伝統があったうえに、熱にうかされたようなナチスの動きが終わった後で、ドイツ人は(もてなしに対して)非常に積極的になっていました。そのように外国人として一番暮らしやすい時期に父がそこにいたのは、非常にラッキーなことだったと思います。


●想像を絶するもてなし――ドイツの特別な親切さ・安心感


渡部 私も留学時代にドイツへ1年行きましたが、そうした彼らの親切さを非常に強く感じました。もちろんラテン系の国にも親切な人はたくさんいると思いますけどね。

 留学前の、もっと若い頃に、私はヨーロッパを遊学したこともあります。ユーレイルパスというヨーロッパの鉄道が乗り放題になる制度を用いて、さまざまな国を放浪しました。観るものに関してはやはりイタリアなどが突出していますが、その国に入ると安心感があるのはドイツで、それはもうだれもがものすごく親切にしてくれました。

―― 安心感というのは、親切さからくるものですか。

渡部 そうですね、親切で...

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