渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
終戦後ドイツの復興を支えたキリスト教と「教会の力」
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(3)大いなる「教会の力」
渡部玄一(チェロ奏者)
日本とドイツはともに第二次世界大戦の敗戦国として奇跡的な経済復興を遂げた。ドイツの場合、日本人の想像以上に、実はキリスト教の力によるところが大きかった。しかも、教会が果たした役割はとても大きいものだった。キリスト教の最も大切な原点は「原罪」にあり、そのため戦後のドイツで贖罪意識が強まったことが、クリスチャンらしさを濃く際立たせる1つの契機となった。そして、戦後のドイツを、教会に人と金が集まるシステムが支えたのである。(全6話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分30秒
収録日:2021年8月6日
追加日:2021年11月6日
≪全文≫

●戦後10年、贖罪意識の強かったドイツにいた渡部昇一


―― 特に渡部昇一先生の留学先がドイツだったのは、非常に大きなことだったと思っています。

渡部 非常に大きかったですね。『ドイツ留学記 下』の巻頭にも書かれていますが、当時、(在欧)アジア・アフリカ留学生機構というものがありました。ヨーロッパ全体の機構で、ヨーロッパに世界中から来ているアジア人、アフリカ人がつくっているソサエティです。

 そこでアンケートを取って「最もキリスト教的な国はどこか」と聞くと、だれもが「ドイツ」と答える。当時のドイツといえばナチスの記憶も新しいところで、非常に贖罪意識の強い状況でした。

―― (当時)戦争が終わって10年ですからね。

渡部 そうです、戦争が終わってから10年です。キリスト教の最も大切な原点は「原罪」で、そもそも誰もが罪を持っているということなので、「アダムとイブ」以来、罪のないところにはキリスト教もないというほどです。よって、(当時は)最もキリスト教らしくなりやすい状態であったうえに、ゲルマン人というのは昔から非常にお客さまをもてなすのです。

 ギリシャ語から派生した言葉で、ラテン語のほうでは「敵」になるのですが、ドイツ語では「ガスト(ゲスト=客)」になります。その言語学的な語源の違いも本書に書いてあります。

 そうしたゲルマン的な饗応の伝統があったうえに、熱にうかされたようなナチスの動きが終わった後で、ドイツ人は(もてなしに対して)非常に積極的になっていました。そのように外国人として一番暮らしやすい時期に父がそこにいたのは、非常にラッキーなことだったと思います。


●想像を絶するもてなし――ドイツの特別な親切さ・安心感


渡部 私も留学時代にドイツへ1年行きましたが、そうした彼らの親切さを非常に強く感じました。もちろんラテン系の国にも親切な人はたくさんいると思いますけどね。

 留学前の、もっと若い頃に、私はヨーロッパを遊学したこともあります。ユーレイルパスというヨーロッパの鉄道が乗り放題になる制度を用いて、さまざまな国を放浪しました。観るものに関してはやはりイタリアなどが突出していますが、その国に入ると安心感があるのはドイツで、それはもうだれもがものすごく親切にしてくれました。

―― 安心感というのは、親切さからくるものですか。

渡部 そうですね、親切で...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(2)プロジェクトの複雑性とマネジメント
コスパが鍵!? 顧客満足につながる品質マネジメントとは
大塚有希子
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ