第二次世界大戦とソ連の真実
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
大粛清、そして対日工作…スターリンの思惑と戦争への道
第二次世界大戦とソ連の真実(3)大粛清と戦争準備、そして対日戦略
福井義高(青山学院大学 大学院国際マネジメント研究科 教授)
ソ連では1937~1938年を中心に行われた大粛清で約70万人が殺害された。その大きな理由は、迫りくる戦争に向けた国内体制の整備だったともいわれている。それと同時に、赤軍の増強や日本への空襲の予行演習など、国内外で戦争に向けた準備が行われていく。プロパガンダを重視していたスターリンは、表向きには「平和勢力」を装いながら、1938年の『共産党』のプロパガンダ会議では、攻撃戦争の姿勢を明らかにしている。日本はスターリンの画策通り、戦争への道を進んでいくことになる。(全4話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分44秒
収録日:2021年12月6日
追加日:2022年4月8日
≪全文≫

●大粛清は戦争に向けて国内の体制を整える手段だった


―― 続いては、1937年の大粛清が始まった理由です。最近では、諸外国での研究がかなり進んできているのでしょうか。

福井 そうです。1937年と1938年の2年間で約70万人が処刑されました。1年365日で単純に計算すると、毎日1000人処刑されたということです。老人も含めた、当時の成人男子の1パーセントが処刑されました。

 それに対して、なぜこのような大規模な自国民に対する大粛清(テロル)が行われたかというと、以前はスターリンの病的な猜疑心だという人も多かったのです。例えば、スターリン研究の第一人者といってもいい、ロシアのオレーク・V・フレヴニューク教授と、アメリカ・インディアナ大学の黒宮広昭教授の二人によると、資本主義国との戦争が不可避の中、戦争に備えて、「戦争が始まった場合、内部から攪乱するような社会の『第五列』の連中は根絶しておかなければいけない」とスターリンが考えたということです。

 黒宮教授の表現を借りると、「大粛清は戦争準備のための国内向けの先制攻撃」だったということです。実は、その大粛清の段階ですでに収容所に入っていた人も処刑されています。物理的に抹殺しておかないと、国内が戦場になったら、この人たちが逃げ出すか、あるいは敵に利用されるかもしれないからです。戦争に備えるために、もうこの世から亡き者にしなければいけないということです。

 実際に処刑された人たちの容疑を見ると、実はドイツよりも、ポーランドや日本のスパイといった容疑で捕らえられた人のほうが多いのです。当時のロシアは西側ではポーランドと国境を接し、東側では満州国を通じて日本と国境を接していました。そのため、最初に戦争をするとすれば、当時の段階ではポーランドと日本だったからです。


●大粛清が独ソ戦勝利に大きな影響を与えた


―― 大粛清については、むしろ国力を弱めたといった意見や、スターリンがある意味でひどく狂ってしまったがために、第二次世界大戦で独ソ戦が始まった時ドイツに攻め込まれてしまったのではないかなどという見方があったりもします。しかし、そうではないということですね。

福井 もちろん、(そのことについて)大粛清がある程度の影響があったことは確かです。非常に厳しい戦争になったときに、何よりも大切な...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(1)厚木飛行場に降り立った占領者
敗戦した日本の武装解除はなぜ無血だったか…その背景とは
島田晴雄
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『昭和16年夏の敗戦』と『昭和23年冬の暗号』
『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(8)『オデュッセイア』の世界的影響
オデュッセイアが物語のフォーマット?…アラビアンナイトから百合若物語、ひまわりまで
松村一男
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎