チームパフォーマンスを高める心理的安全性
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
心理的安全性を阻む「集団主義」と「権威勾配」
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(4)日本の特性と心理的安全性の誤解
青島未佳(一般社団法人チーム力開発研究所 理事)
心理的安全性がいかに大切な概念でも、日本の文化の中で本当に根づくのかという問題がある。日本では「集団主義」と「権威勾配」に支配されるあまり、その自覚すら失っているからだ。また、心理的安全性という言葉が流行しているがゆえに招いているいくつかの誤解も、この概念を必要な場所から遠ざけていることは否めない。(全7話中第4話)
時間:14分03秒
収録日:2022年4月26日
追加日:2022年8月13日
≪全文≫

●日本の文化の特徴ともいえる「集団主義」と「権威勾配」


 今回は心理的安全性について、もう少し深めていきたいと思います。日本の文化で、この概念は本当に根づくのかといったところについてです。

 実は、この概念は欧米から来ています。面白いことに、心理的安全性はアメリカ人であるエドモンドソン氏がその重要性を強調しました。あれほど主張が当たり前の文化であるアメリカにおいて、心理的安全性が必要だといわれているのです。

 では、日本にこの概念が本当に浸透していくことができるのだろうかという懸念について、私もいろいろな方々から問われることが多くなっています。

 エドモンドソン氏は、「心理的安全性の概念は文化によらない」とも伝えていますが、本当にそうなのかという疑問もまだ残っているのではないかと思います。なぜなら、日本の文化の特徴的なところに心理的安全性に関係することが二つほどあると思うからです。

 一つ目は「集団主義」、二つ目が「権威勾配」です。日本は非常に集団主義で、上意下達が強いと感じています。その中で心理的安全性を構築しようというのは、ややハードルが高いと感じられる方も多いのではないかと思います。

 一つ目の集団主義ですが、われわれは日本の文化の中で生きていると、知らず知らずに「空気を読みなさい」、もしくは空気を読まないことに関して「水を差すな」と言われていることが多いのではないでしょうか。数年前に「KY」という言葉が出てきたように、やはり空気を読まないと人間扱いしてもらえないようなところが日本の文化には少しあるのかなと感じています。


●空気を読む――日本固有の文化と「抗空気罪」


 このことは書籍にも書いていますが、山本七平氏の『「空気」の研究』の中に、以下のようにあります。

「『空気』とはまことに大きな絶対権をもった妖怪である。一種の『超能力』かもしれない」

『「空気」の研究』の中で言及されているのは、戦艦大和の突撃です。なぜあれが起こってしまったかということについて、(山本氏は)「専門家ぞろいの海軍の首脳に、『作戦として形をなさない』ことが『明白な事実』であることを、強行させ、後になると、その最高責任者がなぜそれを行ったかを一言も説明できないような状態に落とし込んでしまうのだから」と書かれました。

...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(5)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈下〉
『武功夜話』は偽書か?…疑われた理由と執筆動機の評価
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治