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セキュアベースリーダーシップ、安心感と挑戦の両輪が重要

チームパフォーマンスを高める心理的安全性(6)セキュアベースリーダーシップ〈上〉

青島未佳
一般社団法人チーム力開発研究所 理事
概要・テキスト
「チームの7割はリーダーが決める」といわれるほど、チームにおけるリーダーの存在は重要である。多様なリーダーシップ論がある中、心理的安全性を高めるには「セキュアベースリーダーシップ」が役に立つ。これは「思いやり」と「挑ませる」を両立する、バランスの問われるリーダーの在り方である。(全7話中第6話)
≪全文≫

●リーダーシップが心理的安全性に非常に寄与している


 最後に、(2回に分けて)「心理的安全性をつくるリーダーシップ」についてお話をしていきたいと思います。

 ここに書いてある通り、統計的な観点からリーダーのリーダーシップがチームに非常に大きな影響を与えます。そのチームの7割はリーダーが決めるともいわれているぐらいです。

 われわれの研究に、ある自動車販売店の事例があります。50ほどある中でも下位のチームに「再生屋」と呼ばれる店長が来ると、半年から1年ほどで、たとえ最下位だったチームでもトップ3ぐらいまでには入れるようになる、という事例を見てきました。そのぐらいリーダーの存在が非常に重要だといわれているのです。

 学術的な研究の中でも、リーダーシップが心理的安全性に非常に寄与していることは証明されています。リーダーシップが心理的安全性に寄与すると、コミュニケーション、相互協力、目標共有などを媒介してチームパフォーマンスが上がるといわれています。


●「セキュアベースリーダーシップ」の考え方


 今回、特にご紹介したいのは、リーダーシップの中でも「セキュアベースリーダーシップ」です。近年、サーバントリーダーシップやインクルーシブリーダーシップなど、いろいろなリーダーシップの在り方が提唱されていますが、心理的安全性のつくり方に一番寄与できるのはセキュアベースではないかと私は考えていますので、こちらを紹介できればと思います。

 それではセキュアベースとは何かですが、日本語でいえば「安全基地」になります。心理学者のジョン・ボウルビィ氏とメアリー・エインスワース氏が提唱したもので、発達心理学の概念になっています。

 彼らが対象とするのは子どもで、「成長過程の中で子どもには安全基地が必要である」「帰る場所や安心できる場所があって初めて人は挑戦できる」と考えられています。子どもにとってのセキュアベースは、親もしくは主たる養育者です。子どもの成長過程で、安心できる場所や、何かあったときに帰ってこられる場所があるからこそ、外界の未知の世界に挑戦できるといわれています。セキュアベースは、今の社会心理学...
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