もっと知りたいイヌのこと
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
イヌを通じて広がる「イヌ友」コミュニティのメリット
もっと知りたいイヌのこと(3)社会的動物としてのイヌ
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
サルの社会性については研究が多いが、イヌの社会性に関する研究は最近始まったばかりである。人間はサルの仲間であり、イヌとは違った系統なので、行動にも違う部分が多い。たとえばサルは「個食」だが、イヌは同じものを分け合って食べる。そのことは社会性にどんな影響を及ぼしているのだろうか。(全3話中第3話)
時間:8分48秒
収録日:2023年3月29日
追加日:2023年6月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●イヌの社会性とサル類の社会性の違い


 最終回では、私がこの頃思っていることをお話ししたいと思います。私も夫も、まず自分がサルであることに加えて、心理学でもサルの研究をするので、社会性については「サルの社会性」を当然のように研究してきて、これが社会性というものだと思っていたのです。ところが、3匹のイヌたちと暮らした結果、イヌの社会性というものはサルの社会性とずいぶん違うことが分かってきました。

 もちろんイヌは食肉目の肉食動物であり、サルは霊長目なので、系統的にずいぶん違いがあります。イヌの社会性とサルの社会性の違いで、一つ強く感じるのは、同じご飯を一緒に食べることができるかどうかです。

 サルは、できません。サルは、今の言葉でいえば「個食」であって、自分一人で食べます。一緒に並んで食べてもいいのだけれども。お鉢は自分のお鉢です。サルがそうであるように、人間もそうで、一緒に食べるパーティもするけれども、お皿は自分のお皿、お鉢は自分のお鉢です。

 ところが、イヌは同じお鉢に頭を突っ込んで、3匹でも4匹でも食べられるわけです。ここが、かなり違っている。そうすると、社会的順位などもありはするけれども、社会的順位が高いからといって独り占めすることはしない。社会的順位の高い者と低い者がいて、低いほうが食べているときも、自分の番がくるまで待っていたり、下の子が食べるのを許してあげたりする。

 サルには、それはできません。「自分のお鉢」ということになるからかもしれませんが、上が絶対にそれを取ります。また、下の者がそれを取ろうとすると、絶対に怒ります。なので、下のほうが食べている間待っていてあげるようなこともしない。社会的順位がかなり厳しくて、上が全部取る。イヌはそうではないというのは、とても面白いと思います。


●多胎と単胎ということ


 それがなぜなのかということで、私なりに着目したのは、イヌが「多胎」である点です。4匹とか10匹とか、同時にたくさん生まれます。ところが、サルは「単胎」であり、人間もそうですが、1回のお産で1匹しか産まれません。

 そして、サル類というのは、チンパンジーもニホンザルもおっぱいが二つしかなくて、それを交互に一匹の子供が飲む。だから、やはりおっぱいからして一...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
これから必要な人材と人材教育とは?(3)無謬性とジョブローテーション
もうゼネラリストを育てる人事制度では時代に対応できない
柳川範之
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
プロジェクトマネジメントの基本(9)リーダーシップとモチベーション
マズローの欲求階層説を発展させたアルダーファの理論とは
大塚有希子
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
おもしろき『法華経』の世界(10)未来への智慧と希望
「未来応化=どんな未来も大丈夫」…ブレない臨機応変の力
鎌田東二
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
逆境に対峙する哲学(9)先人の知恵という友
本居宣長も白隠もハイデガーも友となる――大切なのは?
津崎良典
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司