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なぜ日本の従業員の会社への愛着は世界最低クラスなのか

日本企業の病巣を斬る(11)みんなが「おかしい」と感じている

対談 | 執行草舟田村潤
概要・テキスト
「いい加減」「適当」「暗黙知」といったことこそが、日本人が持っている非常にいいところ、素晴らしいところであった。それを、コンプライアンスをはじめとしたアメリカンビジネス追従によって、壊してしまった。そのことが、現代日本の大きな病巣になっている。また、昔の企業は家族主義で、愛があった。しかし、今はそれもなくなってしまった。そのため、会社へのロイヤリティが下がり、従業員のエンゲージメント(会社への愛着や貢献の意志)も、日本は世界最低クラスになってしまった。そして、やっているのは物まねばかり。つまりオーバーアジャスメントである。日本には本来、数字も大儲けも要らなかったはずだ。人の役に立てば儲かる。それは結果論なのである。(全12話中第11話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10:02
収録日:2023/10/18
追加日:2024/02/09
カテゴリー:
≪全文≫

●日本人の素晴らしい「いい加減」「適当」「暗黙知」を取り戻せ


田村 今、いろいろなところで講演しますと、圧倒的多くの方は「何かおかしい」と不安を感じています。「変だ」と。でも正解がわからない。

執行 それを先ほどから話しているのです。要は、みんなが正義と思っているものが間違っているのです。

田村 それはわかっています。それをいかにうまく言うかです。

執行 そう。その次元に来ています。

田村 そして、それが通用する時代に来ています。

執行 もう少しかかりますが、グローバリズムの崩れ方が激しくなってくると、どんどんわかりだします。もう、その入口に来ています。

田村 やはり少し変わってきていますね。「おかしい」という感覚をみんな共通して持っている。

執行 「おかしい」と思っていても、ある程度、分析的にわかっていないと次の策は打てません。アメリカの悪口ととられると嫌なのですが、というのもアメリカはアメリカで一つの文明なので。ところが、日本がそれを取り入れると、日本人は「暗黙知」といったものがわからなくなってしまう。そこから一回脱する必要があります。

 日本人が持っている非常にいいところ、世界レベルで「いい加減」「適当」と思われているものが素晴らしいと気づくには、アメリカンビジネスから一回出なければならない。

 一例としては、江戸時代の話が出るけれども、あのような商売の価値や循環経済の考えがわかってくると、日本人の遺伝子にあるものだから共感経営に行くようになります。

 もともと日本人は共感の民族です。その証拠が家族主義で、つまり家族は共感の団体です。家族が企業まで大きくなったのが、野中(郁次郎)さんが言う共感経営です。要は昔の日本の商道です。野中さんは最先端の経営学者といわれますが、言っていることは全部、(江戸時代中期の)石門心学なのです、要は。

田村 確かに(私が)入社した頃の日本の企業は、みんな家族的でした。

執行 全部そうです。それをコンプライアンスだ、何だでぶち壊してしまった。だから、ぶち壊した、その勢いがあるのは全部、アメリカンビジネスです。加えて、われわれが幻惑されたのは、「英米がやっていることが正義」と誤解したことです。

 (それはわれわれが)戦争に負けたこともあるかもしれません。だから英米は国として、野中さんが言った国とし...
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