日本企業の病巣を斬る
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創造的経営の核心…「個人の信念」を真実として正当化する
日本企業の病巣を斬る(7)信念と創造的経営
考察と随想
対談 | 執行草舟田村潤
理想や使命へ向かうと「自分がこうやりたい」というものが出てくる。それぞれに正解を見つけていくしかないから、おのずと自分の持ち味が発揮されるようになる。ところが、現在の日本の企業社会では会議ばかりを重んじるあまり、「暗黙知」が出にくい社会になっている。会議では「形式知」で議論するしかないからだ。これが日本社会を苦しめている。野中郁次郎氏は1995年の『The Knowledge-Creating Company』(日本語版『知識創造企業』1996年)で「創造的経営」を説いたが、その核心は、「個人の持つ信念を真実へと正当化していくダイナミックな社会的プロセス」にほかならない。(全12話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分14秒
収録日:2023年10月18日
追加日:2024年1月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●理想へ向かうと「自分の強み」が発揮される


執行 (前回の話のように、上から言われたら、やらなければならないというのが鉄則ですが)やり方は十人十色になります。

田村 そう。

執行 自分のやり方を導き出せる人がいい、ということです。

田村 だからメンバーが、どんどん個性的になってきました。

執行 日本人はわりと、それが強いのです。本当は。

田村 だから理想へ向かうと「自分がこうやりたい」というものが出てくる。得意先も全部、言っていることが違う。それぞれに正解を見つけて、やるしかない。そこで個性が出てくる。自分の持ち味みたいなものが自然と出てくる。男女は関係ない。ただ、そこへ向かうと自分の強みが発揮されるから、結果として女性や若者は伸びてくる。それを枠組みから入っていくと、おかしなことになってしまう。

 根本はやはり「会社の使命を果たす」です。そこに向かって一人ひとりが何をやったらいいか考え、議論して、自分で決めていけば個性的になる。人間性が生かされ、自分らしくなってくる。「この人間は、こんなに素晴らしいのか」と。

執行 野中(郁次郎)さんの理論でいうと、暗黙知と形式知のうち、日本人は西洋、(特に)アメリカの真似ばかりすることで、暗黙知が出にくい社会になっている。

田村 そうですね。

執行 コンプライアンスは、特にそうです、日本にない考えだから。(日本人は)暗黙知が世界で一番ある民族で、これは縄文以来の知恵です。

 一つの違いとして、例えば日本は世界で一番、物作りの中小企業が多いといわれます。相当潰れましたが、今でも一番多い。韓国や中国にはほとんどない。アメリカもあまりない。つまり、底辺を支える実力がすごくあるのです。

田村 そうですね。

執行 だから、戦後のアメリカンビジネスで、大企業優先方式の経済成長になって日本は苦しんでいるのです。中小企業が多いとは、暗黙知が多いということです。

田村 そうですね。暗黙知は大企業の中にもありましたが、問題は会議で決めていくことです。会議は全部、形式知じゃないと議論できない。今から思うと、本当に大事なことが暗黙知として喋れず、全部切り捨てられて結論を出していた。これがうまくいかなかった大きな理由です。

 本当に大事なものは言語化できない。でも、あるときピンと来ることがある。そこで初めて言葉にし...