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無理なプランや数値目標を指示されると現場の力は弱くなる

日本企業の病巣を斬る(1)日本企業の4大疾病

対談 | 執行草舟田村潤
概要・テキスト
日本企業の病巣に「オーバープランニング(過剰なる計画)」「オーバーアナリシス(過剰なる分析)」「オーバーアダプテーション(過剰なる法令順守)」がある。これは経営学者の野中郁次郎氏が提唱したものだが、これに「オーバーコンプライアンス(過剰適応)」を加えたのが「日本企業の4大疾病」である。これらが、いかに日本の企業の現場を苦しめ、弱体化させているのだろうか。また、なぜいま日本企業の大きな問題になっているのだろうか。そして企業の本質とは……。両者の立場から、問題の本質を探っていく。(全12話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11:09
収録日:2023/10/18
追加日:2023/12/01
カテゴリー:
≪全文≫

●どうして「何のために仕事をしているのかわからなくなる」のか?


―― 皆さま、こんにちは。本日は「日本企業の病巣を斬る」というテーマで両先生にお話を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

田村 よろしくお願いします。

執行 はい、どうも。

―― 日本企業の病巣について、田村先生から「4大疾病がある」と伺いました。「オーバープランニング」「オーバーアナリシス」「オーバーアダプテーション」「オーバーコンプライアンス」です。それぞれ、どういうことでしょう。

田村 「オーバープランニング」「オーバーアナリシス」「コンプライアンス」は、世界的な経営学者の野中郁次郎さんがおっしゃったものです。最近それに加えて「オーバーアダプテーション」というものが出ています。

 オーバープランニングは「過剰なる計画」です。オーバーアナリシスは「過剰なる分析」。オーバーコンプライアンスは「過剰なる法令順守」。オーバーアダプテーションは「過剰適応」です。例えば、SDGs(持続可能な開発目標)といえばSDGs、ROE(自己資本利益率)といえばROE、それらにどんどん適応して過剰適応してしまう。

執行 要するに、オーバーコンプライアンスから出てきたものですよね。コンプライアンスをやり過ぎて、なってしまったと。オーバーアダプテーションは野中郁次郎さんの理論があった頃から出ていましたか。

田村 いえ、出ていません。

執行 最近ですよね。だから、たぶん(オーバー)コンプライアンスをやっていると、行き着いて(オーバー)アダプテーションになってしまうと。そういう状態でしょう。

田村 そうですね。プランニングやアナリシスも、アメリカのMBA(経営学修士)に過剰適応している側面がありますから、根っこは似ていると思います。

執行 そうですね。

―― これらは実際に働いている方にとって、思い当たる節があるというか、困っている部分も多いように思います。それぞれ先生方に伺いますが、まずオーバープランニングとオーバーアナリシスは現場ではどのような現象として現れるものでしょう。

田村 企業は成長しなくなっていますから、なんとかしようと分析をして、プランを立てます。それでも業績が悪いとなると、さらにプランを増やす。プランが増えれば増えるほど、現場に「もっとこんなことをやれ」と要求をどんどん出す。現場が疲弊し...
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