「公益資本主義」の確立に向けて
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
従業員の給料を削減した経営陣がボーナスもらっていいの?
「公益資本主義」の確立に向けて(1)「株主重視」の考え方と日本のとるべき道
原丈人(内閣府参与/国連経済社会理事会特別諮問非政府機関アライアンス・フォーラム財団代表理事)
TPP交渉を通じて米国に「株主重視」の実行を迫られる日本。一方で米国経済は「株主重視」によって荒廃。TPP交渉で注意が必要な米国の思惑とは何か。公益資本主義を説く原丈人が解説する。
時間:12分44秒
収録日:2013年11月7日
追加日:2014年2月24日

●金融危機や富の二極分化のルーツは「会社は株主のものだ」


 アメリカのなかで金融危機が起きたり、それからいろいろと世知辛くて住みにくい、富の二極分化が起きたようないろいろな社会的な現象の分析はたくさんありますが、一言で言うと、ルーツは「会社は株主のものだ」という言葉に尽きると思います。

 「会社は株主のものだ」ということは、昔から商法や会社法で「株主が会社を持っている」ということが定義されているので、法律上は正しいけれども、正しいからと言って株主が「会社の利益は自分たちだけが最優先で受ける」という主張をし出して、その論理をつくり出してきたところが、いまのアメリカの経済の荒廃に繋がっていると思います。

 マクロ経済的には、米国はまだますます繁栄するでしょう。というのは、「会社は株主のものだ」という考え方の下における株主資本主義や、その究極のものは金融資本主義ですが、この時代はあと20、30年は続くわけですから。しかし、やがてはアメリカ合衆国を破たんに導く大きな原因になるでしょう。


●アメリカンエアラインにみる「株主重視」という考え方


 そして感じるのは、「株主重視」というと、日本はあまりにも株主軽視でやってきましたから、株主重視を重要だと思う人は多いかもしれないけれども、私はその株主重視に対して「どこがおかしいんですか」という日本の人には、アメリカンエアラインの事例を出します。

 これは、2008年にアメリカンエアラインが航空機不況で従業員に対して340億円の給料の削減を求めたときに、航空機不況ですから会社が潰れたらユナイテッドやデルタに再就職ができる可能性はほとんどないので、彼らも受け入れたわけです。

 このときに、日本人の普通の人たちならば、「従業員も給料を削減されたのだから、経営陣もより高い率で給料を削減しよう」と動きます。ところが米国ではどうなったかというと、従業員が給与カットを受け入れたので、経営陣はボーナスをとっているのです。

 これをどのように考えればいいのかと、変に思ったり不思議に思う日本人がほとんど全部でしょうが、米国のロジックは「会社は株主のものだ」ということです。したがって、給料という会社に対する負債、それも今年だけでなく毎年続いていくものをカットしてくれた経営陣が会社の利益を上げたのですから、負債をカットすることによって収益は上がります...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文

人気の講義ランキングTOP10
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
プロジェクトマネジメントの基本(6)ビジネスアナリシスの仕事
スコープ・クリープはリスクが大きい…どうすればいい?
大塚有希子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
人生はエネルゲイア――AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
「進化」への誤解…本当は何か?(7)進歩思想としての進化論と社会進化論
適者生存ではない…進化論とスペンサーの社会進化論は別物
長谷川眞理子