●歴代内閣の立場を全体として継承する
―― 去年(2014年)の暮れに、前作を大幅に改訂されて、『戦後70年 保守のアジア観』を発刊されました。私はもう、これを1冊読めば、戦後70年の日本とアジアの動きや、一部戦前までも含めて分かるようになると思いました。多分、今回が2回目の改訂だと思うのですが、改訂というよりも、新しい本を出されたという感じですね。この正月にじっくりと読ませていただき、非常に楽しませていただきました。
若宮 ありがとうございました。
―― 私の友人のジェラルド・カーティスさんも、この本を非常に高く評価されていました。アメリカにはちょうど今日帰ったと思いますけれども。今日は、若宮さんに来ていただき、これから発表される「安倍談話」や、戦後70年の日本とアジアの軌跡、このあたりのお話をぜひ聞かせていただければと思います。
若宮 ありがとうございます。今おっしゃっていただいたように、神蔵さんは前の本をしっかり読んでくださっているから、変化も分かると思うのですが、全部で20年越しの作なのです。今回もそれなりに蓄積と、新しく変わっている部分があるし、今まで気付かなかったようなことも含めて、集大成にしたつもりです。そこを、まさに戦後70年のタイミングで出版することができたので、お役に立てればありがたいです。
それでは始めますが、戦後70年で安倍談話がどうなるかということが、昨今、一つの注目の的になっています。これは、国内だけではなく、中国や韓国をはじめ、アジア、それからアメリカも非常に気にしているという状況です。
少しご説明しますと、安倍晋三さんは、今年になって、正月の5日に伊勢参りをして、そこで記者会見をして、戦後70年の安倍談話はどうなるのか、という質問に答えています。
「村山談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいく。戦後70年の節目を迎え、安倍政権として先の大戦への反省、戦後の平和国家としての歩み、今後、アジア太平洋地域や世界のために、さらにどのような貢献を果たしていくのか、世界に発信できるようなものを考え、新たな談話に書き込んでいきたい」
このようにおっしゃったと報じられています。
村山談話を全体として継承するということは以前からおっしゃっていたのですが、自ら「村山談話」という名詞も使い、それ...