睡眠と健康~その驚きの影響
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ヒントは睡眠負債…自分の適した睡眠時間を把握するために
睡眠と健康~その驚きの影響(2)ショートスリーパーと睡眠負債
西野精治(スタンフォード大学医学部精神科教授)
睡眠不足になると、生活習慣病だけでなく、うつ病など精神疾患に罹るリスクも高くなる。睡眠不足は、日々重なると「負債」となって容易に解消できなくなるという。果たして自分に適した睡眠時間はどう図るのか、“ショートスリーパー”は存在するのか――現代人の陥りがちな「睡眠負債」について解説する。(全5話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:7分33秒
収録日:2025年3月5日
追加日:2025年6月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●“ショートスリーパー”はほとんどいない


―― 今、先生が非常に重要なお話をされました。睡眠に問題がある方はうつ病などになるリスクも高くなるということです。メカニズムとして、なぜ睡眠に問題があるとうつ病になってしまうのでしょうか。

西野 うつ病になると睡眠障害が必発なのですね。深い睡眠が出ない、それから最初のレム睡眠が短くなる。それだけでなく、眠れなかったり、睡眠が不規則であったりするときは、うつ病だけでなく他の精神疾患もそうですが、そうしたリスクも高くなります。それが悪循環のような形になって、いったんリスクのある人が発症すると、さらに睡眠障害がひどくなる。どこかで断ち切らないとなかなか治らない、ということになってくるのです。

 だから、原因にも結果にもなり得る。相乗的に影響を与えるので、発症前でも発症後でもできるだけ良い睡眠を取って、心身の回復に努める(ことが大切です)。風邪なども同じです。そういう意味で、やはり睡眠は基本的な生命の維持に不可欠な生理現象といっても間違いではないと思います。

―― 先ほど先生から、適切な睡眠時間は個々の方々によって差がある、個体差があるというお話がありました。例えば、ナポレオンのようにいわゆる“ショートスリーパー”で、睡眠時間が3、4時間でも大丈夫という方もいる。およそ何パーセントほどの人がショートスリーパーやロングスリーパーなのか。また、それを決める要因は何でしょうか。

西野 先ほど、やや難しい言葉で「正規分布」といいました。丘のような形の、裾野が広がっている分布です。裾野の部分は頻度が少ないということですね。

 ショートスリーパーとは、努力せずとも、もともとの睡眠時間が短い人です。睡眠時間が短いといろいろな疾患リスクが高くなるという話をしましたが、(ショートスリーパーは)特にそういった問題もなく、健康に過ごしている方です。そういう方は確かにおられる。芸能人でも、政治家でも、学者でも、実業家の方でもおられます。非常にアクティブ(活発)で、事業などに成功する。

 ところがその分布を見ると、例えば睡眠時間4時間以下の人は1パーセント未満です。14時間以上の人も1パーセント未満です。その人たち全員が健康かどうかは分からないので、いわゆる健康なショートスリーパーといえば、4時間以下で規定すると1パーセントもいない、ということになり...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「健康と医療」でまず見るべき講義シリーズ
睡眠:体、脳、こころの接点(1)睡眠とは?
なぜ睡眠は生きるために必要?脳にある覚醒中枢と睡眠中枢
尾崎紀夫
老いない骨のつくり方(1)高齢化と骨の病気
健康寿命に大きく影響する骨粗鬆症・歯周病・変形性関節症
鄭雄一
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治
認知症とは何か(1)疾患の種類と対応
多くの認知症の原因は「脳のゴミ」の蓄積
遠藤英俊
男性医学とテストステロン(1)リーダーと男性ホルモン
チャレンジ精神、神経ニューロン、認知症にも影響!?
堀江重郎
最強の臓器「皮膚」のふしぎと最新医療(1)かゆみのサイエンス
「かゆみ」の正体を科学する!最新研究で迫る皮膚の仕組み
椛島健治

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー
「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
生成AI「Round 2」への向き合い方(2)ハードで動くCopilot
Microsoft Copilotの革新性…想像がつかない世界に
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治