DEIの重要性と企業経営
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
山本勲(慶應義塾大学商学部教授)
認知的DEIが進んでいない場合、人口統計的DEIに注目することも大事である。特に男女の多様性という観点から注目すべきは「女性活躍推進」。その効果については「差別の経済学」という分野があり、これは女性を登用することで業績や利益率がよくなるプロセスを逆説的に説明する考え方である。最終話では、その詳細についてデータを検証しながら、女性活躍推進とDEIの関係を解説する。(全4話中第4話)
時間:13分17秒
収録日:2025年5月22日
追加日:2025年8月29日
≪全文≫

●人口統計的DEIも重要――女性活躍推進と「差別の経済学」


 以上、DEIについてお話ししてきて、DEIの中でも認知的DEIが大事だという話がメインになっていたと思います。では、認知的DEIではない人口統計的DEIのほうは重要ではないのかというと、そういうわけでもなく、そちらもやはり大事です。

 特に認知的DEIがそれほど進んでいない、あるいは日本のように――日本では「多様性」というと、どうしても男女が注目されるのですが――まだまだ女性活躍推進が必ずしも進んでいないというような状況では、認知的DEIを進めていって、男女のDEI、多様性を追求するような方向性も大事ですが、そこにかなり時間がかかる可能性があります。むしろ、人口統計的な男女の多様性に注目して、そこを少し進めることによってDEIが重要であるということが浸透し、結果的に認知的DEIが広がっていくという方向も大事ではないかと思います。

 それから男女の観点でいくと、先ほど管理職女性比率や役員女性比率が必ずしも業績にプラスの影響を与えないという結果が出てきていましたが(第1話目)、ここをもう少し深掘りしてみると、また違う姿が見えてくる可能性がある。そういうことから、女性活躍推進について注目してみたいと思います。

 私が専門とする経済学では、ベッカー教授が「差別の経済学」という分野を打ち立てました。この差別の経済学で指摘されている女性活躍推進の効果は2つあると解釈することができます。

 やや逆説的ですが、1つの効果は、仮に女性が市場で差別的な扱いを受けていて、不当に女性の賃金が安いという状況があるとしたら、そういう状況を逆手にとって女性を多く登用した企業のほうが人件費は安く済むので、かえって業績がよくなるのではないかということが指摘されています。

 不当に安い賃金で女性が働いているという状況を、経済学では生産性に対して賃金が安すぎるというように置き換えます。仮にこういう差別が市場にあるとしたら、女性は生産性の分だけ賃金を払わなくても済むと捉えることができます。そうすると、生産性対比で見た人件費は女性のほうが安いので、女性を登用したほうが人件費を削減できて、業績や利益率がよくなるといった状況があるのです。

 ですから、差別が生じている状況では、女性を...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
そこまでやるか
当たり前のことを徹底してやった時、初めて人の心は動く
上甲晃
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環

人気の講義ランキングTOP10
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来
日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
中西輝政
インフレの行方…歴史から将来を予測する(3)戦後の日本経済と海外のインフレ率
オイルショック、バブル…過去と現在の環境の共通点は?
養田功一郎
高市政権の進むべき道…可能性と課題(2)財政戦略3つの問題点
高市政権の財政政策の課題は…ポピュリズム政策をどうする?
島田晴雄
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(2)吉田昌郎所長の機転と決断
なぜ部下たちは「吉田昌郎所長となら死ねる」と語ったのか
門田隆将
こどもと学ぶ戦争と平和(3)「小さな外交官」と少年兵の問題
外国が攻めてきたらどうすればいい?戦争と少年兵の問題
小原雅博
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
これからの社会・経済の構造変化(3)新しいファミリーガバナンスの時代
なぜいまファミリー企業への注目が世界的に高まっているか
柳川範之