●「リーダーとは何か」とは「教えるとは何か」
山内昌之です。こんにちは。
最近、「リーダーとは何か」ということが、日本の内外でも問われることが多いように思われます。また、日本の政治や外交において、「リーダーシップとはどうあるべきか」ということもしばしば問われます。
考えてみますと、この「リーダーとは何か」という問いかけに一番近い問いかけとは、私は、「教えるとは何か」ということではないかと思います。すなわち、リーダーとは、ある面で「教育者とは何か」ということにもつながるように思えてなりません。
イギリスの戦略戦史専門家に、リデル・ハートという人がいます。リデル・ハートは、「心の平静は指導者に不可欠の資質である」と、リーダーの条件について述べたことがあります。考えてみますと、教師もまた、発達期、あるいは未成年期の多くの子どもたちを育てていくという意味において、彼らに接する場合、規模は違っていても、ある意味でリーダーの資格を持たざるを得ません。そうした彼らが、子どもたちを育てていくリーダーの資質として何が大事かと言いますと、どの子どもたちに対しても、どのような局面、どのような場面においても、いつも心が冷静であるということが大事ではないかと思います。
政治、国際政治や国際金融経済においてもそうですが、物事はいつも順調に進むとは限りません。むしろ、危機や混乱がつきまとうことがほとんどと言ってもよいでしょう。ある意味で、未知の将来へ向かって成長していく子どもたちもまた、そのような混乱や危機に直面しながら進んでいくのです。そのような点で、子どもたちを育て、接していく教師の役割とは、やはりリーダーとしての資質に共通するものがあるかと思います。
混乱する部下、あるいは集団を冷静沈着に指揮できるのが、将、リーダーというものです。また同じように、日々の生活や学習において、混乱することもあり、理解が及ばないこともある子どもたちを束ねて、できるだけ正しい進路へと導いていくことも、リーダーとしての教師の役割になるかと思います。
●将の資質である「智、信、仁、勇、厳」
ご承知の方も多いと思いますが、中国の古代に、「孫子の兵法」で知られる孫子という兵法家、思想家がいました。孫子は、「将とは何か」ということについて議論し、将とは、「智、信、仁、勇、厳なり」と...