「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
俺たちが死んだら、次はお前だ。被害を俺たちで止めるんだ
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(5)プラントエンジニアの覚悟と死装束
門田隆将(作家/ジャーナリスト)
大気中に放射線を拡散するベントの決行は、文字通り生死を分け、やり直しの効かない大事業である。日常、その手順を訓練してきた作業員であっても、防護服・ヘルメット・グローブを着用した上では原子炉建屋での動作はままならない。一つの修羅場を越えたFukushima 50には、命を賭ける以上の覚悟が存在していた。(全6話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:9分55秒
収録日:2025年11月19日
追加日:2026年3月9日
≪全文≫

●扉を閉めるとき「命が終わる音がした」


門田 伊沢氏はもう呆然です。(ベントに行くのは)とにかく死にに行くようなものですから。幸いに亡くなってはいないけれど、あのMO弁を開けなければ、日本は終わりですから、そのときの異常な心理状態(は想像を絶します)。

 中央制御室から原子炉建屋にたどり着くまでの通路にはボラをはじめとした魚が死んでいて、津波で打ち上げられたままの魚の死骸を避けて行くわけです。そうやって(建屋へ)入っていって、二重扉になっている一文字の錠を開けてその空間に入る。さらに二つ目の一文字を開けて初めて原子炉建屋に入るわけです。

 みんな言っていたのが、(この扉を)ガシャーンと閉めるときに、命の音といいますか「命が終わる音がしました」ということです。(放射線を)浴びる量を少なくしないといけないから、一刻も早く行って、パーっと駆け上がり、MO弁が見えるところまで行く。

 そこまで来たら、後はハシゴで上がらなくてはいけないのだけれど、ハシゴには落下防止のために鉄の輪がついているわけです。そこを上がっていけば、もうそこにMO弁がある。

 大井川氏が言っていたのは、行こうとしたときに、「ガチャーン!」と背負っていた酸素ボンベが(階段の鉄の輪に)当たる。普段の訓練では酸素ボンベまで背負わず、普通の格好で行ってきた。その時は異常な状態で来ているから、自分の酸素ボンベが転落防止の鉄の輪に当たるなど、想定していない。「早く行かなければ」という思いで行って、ガーンとぶつかって。でもその時に、プシューッとはならなかったらしく、「助かった」と思って上がったということです。もしこのとき、ボンベがプシューッとなって、帰らなくてはいけない、先に行けないという事態になっていたら、もう日本は終わっていた。

 ようやくたどり着いた(MO弁は)顔よりやや大きいぐらいのものです。そのハンドルを電動から手動に切り替えないといけない。手動に替えるためのクラッチのようなものがあるのだけれど、焦っているから、そのクラッチが入らなかったそうです。

 野球のグローブのような手袋をつけていましたから、ボンベ同様手袋についても普段の訓練のときとは違っていたわけです。ともかく普段ならカシャンと入るものが、焦っているから入らない。グワーッとなる。それで何度目かにやっとガシャーンと入って、電動から手動...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
歌舞伎の魅力とサバイバル術…市川團十郎の歴史から考える
堀口茉純

人気の講義ランキングTOP10
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(6)陰謀論とユダヤ人
ユダヤ人を巡る「陰謀論」の裏を読む…ロシア革命とユダヤ人
鶴見太郎
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
編集部ラジオ2026(11)日本史から読むメンタルヘルス
【10min解説】與那覇潤先生《日本人とメンタルヘルス》
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(1)米を食べる日本人と『分裂病と人類』
日本人の生きづらさの特徴は?~中井久夫著『分裂病と人類』
與那覇潤
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(5)オートファジーと疾患の関係
がん治療にも応用、オートファジーによる疾患制御の方向性
水島昇
天下人・織田信長の実像に迫る(10)本能寺の変・後編
本能寺の変前後で光秀に起こった突発的偶然と予期せぬ事態
柴裕之