松下政経塾の真のすごさは、世俗的なエリート教育とは一線を画す「志」の教育にある。創設者である松下幸之助は、地位や名誉、金銭的な成功よりも、日本の未来のために何を成すべきかという根源的な問いを塾生たちに投げかけ続けた。この徹底した問答を通じて、時代や大衆の動向に左右されない、一貫した信念を持つ政治家が育まれている。その最大の代表例が高市早苗である。(全8話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
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●松下政経塾のすごさは、すごそうに見えないのにすごいところ
―― あとは(松下政経塾が)教育の仕方というか、教育機関といえるかどうか、私塾ですから。
執行 でも、教育でしょう。
―― 要するに、100人取って1人ものになればいい、99人はその1人のための肥やしだと、いうようなことを……。
執行 普通の大学で言ったら大変ですね。
―― そうですね。たぶんそういうことを平気で言えてしまう。自分の金ですから。「こいつは1年たっても、ものになりそうにないな」と思うと、「もうお前はクビや」と。「お前なんかに金出してやったのは猫に小判やった」と。あれも(松下幸之助は)大阪商人ですし、真剣なんですよね。でも、それはものすごく緊張感がありますよね。
執行 クビになったという人は、何人かいるのでしょうか。
―― 3人くらいクビになりましたね、1期生は。
執行 3人くらい。でも、もともとかなりの人を取っていますよね、やりそうな人を。
ただ今、聞いていて一番思うのは、僕も松下政経塾の講師をしたり縁も深かったので、今、松下(政経塾)がどうしてこれだけの実績があるのかということをいろいろと考え続けているけれど、やっぱり他の政治家と違いますよね、「志」が。
―― そうですね。
執行 これは他の政治家のことですが、日本の戦後の民主主義は悪いほう(の民主主義)で、とにかくまず政治家になりたい、代議士になりたい、選挙に受かりたいと。もちろん、それは重要なのだけれど、「偉くなりたい」というか、そういうところにベースがあるように思うのです。
良くも悪くも松下政経塾は、特に世に出ている人が初期の人に多いので言うのですが、もちろん後の人も続くんだろうと思うけれど、(例えば)高市早苗さんは、(彼女のことを)好き嫌い(言う人)が多いけれど、あの人は自分で勉強していて、自分の信念で、(つまり)総理大臣になる前から若い頃からずっと、「こうやりたい、ああやりたい」と思っているものを今やろうとしています、見ていて。そういう人は(他に)いないのです。
結局、自分が若い頃から「日本の国のために何がいいのか」と。思っていることは、もちろんそれぞれ別ですが、これは前原さんなどにも感じるのです。全然思想が違うだけで。私は、前原さんのことを詳しく知らないけれども、多分貧乏で苦労なさったんだと思う。それで、教育の...