第一次世界大戦100年と日本
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歴史と社会
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
日本人には印象の薄い第一次世界大戦だが、実は「20世紀の病根のほとんど全てが第一次世界戦に由来する」といわれるほど、歴史的に重要な転換点だった。一体その時、世界はどう変わったのか。そしてそれは今にどう影響しているのか。シリーズ「第一次世界大戦100年と日本」第1回(全5回)。
時間:10分17秒
収録日:2015年4月15日
追加日:2015年5月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●20世紀の病根と21世紀の進路


 皆さん、こんにちは。

 昨年(2014年)は、第一次世界大戦の開戦からちょうど100年を迎えた年になりました。今日は、その点を振り返りながら、日本を素材に歴史とは何かという問題について具体的に話を進めたいと思います。

 まず最初に、15~16世紀イタリアの政治思想家であったマキャヴェッリの言葉を紹介します。彼は次のようなことを語っています。以前にも紹介したかもしれませんが、大変重要な指摘ですので、もう一度資料として提示しておきます。

 「世の識者は、将来の出来事をあらかじめ知ろうと思えば、過去に目を向けよ、と言っている。この発言は道理にかなったものだ。なぜかといえば、いつの時代を問わず、この世のすべての出来事は、過去にきわめてよく似た先例を持っているからである。つまり人間は、行動を起こすにあたってつねに同じような欲望に動かされてきたので、同じような結果が起こってくるのも当然なのである。」(マキャヴェッリ著『ディスコルシ』第三巻より)

 私たちが20世紀の問題を考え、そして21世紀の進路について予知しようとした場合に、2014年という年は、第一次世界大戦の勃発から100年に当たり、かつ中東においては「イスラム国(IS)」がシリアとイラクにまたがる形で活動を行い、そしてウクライナ、クリミア、ロシアにおいて緊張が醸し出された年にも当たるわけです。すなわち、現代の世界は、あたかも20世紀の初頭を思わせるかのような大激動に見舞われているのです。

 今日は、カラーの資料映像としてパワーポイントなども使いながらお話ししていきます。今ご覧いただいているのは、14世紀のチュニジア生まれの歴史家イブン=ハルドゥーンです。彼は、その名著『歴史序説』において、次のようなことを語っています。

 「諸々の状態が完全に変化する場合は、あたかも全創造が、全世界が変わったかのようになる。それはまるで、新しい創造、新しい生成が起こり、新世界が生まれたごとくになる。」

 これは、岩波文庫にも訳のある著書『歴史序説』(アラビア語では『アル・ムカッディマ』)の一節です。こうしたイブン=ハルドゥーンの洞察は、あたかも現代中東の複雑な政治構図と混沌状態を予知していたかのような、あるいはそうした性格を解きほぐすかのような、非常に鋭く賢い洞察にあふれてい...

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