第一次世界大戦100年と日本
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
地中海で学んだ通商破壊戦の重要性を帝国海軍は生かせず
第一次世界大戦100年と日本(3)生かされない教訓
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
日本人の第一次世界大戦に対する意識は、今も当時も希薄だ。だが、実は日本軍は陸軍・海軍ともに参戦し、地中海にも軍を派遣していた。第一次世界大戦における日本の意外な動向とその影響を、歴史学者・山内昌之氏が語る。シリーズ「第一次世界大戦100年と日本」第3回(全5回)。
時間:7分51秒
収録日:2015年4月15日
追加日:2015年5月25日
≪全文≫

●希薄な交戦意識と、戦争による権益獲得


 皆さん、こんにちは。引き続き第一次世界大戦から100年を振り返り、日本について語りたいと思います。

 日本人の第一次世界大戦に対する見方は、次の世界大戦、すなわちアジア太平洋戦争を中心とし、日中韓に戦争をもたらした第二次世界大戦と比べて、大変希薄です。当時においても、日本国民の間には、日本が交戦状態にあるという意識そのものが希薄でした。

 現実に、日本は、1902年に締結した日英同盟のよしみと義務によって、連合国の一員として参戦します。陸軍は中国の山東(シャントン)半島の青島(チンタオ)に出兵し、わずかな犠牲で山東半島における権益を獲得し、海軍はドイツが支配していたビスマルク群島などを中心とする南洋諸島をほぼ無血で占領します。これにより、その後、戦争需要などを経て、日本の経済と国民は潤うことになりました。したがって、ほとんど犠牲を出さずに、戦争から利益や権益を得たというのが事実です。

 戦後、日本は、赤道以北の南洋諸島の委任統治国となり、国際連盟によって統治を委任されます。委任統治国とは事実上、植民地の別名で、日本は、一時的に山東半島の同一権益の継承をイギリス、フランス、ロシア政府に認めさせ、アジア太平洋におけるアメリカとの勢力均衡にひとまず成功したことになります。


●日中戦争の遠因となった対華21カ条要求


 次に、この戦争を機に、日本政府(当時の帝国政府)の権力を長らく握ってきた政友会と陸海軍と官僚、この三つのトライアングルによる排他的な支配を退けて、政権交代が起こった事実も大変重要です。すなわち、第二政党勢力が台頭し、いわゆる大正デモクラシーという日本固有の民主主義への取り組みが発展していきます。そして、その発展を促すことになったのが、第一次世界大戦でした。

 しかしながら、大戦中の1915年1月に、日本は、当時の北京政府に対し、対華21カ条要求を出しました。対華21カ条要求とは、ドイツの山東半島を中心とした権益を日本が継承し、満州における日本の権益期間の延長を図り、さらに悪いことに中国の内政への介入権承認を求めるという、露骨な内政干渉と中国の権益を無視した内容でした。このことによって、日本は、中国との間に、後の日中戦争への道を踏み出す遠因をつくったことになります。


●地中海で護衛任務に当たっ...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
「同盟の真髄」と日米関係の行方(7)トランプ氏の評価とその実像
こりごり?アイ・ラブ・トランプ?…トランプ陣営の実状は
杉山晋輔
『貞観政要』を読む(2)著作に登場する人物たち
房玄齢・杜如晦・魏徴・王珪―太宗の四人の優れた側近
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
インフレの行方…歴史から将来を予測する(6)高市政権誕生の影響
ポイントは財政悪化よりインフレ?…高市政権でどうなるか
養田功一郎
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
新撰組と幕末日本の「真実」(1)近藤勇…教養人の素顔と日野宿本陣
近藤勇と日野宿本陣…多摩の豪農たちの財力と教養力の凄さ
堀口茉純