第一次世界大戦100年と日本
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平成バブルの崩壊はさながら第一次大戦後の反動不況
第一次世界大戦100年と日本(4)バブルの類似性
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
第一次世界大戦後の不況と現在の不況は似ている、と歴史学者・山内昌之氏は指摘する。一体どこがどのように似ているのだろうか。シリーズ「第一次世界大戦100年と日本」第4回(全5回)。
時間:10分00秒
収録日:2015年4月15日
追加日:2015年5月25日
≪全文≫

●第一次世界大戦は、日本に成金を生んだ


 皆さん、こんにちは。このシリーズは、第一次世界大戦から100年を振り返って、21世紀の日本をどのように考えるかという問題意識でお話ししています。

 今日は最初に、17世紀フランス・ブルボン朝の太陽王ルイ14世の寵臣、フランソワ・ド・カリエールの『外交談判法』という書物の一節から始めたいと思います。

 「事実や歴史に詳しいということは、交渉家が敏腕であるために大切な素養の一つである。何故ならば、理屈というものはしばしば不確かであるから、大抵の人間は前例に従って行動し、同じような場合にどうであったかを基準にして、決心をするものであるから」

 このようにカリエールは述べています。今回は、この言葉を念頭に置き、第一次世界大戦と100年後の日本を比較したいと思います。

 第一次世界大戦は、日本に大戦景気をもたらし、成金をたくさん生むという、思いも寄らない、日本経済史上でも大きな成功体験を与えました。大戦が開始された翌年の1915(大正4)年後半から、日本経済は好況に転じます。アジア市場から英仏を中心としたヨーロッパ諸国の製品が後退した後、がら空きになったその市場を日本の輸出市場として一挙に独占したことで、空前の好況を迎えたのです。中でも鉱山、造船、商事の3業種は花形産業として潤い、年5割や年7割といった配当をする会社も多く出ました。

 そこで、にわか成金が続出したのです。成金の状況を示す有名な風刺画があります。函館のある料亭で、船成金が、宴が終わって外に出ようとしたら足元が暗いので、胸元に入っていた当時の最高貨幣100円札の束を出して、マッチで火を付け、足元を探っている絵です。「どうだ明くなつたろう」というセリフが書いてありますが、誠に成金の性質をよく示しています。

 考えてみると、1980年代のバブル期にも、いささか似通った現象を見たことがあります。六本木や銀座では、タクシーをつかまえることが難しかったため、タクシーに1万円札を振りかざす人もいました。あるいは、銀座のホステスに会社のタクシーチケットのつづりをそのままあげるといった、非常に愚劣な行為が見受けられました。このようなバブル現象を知っている私たちには、先人たちのにわか成金現象をばかにする資格があるとは言えないでしょう。

 本論に戻ると、日本政府と日...

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