テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.12.10

長生きする方法「健康貯金」のすすめ

 高齢化社会と言われ、平均寿命、健康寿命ともに延びてきましたが、40代、50代になるとガタが出てきます。とくに、ストレスの多い職場で心身をすり減らすように働いているビジネスパーソンの方は要注意です。

 そんなみなさんのために「健康貯金」という発想をご紹介します。東京法規出版は『健康貯金のススメ』という冊子を出版しており、「日常生活で気軽に実践できる健康行動」を健康貯金としています。長生きする人の健康の秘訣も日々の小さい習慣にあったりします。

 以下、健康貯金のいくつかを具体的にご案内していきます。

些細なことの積み重ねが健康貯金

 「@DIME」は、イグノーベル賞医学賞受賞者(2013年)であり、漢方が使える臨床医としてセカンドオピニオンのパイオニアとしても知られる新見正則先生の提案を紹介しています。

 新見先生は、エビデンスにはっきりとは現れないが、患者を診ている専門家が「明らかに大切ではないか」と思っていることを“些細なこと”として、「食事は高たんぱく食」「有酸素運動を勧める」「体は温める」「漢方を内服させる」「希望を持たせる」を挙げ、こうした些細なことの積み重ねが健康にもつながるのではないかと述べています。「積み重ね」とはまさに健康貯金です。

できないときは無理にやらないスタンス

 新見先生は自身がおこなっている健康貯金として、「決まった時間に起きる。±1時間で休日の日も同じ時間に起きる」「朝晩に入浴。朝は今日1日やることを考え、夜は今日を振り返る」「お酒は飲まないが絶対に飲まないわけではない。タバコは吸わない」「エスカレーターは使わずに歩く」「温かいお茶を飲む」「週2回以上のまとまった運動。1時間以上水泳を実践」「24時までに就寝、6時間は寝る」「いいことも悪いことも自分にとっての出会いを大切にする」といったこともおこなっているそうです。

 ただし、完璧にやらなくてはいけないのではなく、できればやる、できないときは無理にやらないスタンスで行っているとのこと。これが続ける秘訣かもしれません。

貯筋のすすめ

 公益財団法人健康・体力づくり事業財団は「貯筋のすすめ」を提案しています。健康貯金と同様の発想として「筋肉もお金と同じでいざというときのために『貯筋』しておくことが必要」と説明しています。

 どういうことでしょうか。もうすこし詳しい説明を見てみると、「例えば、突然病気になって入院しなければならなくなっても、筋肉の貯筋にゆとりがあれば、病気や怪我が治ったときにまた普通の生活に戻ることができます。しかし、病気や怪我で入院している間に貯筋が減ってしまい、寝たきりラインを下回ってしまうと、病気は治ったのに歩けなくなってしまったということにもなりかねません」ということです。

骨貯金のススメ

 NHKは「生活情報ブログ」で「骨貯金のススメ」という提案をしています。石橋英明医師は「骨の中のカルシウムなどの量は年齢とともに変化します。20歳ごろがすでにピークで、あとは減っていき、じょじょに骨が弱くなっていきます」と説明しています。

 そこで「骨貯金」の出番です。骨貯金とは「骨によい食事と運動でピーク時の骨の量(=ピークボーンマス)を増やし、その後も量が減らないように努める」ことで、骨貯金に最も適した時期は子どもの頃、特に成長期なのだそうです。

ポイントはビタミンD

 もちろん、大人になってからも食事の工夫で効果的に骨貯金ができます。ポイントはビタミンDです。骨をつくるカルシウムはビタミンDを一緒に摂ると吸収がよくなるからです。

 ビタミンDは魚やキノコなどに含まれているほか、日中に15分ほど日光にあたるだけで体内にビタミンDが作られるとのこと。

 また、石橋医師はいすと机を使ったスクワットを勧めています。その方法は、足を肩幅より少し広く開き、手を机についたままゆっくりと深く腰を下ろし、またゆっくりと立ち上がります。この動作を10回繰り返し、1日3セット行うとよいということです。

 健康貯金のいくつかを具体的に説明してきましたが、手遅れになる前にまず筋力や骨を丈夫にすることが大切です。そのほか、コンビニ食をやめる、朝散歩するなどできることから始めてみてはいかがでしょう。

<参考文献・参考サイト>
・『健康貯金のススメ』(寺本民生監修、東京法規出版)
・@DIME:毎日ぬるめのお湯に15分つかる「健康貯蓄」のススメ
https://dime.jp/genre/465601/?first=1
・公益財団法人健康・体力づくり事業財団: 貯筋のすすめ
http://www.health-net.or.jp/tyousa/tyokin/susume.html
・NHK生活情報ブログ:骨貯金のススメ
https://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/400/146637.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

繁華街・新宿のルーツ、江戸時代の遊女が働く飯盛旅籠とは

繁華街・新宿のルーツ、江戸時代の遊女が働く飯盛旅籠とは

『江戸名所図会』で歩く東京~内藤新宿(2)「夜の街」新宿の原点

歌舞伎町を筆頭に、東京でも有数の繁華街を持つ新宿だが、その礎は江戸時代の内藤新宿にあった。遊女が働く飯盛旅籠(めしもりはたご)によって、安価に遊興できる庶民の「夜の街」として栄えた内藤新宿の様子を、『江戸名所図...
収録日:2024/02/19
追加日:2024/04/28
堀口茉純
歴史作家
2

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教

ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
橋爪大三郎
社会学者
3

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(3)電力の部分最適と全体最適

サステナブルな電力の供給と消費が求められる現代社会。太陽光発電のように電力の生産拠点が多元化する中で、それぞれの電力需給と国全体の電力需給のバランス調整が喫緊の課題となっている。実はヨーロッパなどの「再エネ比率...
収録日:2024/02/07
追加日:2024/04/27
岡本浩
東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長執行役員最高技術責任者
4

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス

「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24
三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授