テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2020.05.10

アメリカで長く乗り続けられている車ランキング

 アメリカの自動車情報サイトの「iSeeCars.com」(アイシーカーズ)が愛車ランキングを発表しました。そのランキングで日本車が上位を占め、自動車ファンのあいだで話題となっています。

 「iSeeCars」は、大手マスメディアからも評価の高いサイトです。たとえば、シカゴトリビューンは「このすべての集約された情報…人々に力を与える」、ABCニュースは「車のセールスマンを身震いさせるかもしれない」と紹介しています。

 なぜ日本車は人気が高いのか。ランキングの中身を紹介しながら考察します。

15年間以上所有の車は7.7パーセント

 「iSeeCars」のリサーチは、2019年に中古市場で売買された1981~2004年のモデルの35万台以上の車を対象にして、オーナーの所有年数を分析するというものでした。これによって、どの車が愛車として長く乗り続けられたかがわかります。

 15年間以上所有されていた車両は7.7パーセントで、1位の車は18.3パーセントでした。つまり、その1位の車は、およそ5人に1位の割合で15年以上乗り続けられているということです。さらに驚くべきことは、これからランキングを紹介していきますが、なんと上位15位はすべて日本車であり、そのほとんどがトヨタの車両だったのです。

15年以上乗りたい車ランキング

 では、具体的にどんな車が人気なのかをみてみましょう。車名の横のパーセンテージは「最初に車を購入したオーナーがその車を15年以上所有した割合」です。

1位 トヨタ ハイランダー(Toyota Highlander) 18.3パーセント
2位 トヨタ シエナ(Toyota Sienna) 15.5パーセント
3位 トヨタ タコマ(Toyota Tacoma) 14.5パーセント
4位 トヨタ タンドラ(Toyota Tundra) 14.2パーセント
5位 スバル フォレスター(Subaru Forester) 12.8パーセント
6位 トヨタ RAV4(Toyota RAV4) 12.7パーセント
7位 ホンダ パイロット(Honda Pilot) 12.6パーセント
8位 ホンダ CR-V(Honda CR-V) 12.4パーセント
9位 トヨタ プリウス(Toyota Prius) 11.9パーセント
10位 トヨタ ハイラックスサーフ(Toyota 4Runner) 11.8パーセント
11位 ホンダ オデッセイ(Honda Odyssey) 11.6パーセント
12位 トヨタ カローラ(Toyota Corolla) 11.4パーセント
13位 トヨタ カムリ(Toyota Camry) 11.0パーセント
14位 ホンダ シビック(Honda Civic) 11.0パーセント
15位 トヨタ ランドクルーザー(Toyota Land Cruiser) 10.6パーセント

 メーカーで見ると、トップ15のモデルのうち、トヨタが圧倒的で10、ホンダが4、スバルが1という結果になっています。これについて「iSeeCars」のCEOであるPhong Ly氏は、「日本の自動車の、特にトヨタとホンダは、その信頼性と耐久性で知られています」と述べています。高い「耐久性」は、「高価なメンテナンスをそれほど必要としない」ということでもあり、そのため、人気が高いのだそうです。

人気車種はSUV

 車種で見ると、1位の「トヨタ ハイランダー」をひっとうにSUVが最も多く、7台もランクインしています。じっさい、Ly氏によると「アメリカの自動車メーカーは小型車をラインナップから放棄してトラックとSUVに焦点を当ててきました」と述べています。

 1位の「トヨタハイランダー」は中型SUVで、「平均よりも所有コストが低いこと」「長寿命であること」「ゆったりとしたクロスオーバーの3列シート」で「ファミリーカー」として人気が高いようです。

 そのほか、クラス最高の貨物および座席スペースを備えている6位の「RAV4」、10位の「ハイラックスサーフ」、15位の「ランドクルーザー」がトヨタのSUVです。唯一のスバル車である5位の「フォレスター」、7位と8位のホンダの「パイロット」と「CR-V」もSUVです。

 そんなSUV人気のなかで、セダンやミニバン、ハイブリッドなど、さまざまな種類の車がランクインしていることも注目に値します。それほどに日本メーカーの信頼が高いということです。

唯一のハイブリッド車「プリウス」

 2位の「トヨタ シエナ」と11位の「ホンダ オデッセイ」はミニバンです。Ly氏は「ミニバンは小さな子供連れの家族に理想的」で、ただし多くの人が「子供が成長した後も車を維持することを選択していることをデータは示しています」と述べています。

 3位のタコマと4位のタンドラはピックアップトラックです。やはり耐久性が評判で、運搬車としての機能が高く評価されています。

 9位のトヨタプリウスは、唯一のハイブリッド車です。その魅力はなんと言っても燃費でしょう。日本の国土交通省の発表した「燃費の良い乗用車ベスト10」でも1位を獲得しています。

 このようにみてみると、最大の人気の理由は「耐久性」と、それに対する「信頼性」ということになるでしょう。日本のものづくりに対する信頼はいまだ健在です。

<参考サイト>
・Cars People Keep the Longest│iSeeCars
https://www.iseecars.com/cars-for-sale#section=studies&study=cars-people-keep-longest&v=2020
・自動車燃費一覧(令和2年3月)│国土交通省
http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr10_000044.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(3)電力の部分最適と全体最適

サステナブルな電力の供給と消費が求められる現代社会。太陽光発電のように電力の生産拠点が多元化する中で、それぞれの電力需給と国全体の電力需給のバランス調整が喫緊の課題となっている。実はヨーロッパなどの「再エネ比率...
収録日:2024/02/07
追加日:2024/04/27
岡本浩
東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長執行役員最高技術責任者
2

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教

ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
橋爪大三郎
社会学者
3

イーロン・マスクと対立…ChatGPT大ブームまでの紆余曲折

イーロン・マスクと対立…ChatGPT大ブームまでの紆余曲折

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(2)ChatGPT開発秘話

仕事をはじめさまざまな生活シーンで多様な役割をこなすチャットボットとなった「ChatGPT」。OpenAIが公開したこのサービスが世界中を驚かせるまでには、その創業に携わったサム・アルトマンとイーロン・マスクの対立など紆余曲...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/26
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト
4

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運も実力のうち!?小早川の寝返りを生んだ黒田長政の好運

運と歴史~人は運で決まるか(2)運に恵まれるにはどうすればいいか

普通の人間の「運」については、どう考えればいいのだろうか。例えば、日本において消費文化が花開いた江戸時代、11代将軍・徳川家斉の治世には、庶民が「運がめぐってこない」ことを皮肉った狂詩があった。運には「めぐりあわ...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/04/25
山内昌之
東京大学名誉教授
5

「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷

「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷

文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元

日本語の発音は、漢字到来以来一千年の歴史を通してどう変わってきたのか。また、なぜ日本語は「文明語」として世界に名だたる存在といえるのか。二つの疑問を解き明かす日本語学者として釘貫亨氏をお招きした。1回目は古代日本...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/03/08
釘貫亨
名古屋大学名誉教授