社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
40歳でキャリアを一度考え直す必要がある理由
日本人の働き方が今、大きく変わろうとしています。東京大学大学院経済学研究科の柳川範之教授によると、その要因は二つ。一つはAI技術の進化をはじめとするデジタル化などの技術革新により、経済全体の変化するスピードが劇的に早まったこと。そしてもう一つは、「人生100年時代」ということで働く年数が長期化してきたことだといいます。
その上、世界中が襲われた新型コロナウイルスにより、社会の変革スピードにも拍車がかかっています。「ニューノーマル」と呼ばれる新しい社会・経済構造の構築も急ピッチ。そのような変化についていくには、それぞれの人が自分のキャリア、必要な能力について絶えず振り返りつつ変革していく必要があります。
かつてない潮流のなか、日本の労働慣行も変わりました。55歳が定年だった頃は、仮に20歳から働き始めると35年間だった職業生活が、定年が65歳まで延びるとすると45年間になるのです。
さらに定年が延びても、昔とった杵柄を生かせる職場でそのまま働き続け、ハッピーリタイアメントを迎える人はごく少数。たとえ長期雇用の会社であっても、定年後は別の会社で働く必要のある人がほとんどになります。
また、企業はかつての好調な時代のような「内部労働市場」をうまく回せなくなってきました。これは終身雇用を前提としたもので、「適材適所」を社内に配置するため、各企業は人事部を中心に社内教育を充実させてきたからです。
社内で人材を回すというシステムが限界にぶつかり、各企業は社内人事に時間とお金をかける余裕がなくなっています。その結果、個々人は自らキャリアを転換する必要に迫られることになっているわけです。
これまでの「年齢を重ねるにつれて、上へ上がり続けていく」というイメージは今後社会全体で修正されるだろうと、柳川教授は予測します。もし20年たって頂点に立ったなら、その先は別の方向で生き残りを考えなくてはならないという心構えを築く必要があるわけです。
そうなると、新卒の頃と40歳では、本人のプライドが違いますが、20年を一つのサイクルとして、セカンドキャリアをゼロスタートできるメンタルも要求されるでしょう。時にはセカンドライフを送るアスリートや定年後に別分野で活躍する方を参考にしたり、自分がやりたいことだけでなく、自分がいまできることと社会のニーズを見直したり、次へのステップのための勉強を始めたりと、できることはいろいろあります。
最初に決めたレールを全うするスタイルではなく、「定期的な選び直し」「定期的な学び直し」をするのが、「人生100年時代」のキャリアプランを成功させる秘訣ではないでしょうか。
その上、世界中が襲われた新型コロナウイルスにより、社会の変革スピードにも拍車がかかっています。「ニューノーマル」と呼ばれる新しい社会・経済構造の構築も急ピッチ。そのような変化についていくには、それぞれの人が自分のキャリア、必要な能力について絶えず振り返りつつ変革していく必要があります。
企業も社会も変わるなか、40歳の意識も変える
このような背景を考えると、柳川教授が早くから提唱してきた「40歳定年制」、すなわち「40歳でキャリアをもう1回考えなおす必要性」が現実味を帯びてきます。かつてない潮流のなか、日本の労働慣行も変わりました。55歳が定年だった頃は、仮に20歳から働き始めると35年間だった職業生活が、定年が65歳まで延びるとすると45年間になるのです。
さらに定年が延びても、昔とった杵柄を生かせる職場でそのまま働き続け、ハッピーリタイアメントを迎える人はごく少数。たとえ長期雇用の会社であっても、定年後は別の会社で働く必要のある人がほとんどになります。
また、企業はかつての好調な時代のような「内部労働市場」をうまく回せなくなってきました。これは終身雇用を前提としたもので、「適材適所」を社内に配置するため、各企業は人事部を中心に社内教育を充実させてきたからです。
社内で人材を回すというシステムが限界にぶつかり、各企業は社内人事に時間とお金をかける余裕がなくなっています。その結果、個々人は自らキャリアを転換する必要に迫られることになっているわけです。
「選び直し」と「学び直し」でセカンドキャリアを成功に
今はだれもがセカンドキャリアを考えなくてはならないという状況ですが、60歳や65歳になってから「新しい働き方」を考えるのでは間に合わないかもしれません。人生の節目節目で自分のキャリアを見直し、新しい能力を身につけることが求められます。その節目として、働きはじめておよそ20年目の40歳前後は大きな転機といえるのです。これまでの「年齢を重ねるにつれて、上へ上がり続けていく」というイメージは今後社会全体で修正されるだろうと、柳川教授は予測します。もし20年たって頂点に立ったなら、その先は別の方向で生き残りを考えなくてはならないという心構えを築く必要があるわけです。
そうなると、新卒の頃と40歳では、本人のプライドが違いますが、20年を一つのサイクルとして、セカンドキャリアをゼロスタートできるメンタルも要求されるでしょう。時にはセカンドライフを送るアスリートや定年後に別分野で活躍する方を参考にしたり、自分がやりたいことだけでなく、自分がいまできることと社会のニーズを見直したり、次へのステップのための勉強を始めたりと、できることはいろいろあります。
最初に決めたレールを全うするスタイルではなく、「定期的な選び直し」「定期的な学び直し」をするのが、「人生100年時代」のキャリアプランを成功させる秘訣ではないでしょうか。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
グローバル・ウエスト対中露、努力むなしい日本の現実
グローバル・サウスは世界をどう変えるか(6)グローバル・ウエストと中露の戦略
世界の勢力図を変えつつあるグローバル・サウスの影響力は、G7をはじめとするグローバル・ウエストの国々に深く浸透しつつある。また、中南米や中東、そしてアフリカのグローバル・サウスを取り込もうとする激しい争いは、グロ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/05/08
地球儀を俯瞰する!?国際政治を読むために重要な地図の見方
地政学入門 歴史と理論編(2)なぜ地理が重要なのか
国際政治を地理的要素に着目して分析するのが地政学だが、なぜ地理が国家間の政治を考える上で重要な要素になるのか。その理由は地理が持つ「不変性」にあると小原氏は言う。また、地理を考えるときに欠かせないのが地図で、見...
収録日:2024/03/27
追加日:2024/05/07
法曹界の『人間観』は間違い?脳の働きから考える「善悪」
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
“ヒトの罪とは何か”――この問題について、法学や哲学的アプローチでなく、進化生物学・進化心理学的視点から考察するのが今回の講義の趣旨である。ヒトが社会的動物として集団生活を送る中で個人間に利害対立が生じ、これを調整...
収録日:2023/12/11
追加日:2024/02/25
新宿の歴史…かつては馬糞臭い宿場町だった「内藤新宿」
『江戸名所図会』で歩く東京~内藤新宿(1)内藤新宿の誕生と役割
江戸時代後期に書かれた地誌『江戸名所図会』(えどめいしょずえ)をひもとくと、江戸時代の街の様子や人々の暮らしぶりが見えてくる。今回は、五街道の宿場町として重要な役割を果たした「内藤新宿」を取り上げ、新宿のかつて...
収録日:2024/02/19
追加日:2024/04/21
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26