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DATE/ 2017.06.24

なぜ人は「不倫」するのか?


 最近、「不倫」という言葉を耳にすることが増えたと感じる人も多いのではないでしょうか。芸能人や著名人の不倫報道が後を絶たず、不倫のドラマや映画も一定の人気を博しています。一般社団法人日本家族計画協会家族計画研究センターの2012年の調査によると、過去一年間に配偶者以外と性的コンタクトを取った既婚者は女性が23.9%、男性が57.3%という結果が出ており、意外と不倫の経験者が多いことがわかります。決して褒められるべきではないはずなのに、どうして不倫はなくならないのでしょうか? 今回は男と女の生物としての本能から、なぜ不倫するのかを紐解いてみました。

「子孫を残す」ために可能性を拡大させる男

 種を残すこと、それが生物としての本能であることはほかの動物と同じく人間にも当てはまります。その切り口から見てみると、男は生涯でひとりの女だけでなく複数の女と交流があった方が、より確実に自分の子孫を残せる可能性は広げることができます。つまり「生殖のチャンス拡大」という本能が男の不倫への原動力なのです。

自分を守る「保護能力」を求める女

 一方、女は妊娠・出産から子育て期が終わるまで自分のことだけでなく子どもに多くの時間を割かれるもの。つまり、その間は誰かに守ってもらう必要があるため、男に対して「自分を守る力を持っている」ことを求めるのです。それなりの社会的ステイタスを持ち、家庭を持って誰かを守るという実績を持つ既婚男性が魅力的に見えるのは、自分を守るだけのスペックを持っている可能性が高いと本能的に思うためなのです。

男は名前を付けて保存、女は上書き保存

 恋愛において「男は名前を付けて保存、女は上書き保存」という言葉がありますが、これはまさに不倫においてもあてはまるもの。男の場合は子どもを残すために、より多くの可能性を持っていたい本能ゆえの不倫なので、家庭を壊したくない場合が多いとされています。妻は妻、不倫相手は不倫相手と別物として考えるのです。その一方で女は「妻よりも私を選んでほしい」と不倫相手の一番になりたいと思うことが多くあります。もし女が不倫相手との子どもを生んだら不倫相手に守ってもらわなくてはならないので、当然ともいえるでしょう。この男と女のすれ違いが不倫による苦しみを生み出してしまうのです。

 人間が不倫をやめられないのは本能としての部分が大きいことがお分かりいただけたと思います。とはいえ人間は社会的生物なので、本能に従ってばかりではいけません。不倫は裏切られて悲しむ人を生み出し、事が発覚すれば裁判になる場合もあり、関わる人をことごとく不幸へ導いてしまうもの。不倫の落とし穴にはまらないように気をつけましょう。

<参考文献・参考サイト>
・『ウルトラ不倫学』(杉山崇著、主婦の友社)
・JEX の『ジャパン・セックス・サーベイ』からみる日本人の性行動の実態
http://www.jfpa-clinic.org/data/jex_japan_sex_survey_130701.pdf
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授