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新入社員が辞めない会社とすぐ辞める会社とは?
新人が一斉に入社する4月、今年の新入社員の様子はどうでしょうか。厚生労働省の資料によると、新規大卒3年後の離職率は全体で32.2%だとのこと(2014年4月卒業者の状況)。つまり、新入社員の3人に1人は3年以内に離職します。また過去20年を遡っても、この数値はおおよそ30%前後で推移しています。ということで、ここでは、新入社員の定着率が高い企業はどんな企業なのか、また、どういう企業で新入社員は離職しやすいのかといったことを詳しく見てみましょう。
1位:日本製薬(医薬品、66人)
2位:安川電機(電機・事務機器、59人)
3位:任天堂(ゲーム、57人)
4位:森永乳業(食品・水産、55人)
5位:アサヒビール(食品・水産、54人)
6位:電源開発(電力・ガス、51人)
7位:オークマ(機械、49人)
8位:都市再生機構(UR都市機構)(不動産、43人)
8位:ニチアス(ガラス・土石、43人)
10位:宇宙航空研究開発機構(JAXA)(その他サービス、42人)
誰も辞めないという点は驚きです。では、もう少し採用人数の多い(母数の多い)企業に絞ってランキングを見てみましょう。以下は、採用人数が100人を越える企業の3年後定着率ランキングです。左から会社名、業種、採用人数、3年後定着率です。
1位:東京地下鉄(鉄道)302人 99.3%
2位:神戸製鋼所(鉄鋼)104人 98.1%
3位:村田製作所(電子部品・機器)152人 98.0%
4位:花王(化粧品・トイレタリー)268人 97.8%
5位:いすゞ自動車(自動車) 132人 97.7%
6位:ジェイテクト(機械) 124人 97.6% ※総合職のみのデータ
7位:竹中工務店(建設) 197人 97.5%
8位:三菱UFJニコス(信販・カード・リース) 119人 97.5%
9位:デンソー(自動車部品) 350人 97.4%
10位:豊田自動織機(自動車部品) 156人 97.4%
採用人数100人を越えて3年後定着率がほとんど100%となると、3年以内に離職者はほとんどいないということ。こちらも驚異的です。厚生労働省の発表によると、離職率は3割程度なので、3年後定着率に置き換えると70%といったところです。こう考えると上位にいる企業からは、なにか企業体質として優れた点や組織の安定性、労働者の意識といったところで学ぶべきものはあるように思われます。
1)「見て覚えろ!」「とにかくやれ!」スタイルの会社
「教育の優先順位が低い会社」ということのようです。仕事の目的・意義・重要度をきちんと理解させないとモチベーションは上がらない。
2)「質より量ハラスメント」が蔓延している会社
長時間労働を前提とする働き方は変わりつつあるようです。また、ITリテラシーの高い部下と、低い上司の組み合わせの場合、部下がITを用いて残業を減らして効率化しようとしても、「仕事で楽をしようとするな」と上司がしかることもあるそうです。
3)減点方式のコミュニケーションが多い会社
「褒める」「称賛する」よりも、「非難」「叱責」が多いと「もっと良くするための議論」が「否定よりの議論」になり、新人が萎縮してしまうとのこと。「我慢しながら仕事する」ばかりでは「明るい未来」が見えないと思うのも当然ですよね。
4)社長やマネジャーが平気で約束を破る会社
組織は人間の信頼関係で成り立つものなので、約束を守らなければ信頼関係はなくなる。力は上司が持っているので、もちろん部下は従うか辞めるかしかなくなります。信頼できない上司のもとで積極的に働こうと思える人は、そういないですよね。
3年以内の離職率(3年後定着率)はその企業の労働実態を表していると言えるでしょう。就活する学生もこのあたりはしっかり研究しているはずです。むしろ会社側は、最近の新人はすぐに辞めるとぼやく前に、組織に問題がないかよく検証して見る必要はありそうです。
「新入社員の定着率が高い」200社ランキング
東洋経済では、『就職四季報2019年版(総合版)』に掲載する会社調査で、回答のあった942社のうち3年後定着率(2014年入社-2017年在籍)の高い上位200社を「新卒入社者の定着率が高い会社ランキング」として公表しています。これによると3年間で一人も離職者がいない会社は80社あります。この3年定着率100%の企業のうち、採用人数の多かった順にトップ10は以下の通りです。1位:日本製薬(医薬品、66人)
2位:安川電機(電機・事務機器、59人)
3位:任天堂(ゲーム、57人)
4位:森永乳業(食品・水産、55人)
5位:アサヒビール(食品・水産、54人)
6位:電源開発(電力・ガス、51人)
7位:オークマ(機械、49人)
8位:都市再生機構(UR都市機構)(不動産、43人)
8位:ニチアス(ガラス・土石、43人)
10位:宇宙航空研究開発機構(JAXA)(その他サービス、42人)
誰も辞めないという点は驚きです。では、もう少し採用人数の多い(母数の多い)企業に絞ってランキングを見てみましょう。以下は、採用人数が100人を越える企業の3年後定着率ランキングです。左から会社名、業種、採用人数、3年後定着率です。
1位:東京地下鉄(鉄道)302人 99.3%
2位:神戸製鋼所(鉄鋼)104人 98.1%
3位:村田製作所(電子部品・機器)152人 98.0%
4位:花王(化粧品・トイレタリー)268人 97.8%
5位:いすゞ自動車(自動車) 132人 97.7%
6位:ジェイテクト(機械) 124人 97.6% ※総合職のみのデータ
7位:竹中工務店(建設) 197人 97.5%
8位:三菱UFJニコス(信販・カード・リース) 119人 97.5%
9位:デンソー(自動車部品) 350人 97.4%
10位:豊田自動織機(自動車部品) 156人 97.4%
採用人数100人を越えて3年後定着率がほとんど100%となると、3年以内に離職者はほとんどいないということ。こちらも驚異的です。厚生労働省の発表によると、離職率は3割程度なので、3年後定着率に置き換えると70%といったところです。こう考えると上位にいる企業からは、なにか企業体質として優れた点や組織の安定性、労働者の意識といったところで学ぶべきものはあるように思われます。
「新入社員がすぐ辞めていく会社」4つの特徴
新入社員が辞めていく理由には、もちろん本人の甘えの問題や間違った意識の持ち方という点もあるかと思われます。しかし、もし離職率が下がらない(3年後定着率が上がらない)とすれば、まずはやはり組織の体質を見直す必要はあるのではないしょうか。第二新卒・既卒・フリーターの就活支援を行なう株式会社UZUZ専務取締役の川畑翔太郎氏によると、自身の経験から「新入社員がすぐに辞めていく会社の共通点」は以下の4つがあげられるとのこと。1)「見て覚えろ!」「とにかくやれ!」スタイルの会社
「教育の優先順位が低い会社」ということのようです。仕事の目的・意義・重要度をきちんと理解させないとモチベーションは上がらない。
2)「質より量ハラスメント」が蔓延している会社
長時間労働を前提とする働き方は変わりつつあるようです。また、ITリテラシーの高い部下と、低い上司の組み合わせの場合、部下がITを用いて残業を減らして効率化しようとしても、「仕事で楽をしようとするな」と上司がしかることもあるそうです。
3)減点方式のコミュニケーションが多い会社
「褒める」「称賛する」よりも、「非難」「叱責」が多いと「もっと良くするための議論」が「否定よりの議論」になり、新人が萎縮してしまうとのこと。「我慢しながら仕事する」ばかりでは「明るい未来」が見えないと思うのも当然ですよね。
4)社長やマネジャーが平気で約束を破る会社
組織は人間の信頼関係で成り立つものなので、約束を守らなければ信頼関係はなくなる。力は上司が持っているので、もちろん部下は従うか辞めるかしかなくなります。信頼できない上司のもとで積極的に働こうと思える人は、そういないですよね。
3年以内の離職率(3年後定着率)はその企業の労働実態を表していると言えるでしょう。就活する学生もこのあたりはしっかり研究しているはずです。むしろ会社側は、最近の新人はすぐに辞めるとぼやく前に、組織に問題がないかよく検証して見る必要はありそうです。
<参考サイト>
・厚生労働省:新規学卒就職者の離職状況(平成26年3月卒業者の状況)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553.html
・東洋経済ONLINE:「新入社員の定着率が高い」200社ランキング
http://toyokeizai.net/articles/-/202383
・東洋経済ONLINE:「新入社員がすぐ辞めていく会社」の4大特徴
http://toyokeizai.net/articles/-/199110
・厚生労働省:新規学卒就職者の離職状況(平成26年3月卒業者の状況)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553.html
・東洋経済ONLINE:「新入社員の定着率が高い」200社ランキング
http://toyokeizai.net/articles/-/202383
・東洋経済ONLINE:「新入社員がすぐ辞めていく会社」の4大特徴
http://toyokeizai.net/articles/-/199110
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