社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
我慢したい「炭水化物」、なぜ食べたくなるの?
肥満の大きな原因は炭水化物を摂取しすぎることによると言われています。それなのに、ダイエット中ほど恋しくなるのが炭水化物。イケナイと頭では分かっていながら、ついつい手を出してしまうのは、いったい何故なのか。その理由に迫ります。
脳の報酬系は「依存」とも関わっています。報酬系を活性化する薬物などを繰り返し摂取すると依存症や中毒に陥ります。そうした薬物は繰り返し服用するとだんだん快感の度合いが少なくなり、摂取量が増えていきます。さらに摂取できないと禁断症状があらわれてきます。
説明が長くなりましたが、なんと糖質や甘味にはこうした薬物と同様の効果があると言われているのです。つまり、炭水化物がついつい恋しくなってしまうのは脳の依存性が影響しているのです。
イェール大学の現代ダイエット・生理学研究センター長のダナ・スモール教授は、ドーナツやハンバーガー、チョコレートやクッキーなど炭水化物と脂肪が組み合わさった食べ物には、炭水化物だけでできている食べものよりも依存性が高いことを報告しています。これについても、炭水化物と脂肪の組み合わせが現代独特の食事であるため、脳が適応できず、報酬系に過剰な刺激をもたらしているのではないかと述べています。
逆にCRHニューロンを抑制すると、脂肪食の摂取が増加するとのこと。また、CRHニューロンはストレスを感じることで活性化することがわかっています。炭水化物と脂肪食のセットという点では、先述したダナ・スモール教授の研究と比べてみても興味深いです。岡本さんらの研究は肥満や糖尿病の治療に応用できるのではないかと期待されています。
さて、「なぜ肥満の大敵「炭水化物」が恋しくなるのか」という問いには、人間の脳の進化、いわばサピエンス全史とでもいうべき壮大な歴史が関わっていたことがわかりました。こんなにダイナミックな背景をもつ炭水化物中毒にはとうてい太刀打ちできない、なんて思ってはいけません。最悪の場合、糖尿病の危険も待ち受けています。
克服することは可能です。まず、第一に大事なことは自分が中毒であることを自覚することです。すべてはそこから始まります。そのうえで、依存脱却のための努力を重ねていきましょう。自分の力だけではどうしても難しいと感じた場合は専門の医師に相談しましょう。
炭水化物は薬物と一緒?
炭水化物が無性に恋しくなる理由はじつは脳にあります。非常にシンプルにいって、人間の行動は「快」と「不快」に左右されます。その「快」と「不快」を感じるためのしくみが脳にあります。脳の「報酬系」と呼ばれているものです。脳の報酬系は「依存」とも関わっています。報酬系を活性化する薬物などを繰り返し摂取すると依存症や中毒に陥ります。そうした薬物は繰り返し服用するとだんだん快感の度合いが少なくなり、摂取量が増えていきます。さらに摂取できないと禁断症状があらわれてきます。
説明が長くなりましたが、なんと糖質や甘味にはこうした薬物と同様の効果があると言われているのです。つまり、炭水化物がついつい恋しくなってしまうのは脳の依存性が影響しているのです。
なぜ、脳を強く刺激するのか
私たちの現代人の食事は、人類史の観点からみても過剰と言ってもいいくらい糖質と甘味を多く摂取しています。つまり、糖質と甘味にたいして人間はそれほど適応できているわけではありません。糖質や甘味が薬物なみに脳の報酬系を強く刺激するのはそのためです。イェール大学の現代ダイエット・生理学研究センター長のダナ・スモール教授は、ドーナツやハンバーガー、チョコレートやクッキーなど炭水化物と脂肪が組み合わさった食べ物には、炭水化物だけでできている食べものよりも依存性が高いことを報告しています。これについても、炭水化物と脂肪の組み合わせが現代独特の食事であるため、脳が適応できず、報酬系に過剰な刺激をもたらしているのではないかと述べています。
CRHニューロンとは?
最近、CHRニューロンという神経細胞が炭水化物の摂取を促していることがわかりました。この神経細胞は、琉球大大学院医学研究科第二内科の岡本士毅さんらのグループがマウス実験により発見しました。CRHニューロンが活性化すると、炭水化物を多く摂取し、脂肪の摂取が減少するのだそうです。逆にCRHニューロンを抑制すると、脂肪食の摂取が増加するとのこと。また、CRHニューロンはストレスを感じることで活性化することがわかっています。炭水化物と脂肪食のセットという点では、先述したダナ・スモール教授の研究と比べてみても興味深いです。岡本さんらの研究は肥満や糖尿病の治療に応用できるのではないかと期待されています。
さて、「なぜ肥満の大敵「炭水化物」が恋しくなるのか」という問いには、人間の脳の進化、いわばサピエンス全史とでもいうべき壮大な歴史が関わっていたことがわかりました。こんなにダイナミックな背景をもつ炭水化物中毒にはとうてい太刀打ちできない、なんて思ってはいけません。最悪の場合、糖尿病の危険も待ち受けています。
克服することは可能です。まず、第一に大事なことは自分が中毒であることを自覚することです。すべてはそこから始まります。そのうえで、依存脱却のための努力を重ねていきましょう。自分の力だけではどうしても難しいと感じた場合は専門の医師に相談しましょう。
<参考サイト>
・なるほど健康塾:糖質と甘味は中毒になる
http://www.daiwa-pharm.com/info/fukuda/7388/
・Gigazine:脂肪と炭水化物の組み合わせが人間を引きつけるのは脳の報酬系を刺激するため
https://gigazine.net/news/20180619-combining-fat-carbohydrate-food-reward/
・琉球大学医学部:動物性脂肪と炭水化物の食べ分けを決定する嗜好性制御神経細胞を発見
http://www.med.u-ryukyu.ac.jp/new-information/10848.html
・なるほど健康塾:糖質と甘味は中毒になる
http://www.daiwa-pharm.com/info/fukuda/7388/
・Gigazine:脂肪と炭水化物の組み合わせが人間を引きつけるのは脳の報酬系を刺激するため
https://gigazine.net/news/20180619-combining-fat-carbohydrate-food-reward/
・琉球大学医学部:動物性脂肪と炭水化物の食べ分けを決定する嗜好性制御神経細胞を発見
http://www.med.u-ryukyu.ac.jp/new-information/10848.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
次の時代は絶対にアメリカだ…私費で渡米した原敬の真骨頂
今求められるリーダー像とは(3)原敬と松下幸之助…成功の要点
猛獣型リーダーの典型として、ジェネラリスト原敬を忘れてはならない。ジャーナリスト、官僚、実業家、政治家として、いずれも目覚ましい実績を上げた彼の人生は「賊軍」出身というレッテルから始まった。世界を見る目を養い、...
収録日:2024/09/26
追加日:2024/11/20
国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題
教養としての「人口減少問題と社会保障」(4)増え続ける社会保障負担
人口減少が社会にどのような影響を与えるのか。それは政府支出、特に社会保障給付費の増加という形で現れる。ではどれくらい増えているのか。日本の一般会計の収支の推移、社会保障費の推移、一生のうちに人間一人がどれほど行...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/11/19
だべったら生存期間が倍に…ストレスマネジメントの重要性
新しいアンチエイジングへの挑戦(1)患者と伴走する医者の存在
「百年健康」を旗印に健康寿命の延伸とアンチエイジングのための研究が進む医療業界。そうした状況の中、本職である泌尿器科の診療とともにデジタルセラピューティックス、さらに遺伝子を用いて生物としての年齢を測る研究など...
収録日:2024/06/26
追加日:2024/10/10
石破新総裁誕生から考える政治家の運と『マカーマート』
『マカーマート』から読む政治家の運(1)中世アラブの知恵と現代の日本政治
人間とりわけ政治家にとって運がいいとはどういうことか。それを考える上で読むべき古典がある。それが中世アラブ文学の古典で教養人必読の書ともいえる、アル・ハリーリー作の『マカーマート』である。巧みなウィットと弁舌が...
収録日:2024/10/02
追加日:2024/10/19
遊女の実像…「苦界と公界」江戸時代の吉原遊郭の二面性
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
『江戸名所図会』を手がかりに江戸時代の人々の暮らしぶりをひもとく本シリーズ。今回は、遊郭として名高い吉原を取り上げる。遊女の過酷さがクローズアップされがちな吉原だが、江戸時代の吉原には違う一面もあったようだ。政...
収録日:2024/06/05
追加日:2024/11/18