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DATE/ 2019.03.03

ギャンブルで儲けたお金には税金がかかるのか?

 確定申告の話を聞くと、サラリーマンには医療費控除やふるさと納税以外は関係ないじゃないかと思われている方も多いでしょうが、一つ気になるのはギャンブルによる収入です。宝くじや競馬、パチンコなど、どんなものが課税対象になるのでしょうか?

宝くじは非課税!でも注意が必要な場合も

 まず、当たれば大きい宝くじ。年末ジャンボやドリームなどのジャンボ宝くじ、スクラッチ、ロト、totoなどのスポーツ振興くじは、当選しても確定申告する必要がありません。宝くじなどは、購入の段階で国が税金を控除しているため、非課税の扱いになっているのです。

 ただ、注意しておきたいのは、共同で買った宝くじで高額賞金を得た場合。共同購入した全員で当選金を受け取りに行くなり、委任状を用意しておけば問題はありませんが、だれか一人が代表で受け取ってしまうと、「贈与税」の課税対象となる可能性があります。確定申告とは関係ありませんが、注意しておきましょう。

 ちなみに海外旅行や出張で買った宝くじが当選した場合はどうでしょうか。まず、当選金の換金は現地で行わなければならず、その国の税法による税金(アメリカだと40%など)がその場で引かれます。また、日本の銀行に送金する際、「一時所得」として税金がかかってきます。

競馬・競輪で50万円以上当てたら!?

 競馬、競輪、競艇、オートレースは「公営競技」と呼ばれ、中央官庁が管理する賭博です。得た利益は確定申告を必要とします。ただ、ギャンブルで得た収入から、経費とともに特別控除として50万円を差し引いた額が一時所得となります。年間「50万円以上」が課税対象となるわけですね。

 年間50万円は黒字ではなく、「当たり」の合計です。つまり、合計して年間では赤字になっていたとしても、当たり馬券の合計が50万円以上になっていると、該当するので注意が必要です。

 また、「経費」と言われると、外れ馬券の購入費などが思い浮かぶと思いますが、それらは対象にはなりません。あくまでも当たり馬券の購入費のみが経費となります。

パチンコ・パチスロとカジノの違いって?

 パチンコやパチスロで得た利益も、年間「50万円以上」となれば確定申告を要します。ただ、パチンコやパチスロの場合、どこまでが経費なのか線引きが難しく、得た利益についても証明ができないため、現実的には税金の徴収が難しい状態になっています。

 パチンコやパチスロの営業は、「ギャンブルではなく娯楽である」ことを建前として行っているため、利益についてもお目こぼしがあります。

 パチンコ同様の意識で海外のカジノやオンライン・カジノを利用するのは間違いで、やはり合計50万円以上は課税対象です(こちらは競馬と違って、負けた場合も合計して収入額を割り出します)。マカオ、モナコ、ラスベガスなど、世界的に著名なカジノで得た利益に対しては、「全世界所得課税」という原則による課税がなされるため、現地と日本での二重課税は避けられます。

 今後、IR(統合型リゾート)の建設により、国内にもカジノが登場してきますが、「50万円以上は課税」という原則は同様です(競馬、カジノそれぞれで50万円ではありませんので、ご注意を)。ギャンブルで得たお金はつい景気よく、その場でパーっと使ってしまいますが、「50万円」という国税庁の線引きは頭の片隅に置いておきたいですね。

<参考サイト>
・国税庁:公営競技の払戻金の支払を受けた方へ
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/koueikyougi/index.htm
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