社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
なぜ「最近の若い者は…」は無くならないのか?
「最近の若い者は…」。いつから始まったのか、いつの時代も大人たちはこのように語りたがります。なぜ、時代を越えて繰り返されるのか。なぜなくならないのか、考えてみましょう。
もうすこし古い時代も探ってみましょう。「実年者は、今どきの若い者などということを絶対に言うな」と語った日本近代の偉人がいます。実年者とは50代、60代くらいの年齢層のことです。その偉人とは明治・大正・昭和を生きた山本五十六です。
山本五十六はさらに「なぜなら、われわれ実年者が若かった時に同じことを言われたはずだ」と語り、「何ができるか、とその可能性を発見してやってくれ」と締めくくります。
一言で言えば、「世代による価値観の違い」でしょう。多くの人が年を取ると、新しいものを受け入れたり、変化に追いついていくのが難しくなります。つまり、若いときの価値観、感覚がそのまま固定されてしまうというわけです。
他方、若者は、柔軟かつハイスピードで新しいカルチャーを取り入れていきます。「流行の発信地」と呼ばれる渋谷や原宿が「若者の街」でもあると考えるとわかりやすいでしょう。NHKで放映されていた朝ドラ「まんぷく」のエピソードでも描かれていたように、カップラーメンが現在のように普及したのも、中高年ではなく、新しいものに敏感な若者のおかげでした。
こうした若者との価値観の違いが「最近の若い者は…」という若者論を生み出しているのです。
あなたも昔、自分が言われていたことを言う側になってはいませんか。いつまでも自分の価値観でものを考えるのではなく、山本五十六のように、若者たちの可能性を見いだしてあげることが大人の役割ではないでしょうか。カップラーメンを発明した安藤百福も若者に可能性を見出し、商業的な成功をつかむことができました。
あえて大げさに言うのなら、日本の将来も若者こそが大きな鍵を握っています。多感で好奇心旺盛な若い世代にやる気になってもらわなければ経済もまわりません。
山本五十六の名言「実年者の態度」
「最近の若者は…だ」といったような、いわゆる”若者論”が流行りだしたのは1970年代以降のことだそうです。テレビのコメンテーターとしても大活躍している社会学者の古市憲寿さんがウェブメディア「シノドス」で語っています。もうすこし古い時代も探ってみましょう。「実年者は、今どきの若い者などということを絶対に言うな」と語った日本近代の偉人がいます。実年者とは50代、60代くらいの年齢層のことです。その偉人とは明治・大正・昭和を生きた山本五十六です。
山本五十六はさらに「なぜなら、われわれ実年者が若かった時に同じことを言われたはずだ」と語り、「何ができるか、とその可能性を発見してやってくれ」と締めくくります。
世代による価値観の違いが「最近の若い者は…」を生む
上の例に見たような近現代だけでなく、おそらく古代からずっと若者論は繰り返されてきたのでしょう。それにしてもなぜ、若い頃に「最近の若い者は…」と言われていた世代が、一定の年齢になると同じようなことを言い始めるのでしょうか。一言で言えば、「世代による価値観の違い」でしょう。多くの人が年を取ると、新しいものを受け入れたり、変化に追いついていくのが難しくなります。つまり、若いときの価値観、感覚がそのまま固定されてしまうというわけです。
他方、若者は、柔軟かつハイスピードで新しいカルチャーを取り入れていきます。「流行の発信地」と呼ばれる渋谷や原宿が「若者の街」でもあると考えるとわかりやすいでしょう。NHKで放映されていた朝ドラ「まんぷく」のエピソードでも描かれていたように、カップラーメンが現在のように普及したのも、中高年ではなく、新しいものに敏感な若者のおかげでした。
こうした若者との価値観の違いが「最近の若い者は…」という若者論を生み出しているのです。
「経済」を語るのは難しいけど、「若者」は語りやすい
さきほども紹介した社会学者の古市さんは「プレジデントオンライン」のインタビューで「日本経済を語るのは難しいけど、若者は論じやすい対象。自分の世代と比較でき、説得力もある。都合のいい社会語りの材料として、若者が使いやすいんじゃないでしょうか?」と話しています。あなたも昔、自分が言われていたことを言う側になってはいませんか。いつまでも自分の価値観でものを考えるのではなく、山本五十六のように、若者たちの可能性を見いだしてあげることが大人の役割ではないでしょうか。カップラーメンを発明した安藤百福も若者に可能性を見出し、商業的な成功をつかむことができました。
あえて大げさに言うのなら、日本の将来も若者こそが大きな鍵を握っています。多感で好奇心旺盛な若い世代にやる気になってもらわなければ経済もまわりません。
<参考サイト>
・【SYNODOS】震災後の日本社会と若者/小熊英二×古市憲寿
https://synodos.jp/society/1677/4
・『絶望の国の幸福な若者たち』古市憲寿:PRESIDENT Online
https://president.jp/articles/-/5659
・【SYNODOS】震災後の日本社会と若者/小熊英二×古市憲寿
https://synodos.jp/society/1677/4
・『絶望の国の幸福な若者たち』古市憲寿:PRESIDENT Online
https://president.jp/articles/-/5659
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
縄文文化と弥生文化を分ける「4つの文化説」に迫る
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(2)「4つの文化説」で考える弥生文化
縄文文化や弥生文化の区分は日本全体で一枚岩ではない。特に沖縄と北海道といった独自の文化を築いた地域はその区分には当てはまらず、また本州も地域ごとに異なる区分を持つ可能性がある。今回はこれまでの3つの文化説に対して...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/03/26
日本の働き方の大問題~第2の人生を明るくする方策は
編集部ラジオ2025(4)「壁」ばかりの労働市場をどうする?
日本では、2040年に働き手不足が1100万人になるといわれています。しかしその一方で、定年後の「労働市場」は、まことにお寒い限りです。
2025年4月の高年齢者雇用安定法改正で、企業には『雇用を希望する65歳までの労働...
2025年4月の高年齢者雇用安定法改正で、企業には『雇用を希望する65歳までの労働...
収録日:2025/02/05
追加日:2025/03/26
悪循環を壊すラストチャンス、攻めの経営への4つの兆候
グローバル環境の変化と日本の課題(4)攻めの経営に向けた構造変化
我慢の経営から攻めの経営へ――この30年間で染み付いた日本企業の我慢の経営体質。これからのグローバル経済に対応するためには、攻めの経営に転じる必要がある。その呼び水となる兆候はすでに出てきている。今起きつつある日本...
収録日:2025/01/17
追加日:2025/03/25
「実質所得低迷」の構造的要因と「緊縮財政」の歴史的悲劇
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(5)円安と実質所得低迷の構造的要因
日本国内でのお金の回りが芳しくない一方、海外への資金流出が強まっている。そこに日本経済の構造的課題と円安の要因が見え隠れする。今回はそれらを掘り下げるとともに、過去の緊縮財政が引き起こした悲劇も振り返りながらイ...
収録日:2024/12/04
追加日:2025/03/22
目標達成シートに注目!大谷翔平選手成功の鍵は考える習慣
大谷翔平の育て方・育ち方(4)高校時代の師の教えと目標達成シート
「球場の一番高いマウンドに立つ人間は、みんなが一番嫌がる仕事をしなさい」――これは花巻東高校時代に佐々木洋監督からいわれた言葉だが、野球のことだけでなく、こうした人間性に関わる教えの数々がその後の大谷翔平選手を作...
収録日:2024/11/28
追加日:2025/03/24