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なぜ日本の禁煙レベルは世界でも最低なのか?
2020年4月1日より全面施行される改正された健康増進法はご存じでしょうか。オリンピック開催に合わせて、望まない受動喫煙を防止するため、禁煙はマナーからルールになったということができます。では、具体的にどんなルールになるのか見ていくことにしましょう。
まとめると、
・多くの施設において屋内が原則禁煙
・20再未満は喫煙エリアへの立ち入り禁止
・屋内での喫煙には喫煙室の設置が必要
・喫煙室には標識掲示が義務付け
ちなみに、罰則としては施設管理者は50万円以下の過料、喫煙者は30万円以下の過料という行政処分が科せられます。
このように、まだまだ「禁煙後進国」といえるニッポンなのですが、なぜ、全面禁煙が進まないのでしょうか?
全面禁煙が進まない、その理由としては、第一に、利権と税収があげられます。
日本においては、国が売っているともいえる「たばこ産業法」とその利権、たばこ税収の総額は国・地方を合わせると平成28年度総額で2兆1,154億円、総税収の約3%に及びます。なかなかインパクトのある数値であることは理解いただけるのではないでしょうか。禁煙の趨勢から生産数の減少に対して、税をあげることで凌いでるといったところでしょうか。
第二に、喫煙の文化、習慣を擁護し、嫌煙権運動をファシズムになぞらえて発言するようになった「知識人」の存在もあげておきましょう。
日本国内においては、こうした喫煙派、禁煙派の議論の決着がつかない状況であり、喫煙が及ぼす健康的なリスクのエビデンスが積み上がりつつ、オリンピック開催からの国際的な禁煙ムーブメントに後押しされている現状のようです。
受動喫煙を防止するためのルール
改正法の施行は、2020年に向けて段階的に進められる予定となっており、一部の施設(学校・病院・児童福祉施設等、行政機関)における原則敷地内禁煙は2019年7月から施行されます。ちなみに、今年(2019年)の1月から、喫煙する際の周囲の状況への配慮義務はすでに施行されています。まとめると、
・多くの施設において屋内が原則禁煙
・20再未満は喫煙エリアへの立ち入り禁止
・屋内での喫煙には喫煙室の設置が必要
・喫煙室には標識掲示が義務付け
ちなみに、罰則としては施設管理者は50万円以下の過料、喫煙者は30万円以下の過料という行政処分が科せられます。
まだまだ「禁煙後進国」といえるニッポン
こうした改正健康増進法が施行されたとしても、日本は国際的なレベルで公衆の集まる場における屋内全面禁煙義務の第二段階に留まっています。公衆の集まる場所として定義されるのは、医療施設、大学以外の学校、大学、行政機関、事業所、飲食店、バー、公共交通機関です。国際的にはこの8種類全てに屋内全面禁煙義務がある国は55あるのに対して、日本は改正してようやく4種類(学校・病院・児童福祉施設等、行政機関)になったという状況なのです。改正前は、国際的なレベルで最低ラインでした。このように、まだまだ「禁煙後進国」といえるニッポンなのですが、なぜ、全面禁煙が進まないのでしょうか?
全面禁煙が進まない、その理由は?
たばこの煙を吸うことで健康上の害があることは、今や周知の事実となっています。それにも関わらず、「禁煙推進運動」や「受動喫煙対策」をしようとすると、立法を担う国会で賛否の議論がぶつかり合うという事態に。健康増進法改正においても、厚生労働省と自民党との間で調整が難航していたことを思い出すまでもないでしょう。全面禁煙が進まない、その理由としては、第一に、利権と税収があげられます。
日本においては、国が売っているともいえる「たばこ産業法」とその利権、たばこ税収の総額は国・地方を合わせると平成28年度総額で2兆1,154億円、総税収の約3%に及びます。なかなかインパクトのある数値であることは理解いただけるのではないでしょうか。禁煙の趨勢から生産数の減少に対して、税をあげることで凌いでるといったところでしょうか。
第二に、喫煙の文化、習慣を擁護し、嫌煙権運動をファシズムになぞらえて発言するようになった「知識人」の存在もあげておきましょう。
日本国内においては、こうした喫煙派、禁煙派の議論の決着がつかない状況であり、喫煙が及ぼす健康的なリスクのエビデンスが積み上がりつつ、オリンピック開催からの国際的な禁煙ムーブメントに後押しされている現状のようです。
<参考サイト>
・厚生労働省:受動喫煙対策
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000189195.html
・厚生労働省:受動喫煙対策
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000189195.html
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