社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
どこまで「分煙」すればいいの…受動喫煙問題
2016年8月31日、国立がん研究センターでは、受動喫煙のある人はない人に比べて肺がんになるリスクが約1.3倍として、これまで「ほぼ確実」としていた日本人の肺がんに対する受動喫煙のリスクを「確実」に引き上げました。こうした医療研究や、オリンピック開催を機に国際的な基準に合わせるように、東京都受動喫煙防止条例や、改正された健康増進法など、受動喫煙を抑止する法律が施行されるようになりました。
ポイントは、敷地内禁煙として、幼稚園、保育所、小学校、中学校、高等学校等、その敷地内での喫煙ができなくなります。これまでは、分煙として敷地内での喫煙場所がありましたが、今回は、屋内外喫煙場所の設置も不可となります。
また、飲食店においても従業員のいる飲食店は例外なく屋内禁煙(ただし喫煙室の設置可)。個人経営の小規模飲食店においては、標識を掲示すれば喫煙可となります。気になる「加熱式タバコ」の扱いですが、期限は未定ながら経過措置として、加熱式タバコ専用の喫煙室内であれば飲食しながらの喫煙は可となります。
喫煙が可能となる4タイプの喫煙室についてですが、「喫煙専用室」「加熱タバコ専用喫煙室」「喫煙目的室」「喫煙可能室」に区分され、標識の掲示が義務付けられ、事業規模、事業内容に応じて認可されることになります。喫煙室は、当然のことながら、来店客・従業員ともに20歳未満は立ち入ることが規制されます。
東京都受動喫煙防止条例は、健康影響を受けやすい子ども、受動喫煙を防ぎにくい立場の従業員を受動喫煙のリスクを低減することが大きな狙いということができそうです。
今後、経過措置的な喫煙室の運用を含めてどうなることか、分煙そのものの意味も問われそうです。なお、日本医師会のサイトにおいては、「受動喫煙をなくすためには、100%禁煙だけが唯一の対策」、「分煙しても完全にはたばこの煙の被害はなくなりません」と注意を喚起しています。
東京都受動喫煙防止条例
東京都受動喫煙防止条例が可決・交布されたのは2018年で、2019年より体制を整備することを目的に、段階的に施行される運びになっています。1月に、都・都民・保護者の責務等、9月1日には学校等での特定屋外喫煙場所設置不可や店頭表示ステッカーの義務化の施行、オリンピック・ パラリンピック開催前の2020年4月1日には、罰則適用も含め、全面的に施行されます。ポイントは、敷地内禁煙として、幼稚園、保育所、小学校、中学校、高等学校等、その敷地内での喫煙ができなくなります。これまでは、分煙として敷地内での喫煙場所がありましたが、今回は、屋内外喫煙場所の設置も不可となります。
また、飲食店においても従業員のいる飲食店は例外なく屋内禁煙(ただし喫煙室の設置可)。個人経営の小規模飲食店においては、標識を掲示すれば喫煙可となります。気になる「加熱式タバコ」の扱いですが、期限は未定ながら経過措置として、加熱式タバコ専用の喫煙室内であれば飲食しながらの喫煙は可となります。
喫煙が可能となる4タイプの喫煙室についてですが、「喫煙専用室」「加熱タバコ専用喫煙室」「喫煙目的室」「喫煙可能室」に区分され、標識の掲示が義務付けられ、事業規模、事業内容に応じて認可されることになります。喫煙室は、当然のことながら、来店客・従業員ともに20歳未満は立ち入ることが規制されます。
東京都受動喫煙防止条例は、健康影響を受けやすい子ども、受動喫煙を防ぎにくい立場の従業員を受動喫煙のリスクを低減することが大きな狙いということができそうです。
分煙への反発も
法制によって規制されつつも、特定屋外喫煙場所設置といった分煙についても課題が残ります。千葉市では「公共的な空間は原則禁煙であるべきで、喫煙所は受動喫煙の被害を及ぼす恐れがある。その維持管理に税金を投じ、喫煙を奨励する必要はない」という内容の陳情が市議会に寄せられるなど、喫煙所の設置が住民の反対運動で頓挫したといいます。今後、経過措置的な喫煙室の運用を含めてどうなることか、分煙そのものの意味も問われそうです。なお、日本医師会のサイトにおいては、「受動喫煙をなくすためには、100%禁煙だけが唯一の対策」、「分煙しても完全にはたばこの煙の被害はなくなりません」と注意を喚起しています。
<参考サイト>
・国立がん研究センター:受動喫煙による日本人の肺がんリスク約1.3倍
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2016/0831/index.html
・東京都福祉保健局:東京都受動喫煙防止条例について
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/tokyo/file/0020190329.pdf
・NIKKEI STYLE:公衆喫煙所は迷惑施設か 分煙策なのに住民から反発も
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO36311420Q8A011C1000000/
・日本医師会:受動喫煙への対策
https://www.med.or.jp/forest/kinen/strategy/
・国立がん研究センター:受動喫煙による日本人の肺がんリスク約1.3倍
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2016/0831/index.html
・東京都福祉保健局:東京都受動喫煙防止条例について
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/tokyo/file/0020190329.pdf
・NIKKEI STYLE:公衆喫煙所は迷惑施設か 分煙策なのに住民から反発も
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO36311420Q8A011C1000000/
・日本医師会:受動喫煙への対策
https://www.med.or.jp/forest/kinen/strategy/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
アメリカは一体どうなってしまったのか。今後どうなるのか。重要な同盟国として緊密な関係を結んできた日本にとって、避けては通れない問題である。このシリーズ講義では、ほぼ1世紀にわたるアメリカ近現代史の中で大きな結節点...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/10
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
人間がこの世界を生きていく上で、バイアスは避けられない。しかし、そこに居直って自分を過大評価してしまうと、それは傲慢になる。よって、どんな仕事においてももっとも大切なことは「謙虚さ」だと言う今井氏。ただそれは、...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/16
近代医学はもはや賞味期限…日本が担うべき新しい医療へ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(3)医療の大転換と日本の可能性
ますます進む高齢化社会において医療を根本的に転換する必要があると言う長谷川氏。高齢者を支援する医療はもちろん、悪い箇所を見つけて除去・修理する近代医学から統合医療への転換が求められる中、今後世界の医学をリードす...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/19
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
一橋大学大学院国際企業戦略研究科研究科長・教授の一條和生氏によれば、AIが不得手なのは、暗黙知・常識に基づく高度な判断である。人間の役割はこうした暗黙知を捨てず、個々の状況での判断力を磨いていくことだ。暗黙知を支...
収録日:2017/07/24
追加日:2017/10/30
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
宇宙とは何かを考えるうえで中国の古典である『荘子』・『淮南子(えなんじ)』に由来する「宇宙」という言葉が意味から考えてみたい。続いて、地球から始まり、太陽系、天の川銀河(銀河系)、局所銀河群、超銀河団、そして大...
収録日:2020/08/25
追加日:2020/12/13


