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DATE/ 2021.03.14

国道に「欠番」がある理由とは?

 日本の国道は1号から507号まで、全部で459路線あります。507号まであるのに、なぜ459路線なのか、ここがポイントです。つまり途中の欠番がそれなりの数あるということになります。普通に1番から順番につけたわけではないのでしょうか。ここではなぜ国道に欠番があるのかということについてみてみましょう。

過去「一級国道」「二級国道」が番号の桁数で区別されていた

 欠番となっているのは59から100号、109から111号、214から216号の計48路線。それぞれ抜けている理由が若干異なります。まずは59号から100号について見てみましょう。

 1952年(昭和27年)の道路法改正時には、国道は「一級国道」と呼ばれるものと「二級国道」と呼ばれるものの2種類がありました。「一級国道」とは重要な都市を結ぶ幹線道路。「二級国道」とは、県庁所在地と重要都市を結ぶ道路や、港や空港などと「一級国道」をつなぐ道路といった、一級国道の補助的な役割を果たす道路でした。この時点で一級国道には2桁の数字が割り当てられ、57号まで指定されました。一方、「二級国道」には101以降の3桁の国道番号が割り当てられています。

 この後、1964年(昭和39年)の道路法改正により、「一級」「二級」という区分は廃止され、すべて「一般国道」となります。これ以降、新設される国道は3桁の番号が付与されることとなりました(沖縄返還時(1972年)に58号となった鹿児島から沖縄の国道は特例)。こうして、59号から100号は、今でも欠番となっています。つまり、59号から100号は、命名上のルールによってそもそも存在していません。

統合と昇格による消滅

 これとは異なり、国道109号から111号、214号から216号までの6つの道路は、過去に存在しましたが、いずれも1963年「(昭和38年)に消滅しました。「二級国道」109号は、108号の一部が「一級国道47号」に昇格した際、108号の残りの部分と統合され108号に。110号は「一級国道」48号に昇格、111号は「一級国道」45号に昇格、214号、215号、216号は統合され「一級国道」57号に昇格しています。つまり、1963年に整理された際、統合や昇格によって消滅した国道たちです。このあたり、やや複雑な経緯があることがわかります。

いまでも「直轄国道」と「補助国道」の区分はある

 このように国道に欠番がある理由は、「一級」「二級」という国道の過去の括りが大きく影響していたことがわかります。いまではこの括りは無くなりましたが、実は同時期に当時の建設省(現、国土交通省)は「直轄国道」と「補助国道」という区別を設定しました。どのように違いがあるのかというと、最も大きいのは、管理する資金の負担割合です。「一級国道」などを引き継いだ「直轄国道」での国の負担割合は、新設と改築が3分の2、維持と修繕が100%なのに対し、「補助国道」では新設と改築が2分の1、修繕が2分の1以内、維持が0%となっているそうです。このことによって、国は重要な道路を整備し、それ以外の地域の重要な国道は地方自治体が整備するという体制が敷かれています。

<参考サイト>
【国道トリビア】 国道の番号に欠番があるのはなぜ?|GAZOO
https://gazoo.com/drive/kokudo/19/03/24/
道路行政の簡単解説|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/dorogyousei/
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