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DATE/ 2022.02.28

23区から初の「転出超過」…引っ越し先はどこ?

 日本の総人口が減少傾向にあるとは言え、東京一極集中は続いている、というのが定説だったのですが、総務省の発表によると2021年は初めて東京23区から転出した人が転入を上回る「転出超過」となりました。いったい何が要因なのでしょうか?

テレワークにマンション価格高騰も要因

 東京都全体で見るとまだ「転入超過」が5433人いるのですが、23区に限ると14828人の「転出超過」。従来は5~6万人程度の「転入超過」が見られていましたが、トレンドが変わったのは何と言ってもコロナ禍が大きいでしょう。2020年3月の都の調査ではテレワーク実施率は24.0%でしたが、同年4月に緊急事態宣言が発令されて以降、50~60%で推移しています。もちろんフルでテレワークをできる企業はごく一部に限られるため、50~60%の企業でも実際に濃淡の差はあるわけですが、それでも週5日都内のオフィスへ出社していた生活が週2~3日で良くなった、在宅勤務が増えた、となれば、それまで職場の近くに住居を構えていた人でも郊外の広い住宅を求める、というのは取り得る選択肢となるでしょう。一部の企業では本社機能を東京から他県へ移すという動きも見られました。

 また、テレワークが進む中で同時に起こっていたのがマンション価格の高騰です。不動産経済研究所の調査では2021年に発売された首都圏の新築マンションの平均価格が6260万円となり、バブル期を超えたということでも話題になりましたね。中でも東京23区は2021年8月の平均価格が1億812万円と、平均が“億ション”となってしまったのです。住宅金融支援機構の「2020年度フラット35利用者調査」によると、首都圏でフラット35を利用したマンションの購入者の年収倍率は7.5倍でした。もし1億800万円のマンションを買う場合、年収1440万円となる計算ですね。

 厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」(2019年)によると、世帯年収の全国平均は552万3000円。そして東京都が出している「都民のくらしむき」を見ると都内の勤労者世帯の平均は808万1616円です。全国平均に比べ高めであるとは言え、億ションにはなかなか手が届かないですね。それならばと、郊外に住居を求めるのはこの点でも納得がいくところです。

周辺の県は「転入超過」 近郊が選ばれる時代に?

 東京23区は「転出超過」になる一方で、周辺の神奈川、千葉、埼玉は「転入超過」が拡大し、茨城、山梨、群馬は初めて「転入超過」になりました。「転入超過」数の多い自治体を全国で見てみると、さいたま市、横浜市が1,2位となった他、千葉市(6位)、つくば市(7位)、藤沢市(8位)、流山市(9位)、相模原市(10位)とトップ10のうち7自治体が東京以外の首都圏でした。また、八王子市(12位)、町田市(13位)など23区外では「転入超過」の自治体もあります。東京都アドレスであっても23区内に比べれば物件価格が抑えられているため、神奈川、千葉、埼玉などの東京周辺の県と同じく転居先として選ばれていると見ることができます。

 コロナ禍が完全に収束するかどうかはともかく、いずれ何らかの形で克服したとしても、再び東京一極集中が進むということは考えにくいでしょう。「職住近接」というフレーズは過去のものとなる日がやってくるかもしれないですね。

<参考サイト>
・統計局ホームページ/住民基本台帳人口移動報告
https://www.stat.go.jp/data/idou/index.html
・テレワーク実施率調査結果|東京都
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/12/09/06.html
・【ホームズ】今の年収でいくらのマンションが買える? 購入価格や住宅ローンの目安について解説 | 住まいのお役立ち情報
https://www.homes.co.jp/cont/buy_mansion/buy_mansion_00498/

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