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DATE/ 2022.04.02

ギザ10にどれぐらい価値はあるのか?

 「ギザ10」と聞いて、ピンとくるあなたはなかなかの通です。通称「ギザ10」、側面がギザギザになっている10円のことです。昭和生まれの方々は、なんとなく記憶があるかと思いますが、あえて探すとなかなか出会えないのが「ギザ10」。それだけに付加価値がついているとか、いないとか。

ギザ10とは?

 あらためて、現在製造されている側面がツルツルしている10円玉ではなく、ギザギザしているのが「ギザ10」です。昭和26年(1951年)から昭和33年(1958年)にかけて製造されました。

 ギザギザ仕様の理由は、発行された時代、10円が最高額面の硬貨であったため、最高額面として識別するため、側面をギザギザにしたとのこと。その後、50円玉、100円玉が製造されるようになり、ギザギザ仕様は銀色硬貨に継承され、昭和34年から現在のような側面ツルツルの10円玉が製造されるようになりました。

ギザ10の価値

 ギザ10は、昭和26年(1951年)から昭和33年(1958年)の製造ということで、だいたい70年くらい流通されていることになります。昭和の時代においては普通に使えていましたが、経年劣化することで自販機で使えなくなくなるなどといった理由で、日本銀行に回収されているそうです。市場から消え始めると、その希少価値に目を光らせたコインコレクターが集め始めることから市場からの回収に拍車がかかり、令和の時代において出会うことはなかなかレアな状況といってよいでしょう。

 なお、具体的な希少価値は製造数に注目する必要があります。

・昭和26年 1億106万8000枚
・昭和27年 4億8663万2000枚
・昭和28年 4億6630万枚
・昭和29年 5億2090万枚 
・昭和30年 1億2310万枚
・昭和32年   5000万枚
・昭和33年   2500万枚

 ということで、注目すべきは昭和32年、昭和33年の「ギザ10」ということになります。ただ、この年代であれば、すべて高価買取というわけではなさそうです。高価買取の条件としては美品であること、つまり使用感が査定されます。

 買取価格など、時代によって変動します。ここ数年の動向でみていくと、使用感がある場合、昭和32年は80円、昭和33年は100円くらいの価値ですが、未使用美品であれば、昭和32年は2万円以上、昭和33年は5万円以上になるとのことです。

 この年数以外ギザ10は、残念ながら10円以上の価値はなかなかつかないようです。

ギザ10以外で価値がある硬貨は?

 現在と違うデザイン"の硬貨として、ギザ10に並ぶのが「フデ5」になります。5円硬貨で、現在の書体がゴシック体に対して、フデ5は楷書体でデザインされています。昭和24年から昭和33年にかけて発行されました。

 10円硬貨に戻って探ってみると、昭和61年後期に製造された10円玉に価値がついています。前期製造分との差分で、平等院鳳凰堂のデザインが3か所違うとのこと。しかし、ギザ10とは比較にならないほど、探すのに時間がかかりそうです。

 少額のお買い物はペイペイ、スイカなど電子決済が主流になり、少しお高めの買い物で紙幣決済からのおつり硬貨は貯まる一方、なおかつ硬貨は、銀行に預け入れるだけで手数料がかかる時代になってしまいました。お家時間に持て余したら、貯まっていく硬貨の山から宝探しをしてみるのも一興かもしれませんね。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
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松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授