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DATE/ 2022.04.20

硬水と軟水の違いとは?メリット・デメリット

 水には軟水と硬水があり、一般的に日本の水は軟水、ヨーロッパの水は硬水と言われます。もちろん細かく見れば、ヨーロッパでもエリアによっては軟水のところもあるようです。では軟水と硬水にはどのような違いがあり、それぞれどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。違いからそれぞれおすすめの飲み方や利用方法といったところまで見てみましょう。

軟水と硬水の違い

 硬水と軟水の違いは、「硬度」にあります。「硬度」とは水1リットルあたりに溶け込んでいるカルシウムとマグネシウムの量のことです。硬度の計り方にもいくつか方法があるようですが、日本では「アメリカ硬度」と呼ばれる方法を採用しています。大枠での基準では硬度100未満の水を「軟水」と呼び、これ以上の数値のものを「硬水」と呼びます。

 またWHO(世界保健機構)では、アメリカ硬度をもとにもう少し細かい「飲料水水質ガイドライン」を定めています。この基準では硬度を4つに分類し、硬度60未満が「軟水」、60以上120未満が「中等度の硬水」、120以上180未満が「硬水」、180以上を「非常な硬水」と定めています。

 東京大学は2021年に47都道府県665地点での水道水を調査しています。これによると日本の水道水の硬度平均は48.9mg/Lで、WHOの細かい基準に当てはめても軟水であることがわかります。また、ヨーロッパの代表的なミネラルウォーターであるエビアン(フランス)は、公式サイトによるとその硬度は304mg/Lとのこと。WHOの基準で捉えると「非常な硬水」となります。

 なぜ日本の水が「軟水」なのかというと、理由は大きく二つ考えられるようです。まずは日本の地層が、もともとミネラルが少ない火成岩(特に花崗岩、マグマが冷えて固まった岩石の一種)が中心である点。もう一つは、山脈が険しいことで河川が短く、急勾配になっている点です。このことで雨水が地面に浸透しながら地下水にミネラルが溶け込む、というプロセスがあまり働かないようです。

 これに対してヨーロッパは、日本とは逆にミネラルが豊富な石灰岩(水中動物の骨などが積もってできた岩)が多く、山から海までの傾斜が緩やかです。雨水は川を流れる間にゆっくりと土に浸透し、たっぷりとミネラルを含んだ地下水になります。ちなみに味の観点から言うと、一般的に「軟水」はまろやかでさっぱりしていて、硬水は口当たりが重く苦味があると評されることが多いようです。

軟水のメリット

 軟水は胃腸や肌といった、「体に優しい」という点がまずあげられます。胃腸が未発達な赤ちゃんや子供、胃腸が弱っている状態の人には負担になります。硬水で顔や体を洗うと肌がつっぱったり、髪を洗うとパサパサになったりするという人もおおいです。これが軟水であれば、石鹸の泡立ちもよく肌や髪も優しく洗うことができます。

 また、日本食に対しても軟水は有効です。「旨味」や「だし」が鍵となる日本食は、軟水の国だからこそ生まれた料理かもしれません。軟水は素材の旨味成分を引き出します。また、米や野菜に浸透しやすいことから、柔らかく仕上がる点も魅力的です。特に米は軟水で炊くことでふっくらつやつやに炊き上がります。

硬水のメリット

 一方、西洋の煮込み料理にはやはり硬水が向いています。特に肉を煮込むときにはアクを出しやすくしてくれます。日本の料理でも鍋物やしゃぶしゃぶといった、肉や魚介類を多く使うものにも向いているようです。また硬水でパスタを茹でると、パスタのデンプンと硬水のミネラルが結合し、麺にコシが出ます。さらにパラっとしたご飯にしたい料理、たとえばチャーハンやピラフ、パエリア、サフランライスなどは硬水で炊いた方が美味しくできるようです。

 また、硬水はミネラルを補給できる点は魅力的です。朝起きたとき、入浴後、夏場や乾燥した時期などで喉が渇いたとき、スポーツ後などにも有効です。硬水は汗とともに失われるミネラルを補給する手助けになります。よく足がつるという人もミネラル不足の可能性があります。硬水を飲むことを習慣にするといいかもしれません。ただし、硬水を飲めば必要なミネラル全て補えるというわけではありません。食事バランスはしっかり意識しましょう。

緑茶、紅茶、コーヒーはお好みで

 昔ながらの日本茶(緑茶)は軟水で出した方が、お茶の成分がしっかり抽出されます。また香りもいいようです。一方、硬水で入れるメリットもあるようです。緑茶に含まれる「シュウ酸」はカルシウムと結合しますが、この「シュウ酸」とはアクに含まれる成分でえぐみや渋味のもと。つまり、硬水で緑茶を入れるとまろやかな味わいになるようです。

 紅茶も緑茶と同様、軟水で入れると風味よく仕上がります。渋みを抑えたい場合やコクを出したい場合は硬水がいいという意見もあるようです。また硬水で入れると紅茶の色が濃くなるので、ミルクと混ぜたときに映えます。コーヒーは軟水で入れるとまろやかでコクと酸味が際立ち、硬水を使うと酸味が抑えられる一方で、苦味が際立ちます。ヨーロッパのガツンとした苦味が好きな方は、硬水でいれてみるのもアリかもしれません。

 ただし、日本に長く住んでいる人が飲み慣れているのは軟水です。ここまで触れた通り、さまざまな点で硬水には優れた点がありますが、硬水を飲むときには少しずつ体を慣らしましょう。硬水に含まれるマグネシウムは、急にたくさん摂取するとお腹を壊す可能性があります。

<参考サイト>
あなたの水道水、「硬さ」調べました ~日本全国水道水の硬度分布~|東京大学
https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/topics/files/20210629watanabe_horisoubun01.pdf
硬水と軟水の違い|evian
https://www.evian.co.jp/mineral/hardsoftwarter.html
軟水・硬水の違いを比較! 料理や美容に活用できる!飲み分け・使い分けのススメ|Kirala Water
https://www.kirala.jp/special/knowhow/440/
ミネラルウォーターで料理する|水広場
https://www.mizuhiroba.jp/knowledge/mineusage.html

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