社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.09.30

車のライト、正しく使い分けられていますか?

 車のライトの役割は、単に夜間に前を照らすためというだけではありません。細かく分ければ約10種類ほどあり、周囲に自車の存在を知らせる、減速や停止を知らせるなどさまざまな役割があります。また、ヘッドライトは状況に応じてハイビームとロービームを使い分けなければなりません。車のライトはなんとなく使っているというひとも多いのではないでしょうか。ここではどんな時にどんなライトをどのように使うのか、確認しておきましょう。

「ハイビーム」「ロービーム」は使い分けが大事

 ヘッドライトにはロービームとハイビームの2種類があります。ハイビームはおよそ100m先までを照らし、ロービームが照らし出すのはおよそ40m先までです。道路交通法によると、基本的に対向車や前走車がいない見通しの悪い場所では「ハイビーム」に、対向車とすれ違う時や前走車がいる場合は「ロービーム」にする、ということになっています。「ロービーム」の正式な名称は「すれ違い用前照灯」です。これに対して「ハイビーム」の正式名称は「走行用前照灯」と呼ばれます。どちらが基本と考えるのではなく、大事なのは切り替えです。

 近年のヘッドライトは特に明るくなっていることもあり、対向車や向かってくる自転車や歩行者がいる状況で「ハイビーム」のままにしていると、相手の視界をさえぎることになり危険です。状況に応じてこまめに切り替える必要があります。最近では状況に応じて自動でビームを切り替える「オートハイビーム(自動切換型前照灯)」や、車載カメラでセンシングした情報をもとに光を電子制御する「ADB(Adaptive Driving Beam System:アダプティブ・ドライビング・ビーム)」と呼ばれるヘッドライトなども普及し始めているようです。

「ロービーム」の「光軸チェック」は行おう

 「ロービーム」は正しい状態では1%程度下向きになるように調整されています。これであれば「カットオフライン」と呼ばれる光の照らす場所が、10m先では10cm下がります。しかしこのロービームの光軸がずれることもあります。もし上向きになっていると、対向車のドライバーの顔までを照らしてしまい危険です。違和感を感じたら、「光軸チェック」を行いましょう。

 方法は、まず「ロービーム」にした車の前に立ち、自分の体に投影された「カットオフライン」の位置を指で押さえます。次にそこから車一台分くらい離れてみましょう。このとき、はじめに抑えていた位置よりも5cm程度下にきていれば問題ありません。もし指で抑えた位置よりも上に来ていたとしたら、光軸がずれて上を向いています。ぜひ早めに整備工場やディーラーに相談しましょう。

「スモールランプ」は停車中に使う

 「ヘッドライト」以外にも「スモールランプ」というものもあります。「スモールランプ」は「ヘッドライト」と同じスイッチで切り替えるようになっています。これは別名「クリアランスランプ」や「ポジションランプ」「車幅灯」などとも呼ばれます。停車中に自車の存在を周囲に知らせるためのものです。あくまで周囲が暗くなった時に使用するのは「ヘッドライト」と考えましょう。

 ほかにも「フォグランプ」と呼ばれるものもあります。このライトは「ヘッドライト」の下部に設置されていて、「前部霧灯(ぜんぶむとう)」とも呼ばれます。「フォグ=霧」という言葉通り、主に霧の時に使うことで効果を発揮します。霧が発生している時には、ヘッドライトのハイビームは乱反射してうまく機能しないことがあります。「フォグランプ」は下向きに点灯することで視界が向上します。

ライトが切れたまま走ると違反点数1点、罰金7000円

 「ヘッドライト」や「ブレーキ(テール)ランプ」などが切れたまま走ると「整備不良」で違反となります。この場合「違反点数1点、罰金7000円」が課されます。ランプは事前に兆候がなく突然切れることもあるので少し厄介ではあります。ただガソリンスタンドでも交換してもらえるようなので焦らず。これまではハロゲンライトで約3年程度、HIDライトで約5年程度が寿命でしたが、最近主流となっているLEDのライトであれば寿命は15年とだいぶ長くなっています。ということで主に中古車に乗るときには注意が必要です。

 また、特に「ブレーキ(テール)ランプ」が切れている場合は気づきにくいと思われます。しかしブレーキランプが切れていると、追突事故のリスクが確実に高まります。自身でチェックするにはガレージなどでブレーキを踏み、ランプの反射を確認するといった方法があります。ただ、なかなかおろそかになりやすいところでもあります。こういった意味でも、車はぜひ定期的な点検を心がけましょう。

<参考サイト>
正しく点けていますか?ヘッドライト、スモールランプ、フォグランプ│ヘッドライト早期点灯研究所
https://www.omoiyari-light.com/LAB/RESEARCH/000732.html
自動車に装着されるライトを10種類紹介!法令と車検についても解説│ネクステージ
https://www.nextage.jp/syaken_guide/info/270169/
すぐできる光軸チェックでヘッドライトを正しく使おう│JAF
https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/safety-light/optical-axis-check
[Q]夜間走行時のヘッドライトはハイビームが基本?|JAF
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-drive/subcategory-safety/faq158
車のヘッドライト。HID・ハロゲン・LEDライトのバルブ交換や光軸調整・殻割り方法|ZURICH
https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-headlight-adjustment/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
2

歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方

歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方

編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる

この人生を生きていくうえで、「歴史」をひもとくと貴重なヒントにいくつも出会えます。では、実際にはどのように歴史をひもといていけばいいのか。

今回の編集部ラジオでは、歴史作家の中村彰彦先生がご自身の方法論...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/27
3

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本

「歴史を探索していく」とは、どういうことなのだろうか。また、「歴史を活かしていく」とはどういうことなのだろうか。歴史作家の中村彰彦氏に、歴史を探り、活かしていく方法論を、具体的に教えてもらう本講義。第一話は、歴...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/14
4

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール

内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた主な要因として、二つのオウンゴールを挙げる島田氏。その一つとして台湾のモリス・チャン氏によるTSMC立ち上げの話を取り上げるが、日本はその動きに興味を示さず、かつて世界を席巻して...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/25
5

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授