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高齢になるとゴミ出しが難しくなる?原因と支援
高齢者は昨日まで出来ていたことが突然出来なくなったり、分からなくなったりすることがよくあります。大事な書類をどこにしまったか思い出せない、カードの暗証番号が出てこない、携帯電話の操作が出来なくなった等、その変化に本人や家族も「年を取ったな」と実感することも多いでしょうし、それが認知症の始まりだったというケースも。中でも対策が必要だと注目されているのが、高齢者の「ゴミ出し」問題です。
【認知機能の低下】
・ゴミの分別が出来なくなる
・ゴミとそうでない物の区別が出来なくなる
・ゴミ出しの曜日や時間が分からなくなる
・ゴミ収集の場所がどこか忘れてしまう
認知機能が衰えると「時間や場所」といった日常的なルーティンも分からなくなってしまいがちです。また複雑化されたゴミの分別を完璧に理解して実践するのは若い人でも難しい場合もあり、ましてや認知機能が低下した高齢者には簡単ではありません。そしてゴミを収集してもらえなかったり、近所の方に注意されたりゴミ出しの失敗が重なると、それを恐れてゴミ出し自体が出来なくなって家の中にゴミを溜目込みゴミ屋敷化してしまう悪循環になることも。
【身体機能の低下】
・筋力や歩行能力が衰え収集場所に運べない
・重い物や大きい物が持てなくなる
・体調を崩しがちで外出が難しい
高齢になると腰や膝を痛めたり、握力の低下を感じる人も多いため、ゴミ出しは身体的にも大きな負担となります。エレベーターのない団地などに住む方はゴミを持って階段を降りるのもリスクがありますし、杖を使わないと歩けない方が片手にゴミを持って歩くのも危険。ほんの数十メートルの距離でもゴミを持って歩くことが厳しい状況に陥る高齢者も稀ではありません。
また、この高齢者のゴミ出し困難が社会問題となり得る背景には、核家族化が進み高齢夫婦二人だけ、もしくは高齢者の単身世帯の増加があります。ゴミ出しを手伝ってくれる家族がいない場合、ゴミ出しが難しくなる可能性がどんな高齢者にもあるのです。
それまでは23.5%の自治体のみが独自の予算や考えで支援を行っていましたが、上記の国の補填措置により新たに高齢者のゴミ出し支援を始めたり、充実させる自治体が増えてきました。例えばゴミ収集日に収集職員が玄関先まで戸別に取りに来てくれるサービスや、収集日を問わず決まったポリバケツに入れたゴミを分別して捨ててくれるサービス、ゴミを溜め込んだ居宅の片付けや清掃費用の補填などがあります。
しかしながら、まだ支援制度を導入していない自治体もありますし、非課税世帯かどうかや年齢、介護度などの条件によっては利用できない場合も。また各自治体ごとに支援内容も異なるため、ゴミ出しが困難になった高齢者は、お住まいの地域の役所や地域包括センターにどんなサービスが利用できるのか問い合わせてみることが必要です。
このような制度自体を知らない高齢者が多いのも事実。近隣の方や知人に収集日に声掛けをしてもらう、別世帯に家族がいるなら電話やアラームの設定でリマインドしてもらう、地域のシルバー人材センターやボランティアなどのサービスを利用する方法で個別に対処している方もいます。しかし周りに迷惑や負担を掛けたくない、近所付き合いが希薄など、頼れる人がいないケースも多く、公的な支援を利用することがやはり一番の解決策かもしれません。
スタッフが経験した話ですが、以前マンションに住んでいた際、共同のゴミ置き場で大きな封筒に瓶や電池、生ごみや封を開けていないおにぎりなどの入った、分別がめちゃくちゃなゴミを発見し、封筒に記された住所や部屋番号を確認すると一人暮らしの老婦人のものであるのが分かったとのこと。思えばその方から共同玄関の鍵が開かないと何度か声を掛けられたり、マンション内の自宅の階以外の場所で夜中に歩き回る姿を見たりしたこともあり、念のため管理会社に連絡。実は認知症を発症しており、ご家族が引き取ることになった、ということです。
このように認知機能の低下はゴミ出し問題と直結しやすいバロメーターとなることもありますし、直接お手伝いができなくても、親族や公的支援に繋げるサポートを近隣の人が行っていくことも支援の一歩になるのではないでしょうか。
高齢になるとゴミ出しが困難になる理由
高齢者のゴミ出しが難しくなるのは、加齢による心身の機能低下が大きな要因です。【認知機能の低下】
・ゴミの分別が出来なくなる
・ゴミとそうでない物の区別が出来なくなる
・ゴミ出しの曜日や時間が分からなくなる
・ゴミ収集の場所がどこか忘れてしまう
認知機能が衰えると「時間や場所」といった日常的なルーティンも分からなくなってしまいがちです。また複雑化されたゴミの分別を完璧に理解して実践するのは若い人でも難しい場合もあり、ましてや認知機能が低下した高齢者には簡単ではありません。そしてゴミを収集してもらえなかったり、近所の方に注意されたりゴミ出しの失敗が重なると、それを恐れてゴミ出し自体が出来なくなって家の中にゴミを溜目込みゴミ屋敷化してしまう悪循環になることも。
【身体機能の低下】
・筋力や歩行能力が衰え収集場所に運べない
・重い物や大きい物が持てなくなる
・体調を崩しがちで外出が難しい
高齢になると腰や膝を痛めたり、握力の低下を感じる人も多いため、ゴミ出しは身体的にも大きな負担となります。エレベーターのない団地などに住む方はゴミを持って階段を降りるのもリスクがありますし、杖を使わないと歩けない方が片手にゴミを持って歩くのも危険。ほんの数十メートルの距離でもゴミを持って歩くことが厳しい状況に陥る高齢者も稀ではありません。
また、この高齢者のゴミ出し困難が社会問題となり得る背景には、核家族化が進み高齢夫婦二人だけ、もしくは高齢者の単身世帯の増加があります。ゴミ出しを手伝ってくれる家族がいない場合、ゴミ出しが難しくなる可能性がどんな高齢者にもあるのです。
ゴミ出し支援を知って公的サービスに繋げたい
独居の高齢者や在宅介護を受ける高齢者が年々増え、今後も増加する一方、この状況を鑑みて、2019年3月分から総務省がごみ出し支援を行う自治体に対する新たな特別交付税を創設。かかった費用の50%分を国が市区町村に補填することになりました。それまでは23.5%の自治体のみが独自の予算や考えで支援を行っていましたが、上記の国の補填措置により新たに高齢者のゴミ出し支援を始めたり、充実させる自治体が増えてきました。例えばゴミ収集日に収集職員が玄関先まで戸別に取りに来てくれるサービスや、収集日を問わず決まったポリバケツに入れたゴミを分別して捨ててくれるサービス、ゴミを溜め込んだ居宅の片付けや清掃費用の補填などがあります。
しかしながら、まだ支援制度を導入していない自治体もありますし、非課税世帯かどうかや年齢、介護度などの条件によっては利用できない場合も。また各自治体ごとに支援内容も異なるため、ゴミ出しが困難になった高齢者は、お住まいの地域の役所や地域包括センターにどんなサービスが利用できるのか問い合わせてみることが必要です。
このような制度自体を知らない高齢者が多いのも事実。近隣の方や知人に収集日に声掛けをしてもらう、別世帯に家族がいるなら電話やアラームの設定でリマインドしてもらう、地域のシルバー人材センターやボランティアなどのサービスを利用する方法で個別に対処している方もいます。しかし周りに迷惑や負担を掛けたくない、近所付き合いが希薄など、頼れる人がいないケースも多く、公的な支援を利用することがやはり一番の解決策かもしれません。
スタッフが経験した話ですが、以前マンションに住んでいた際、共同のゴミ置き場で大きな封筒に瓶や電池、生ごみや封を開けていないおにぎりなどの入った、分別がめちゃくちゃなゴミを発見し、封筒に記された住所や部屋番号を確認すると一人暮らしの老婦人のものであるのが分かったとのこと。思えばその方から共同玄関の鍵が開かないと何度か声を掛けられたり、マンション内の自宅の階以外の場所で夜中に歩き回る姿を見たりしたこともあり、念のため管理会社に連絡。実は認知症を発症しており、ご家族が引き取ることになった、ということです。
このように認知機能の低下はゴミ出し問題と直結しやすいバロメーターとなることもありますし、直接お手伝いができなくても、親族や公的支援に繋げるサポートを近隣の人が行っていくことも支援の一歩になるのではないでしょうか。
<参考>
認知症になるとゴミ出しができなくなる?支援制度についても紹介│健康ねっと
https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/dementia/3438
認知症の方のゴミ出し問題。ごみ捨てできない・分別できない。でも、地域で暮らし続けるために。│いえケア
https://care.kaigor.com/kaigo/gomisute/
認知症になるとゴミ出しができなくなる?支援制度についても紹介│健康ねっと
https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/dementia/3438
認知症の方のゴミ出し問題。ごみ捨てできない・分別できない。でも、地域で暮らし続けるために。│いえケア
https://care.kaigor.com/kaigo/gomisute/
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