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DATE/ 2015.11.24

日本郵政グループ3社のIPOで再び注目を集めるNISA~メリットとデメリットを解説

 先ごろ、日本郵政グループ3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)が東京証券取引所1部に新規上場し、大きな話題となった。株の取引をやっていない人にとっては、「自分には関係ない」というところだが、でも、実は、「ちょっと株をやってみたい」と思っている人も多いことだろう。

 そんな方々にとって気になっているのが、昨年あたり何度もテレビCMで聞こえてきた「NISA」ではないだろうか。ここでなるべくわかりやすく説明してみたい。

利点は「20%の税金を取られない」こと

 NISAは、昨年から始まった「少額投資非課税制度」。読んで字のごとくだが、「少ない額の投資に関しては、課税をしません」ということだ。通常の株や投資信託においては、もうかったお金に対して20%の税金が取られるのだが、NISAにおいて投資して利益が出た場合、税金はかからず、利益がまるまる手に入るというものだ。

 「少額」、つまりNISAでの投資の限度額は1年100万円まで(2016年からは120万円までに増額)。これを5年間継続でき(途中で株や投資信託を売却したら、そこまでで終わり)、しかもこの制度の期限である2023年まで、毎年、限度額まで投資ができる(つまり、2027年12月で終了予定)。

 もし今年(2015年)からNISAを始めて毎年投資した場合、2023年まで9年間、全部で1,060万円(100万円×1年+120万円×8年)の投資に対して、利益が出たら非課税ということになる。もちろん先に書いたように、1年分の投資は5年間までしか有効ではないので、2023年の時点では9年分の1,060万円ではなく、120万円×5年の600万円をNISAで投資しているということになる。

 また、5年たっても売却できなかった場合は、その銘柄は通常の取引の口座に移すことになり、その後は利益に20%の税金はかかってしまうけれど、値上がりするまで持ち続けることも可能。また2023年までなら、もう一度、その年分のNISAの投資に引き継ぐことができ、計10年に投資期間を延長することもできる。

損金の3年間繰り越しがないため注意が必要

 さてこのNISAの利点だが、先述したように、もうかったお金がそのまま手に入ることに尽きる。ただ裏返せば、これは買った株や投資信託が5年間の間に値上がりしなかったら、あまり意味はないということ。ここは注意が必要だ。

 通常の取引では、利益から20%の税金が引かれるが、逆に損をした場合、確定申告すれば、その損金は3年間繰り越すことができ、その3年のうちに他の株で利益を上げた場合に、繰り越した金額分と相殺されて、その分、税金がかからないという利点もある。だが、NISAにはこれがない。だから、NISAを最大限活用したいなら、5年のうちに値上がりそうな銘柄をしっかり選びたいところだ。

 といっても、株や投資信託は、言ってみればギャンブルのようなもの。「それじゃやっぱり株は無理かも」と考える人もいるかもしれない。そんな人は、NISAを使って、「業績が安定していて、配当のいい会社」へ投資するという手がある。その配当を毎年受けつづければ、預貯金などの金利とは比べものにならないほどの金額になる。もちろん配当も、非課税。だから、もし5年後に株価が多少下がっていても、配当分と差引すればプラスになる可能性も十分だ。

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