社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2015.12.27

SNSの普及で新風が吹き込む?年賀状はセルフブランディングの新ツールへ

 「そろそろ年賀状の準備しなくちゃ」という会話がスタンダードだった時代はもう昔。最近は「今年から年賀状を出すのを止めました」という声もちらほら聞こえるし、若い世代にいたっては「そもそも出しません」とキッパリとした意見も。

 2014年末に10代~60代の男女を対象に行われた年賀状についてのアンケートによると、56%の人が「年賀状を出す予定」と回答したという(ライフメディア・リサーチバンク調べ)。つまり、年賀状を出さない人が40%以上いるということになる。

 たしかにメールやSNS、グリーティングカードサービスなどを使って新年の挨拶を送る人も多い。そもそも住所を知らなければ年賀状を出すことはできないが、これだけFacebookやLINEなどのSNSが発達し、「住所の分からない知り合い」が多くなっている状況の中、「年賀状を出す」というのは容易なことではなく、むしろ面倒だと感じる人も少なくないのではないだろうか。

 それでも年賀状を出すという人には以下のような理由が考えられる。

・元旦にポストを覗いて年賀状を眺めるのが楽しみ
・仕事、親戚との付き合い上、書かざるを得ない
・年賀状でしか連絡を取れない人と交流できるのがいい
・年賀状でオリジナリティーを表現したい
・年末に年賀状を書くのが体に染みていて、書かないと気持ち悪い

などなど。いずれにしても、どうせ書くのならば受け取った人が喜んだり、驚いたり、ちゃんとメッセージが伝わるようなものにしたいものだ。

 毎年議論される子どもの写真が入った年賀状の是非についても「子どもの成長を伝えたい」というはっきりとした思いがあれば悪くはないと思う。しょうがなく書いたおざなりの年賀状が一番よくない。せっかく書くのだからこだわりを持って、しっかりとセルフブランディングに利用しよう。

他人と差がつく年賀状アイディア

 PCで作成する場合のテンプレートは言わずとも無数にあるが、調べてみるとそれ以外にも、他の人と差がつく面白いアイディアのものがある。

 例えば削って楽しむ「スクラッチ印刷」を使った年賀状。これはスクラッチ印刷を扱っている印刷会社に頼んで作成する。もらった人もおみくじ感覚で楽しめるはずだ。

 コツコツ型の手作り派にオススメなのは、マスキングテープで彩りを加えてデザインしていく「マスキングテープ年賀状」。趣味で集めたマスキングテープを貼って飾って生かしつつ、センスの良さをアピールできるところがポイントだ。

 消しゴムを掘ったオリジナルのハンコを使った「消しゴムハンコ」年賀状もいい。ハンコを干支ではなく家族や子どもの写真にしたら、家族を扱った他の年賀状とは群を抜いて印象的なものになるだろう。

 結局のところ、PCのテンプレートを利用して作成する年賀状では出せないオリジナリティーや手触り感が、セルフブランディングの決め手になりそうだ。手間をかけてなんぼということか。余談になるが、2008年に販売を中止してしまった「プリントゴッコ」は最高のツールだっただけに惜しまれる。

 年賀状を出すことが常識ではなくなる時代はすぐそこに来ているのだろう。その意味では今後、個性的で魅力ある年賀状づくりが注目を集めるかもしれない。

<参考サイト>
・ライフメディア・リサーチバンク調べ
http://research.lifemedia.jp/2014/11/141126_nycard.html
・スクラッチ印刷
http://www.coara.or.jp/~bunpro/tokusyu_5.htm
・プリントゴッコ
https://www.riso.co.jp/c/release/post_18.html
・マスキングテープ
http://matome.naver.jp/odai/2144381335853560501
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質

中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景

チベット、内モンゴル、新疆ウイグルなど、少数民族に対する深刻な人権侵害をめぐって欧米諸国から強い批判を浴びている中国。しかし、こうした人権問題は今に始まったことではない。中華人民共和国建国の経緯と中国共産党の思...
収録日:2021/10/15
追加日:2021/12/24
橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授
2

コスパが鍵!? 顧客満足につながる品質マネジメントとは

コスパが鍵!? 顧客満足につながる品質マネジメントとは

プロジェクトマネジメントの基本(2)プロジェクトの複雑性とマネジメント

「プロジェクトはとても複雑だ」「不確実である」といわれるが、それはなぜか。イノベーションとエンジニアリング、モジュールとインテグラル、オープンとクローズドという対立項をかけ合わせてプロジェクトが成立するからだ。...
収録日:2025/09/10
追加日:2025/12/04
大塚有希子
法政大学専門職大学院イノベーションマネジメント研究科准教授
3

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
4

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
5

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス

「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24
三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授