社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
モノもサービスも「タダ」になる未来がやってくる?~「限界費用ゼロ社会」とは
信じられないかもしれないが、数十年後には、世界中で多くのモノやサービスがほぼタダになるという「予言」が、いま世界で注目を集めています。予言したのは、ジェレミー・リフキン氏。彼はそれを「限界費用ゼロ社会」と呼んでいます。
実は、すでに限界費用ゼロ社会は、現代にも一部、現れ始めています。たとえば、「Skype」は無料で電話やテレビ電話ができるサービスです。インターネットでは、ニュースなども無料で読むことができます。もちろん、どちらも現実的には通信費がかかっていますが、一時代前から考えれば、明らかにコストは下がっています。そして通信費はさらに安くなっていく。こうした進化や変化が、今後あらゆる分野で起こっていくというのです。
IoTとは「モノのインターネット」と訳されるもので、簡単に言うと、あらゆるモノにセンサーとソフトウェアが組み込まれ、インターネットと結びつく技術です。2030年には100兆個のセンサーがIoTにつながると予想されています。それによって、私たちは何でも「シェア」するようになるのです。
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、技術の発達によってどんどん安価になっていくと言われています。リフキン氏は、2040年よりはだいぶ前に再生可能エネルギーによる電力がほぼ8割に達するだろうと見ています。
3Dプリンターの進化も急速で、すでに部品のすべてを3Dプリンターで作った「建物」ができつつあり、3Dプリンターで「人間の臓器」を作るプロジェクトも順調に進んでいるといいます。3Dプリンターが発展すれば、それほど遠くないうちに、自宅や近所で、自ら多くのものを気軽に作れる時代が到来するでしょう。
MOOCは、大学の講義がどこでも無料で受けられる大規模公開オンライン講座です。いまやモチベーションさえあれば、レベルの高い教育をタダで受けられるようになりつつあるのです。
実は、すでに限界費用ゼロ社会は、現代にも一部、現れ始めています。たとえば、「Skype」は無料で電話やテレビ電話ができるサービスです。インターネットでは、ニュースなども無料で読むことができます。もちろん、どちらも現実的には通信費がかかっていますが、一時代前から考えれば、明らかにコストは下がっています。そして通信費はさらに安くなっていく。こうした進化や変化が、今後あらゆる分野で起こっていくというのです。
IoTや3Dプリンターが世界を変える
具体的には、限界費用ゼロ社会は「IoT」「再生可能エネルギー」「3Dプリンター」「MOOC」などによってもたらされます。IoTとは「モノのインターネット」と訳されるもので、簡単に言うと、あらゆるモノにセンサーとソフトウェアが組み込まれ、インターネットと結びつく技術です。2030年には100兆個のセンサーがIoTにつながると予想されています。それによって、私たちは何でも「シェア」するようになるのです。
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、技術の発達によってどんどん安価になっていくと言われています。リフキン氏は、2040年よりはだいぶ前に再生可能エネルギーによる電力がほぼ8割に達するだろうと見ています。
3Dプリンターの進化も急速で、すでに部品のすべてを3Dプリンターで作った「建物」ができつつあり、3Dプリンターで「人間の臓器」を作るプロジェクトも順調に進んでいるといいます。3Dプリンターが発展すれば、それほど遠くないうちに、自宅や近所で、自ら多くのものを気軽に作れる時代が到来するでしょう。
MOOCは、大学の講義がどこでも無料で受けられる大規模公開オンライン講座です。いまやモチベーションさえあれば、レベルの高い教育をタダで受けられるようになりつつあるのです。
資本主義の終着点は、コストゼロの世界
なぜこのような社会が到来しようとしているのでしょうか。実は、資本主義そのものに大きな原因があるのです。資本主義では、企業は新たな価値を生むか、あるいは「生産性」を高めることで利潤を上げます。生産性が高まれば、コストは下がります。行きつく先は、コストゼロの世界なのです。つまり限界費用ゼロ社会は、資本主義の終着点であり、必然なのです。所有の時代から「アクセスの時代」へ
限界費用ゼロ社会が来たら、いったいどうなるのでしょうか。リフキン氏は大きく2つのことが起こるといっています。1つは、所有の時代から「アクセスの時代」になるということです。私たちはあらゆるモノを「共有」し、必要なときだけ、アクセスして使うようになります。今注目を浴びているカーシェアリングやAirbnb、Uberなどは、その潮流に乗ったサービスです。さまざまな分野で、同様のサービスが次々に生まれてくることになるでしょう。お金より「関係」や「信頼」が重要に
もう1つの大きな変化は、お金があまり役に立たなくなるということです。モノがタダに近づいていくので当然です。資本主義や利潤を追求する企業などは、緩やかに終わりに向かっていくというのです。代わりに力を持つのが「協働型コモンズ」、つまりは協同組合などの組織です。協働型コモンズが、社会関係をベースにした共有経済を展開するのです。簡単に言えば、お金よりも、関係や信頼が大事になる社会がやって来るというわけです。
<参考文献>
・『限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭』(ジェレミー・リフキン著、柴田裕之訳 NHK出版)
・『限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭』(ジェレミー・リフキン著、柴田裕之訳 NHK出版)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
ニーチェ:超人、ニヒリズム…善悪は弱者の嫉妬心にすぎない
西洋哲学史の10人~哲学入門(10)ニーチェ 超人
ニーチェは牧師の家庭に生まれつつ、キリスト教の価値を全否定した。そこから見いだされた「強いニヒリズム」は、何が「善い」のかを価値付けするのが困難な中で、いかに現実と向き合うかを教えてくれる。こうした「超人」の思...
収録日:2018/02/09
追加日:2018/06/29
国際宇宙ステーション、スペースシャトルの意義と目的は?
未来を知るための宇宙開発の歴史(5)冷戦の終了と変化する宇宙開発の目的
冷戦中は米国とソ連が国の威信をかけて宇宙開発に取り組み、それが技術の発展に寄与したことを見てきた。しかし冷戦が終了すると、宇宙開発の目的が問い直されることになる。そこで目的とされたのが「国際宇宙ステーション」で...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/08/19
プラトン「アカデメイア」の本質は自由な議論と哲学的探究
「アカデメイア」から考える学びの意義(2)プラトンの学園アカデメイア
古代ギリシアでプラトンによって設立された学園アカデメイア。現代の学問共同体のモデルにもなっている「アカデメイア」とは、はたしてどのような場であったのか。政治や権力から独立を確保しつつ、人々が寝食をともにしながら...
収録日:2025/06/19
追加日:2025/08/20
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスは世界で最も偉大な社会科学者の一人であるが、最近の学生の中には彼の思想に関して知らない人も増えてきているという。そこで、今回の講義ではまずマルクスを理解するための重要な点として、ユダヤ系ドイツ人という出...
収録日:2020/09/09
追加日:2020/12/24
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
硫黄島の戦いでの奇跡的な物語を深く探究したノンフィクション『大統領に告ぐ』。著者の門田隆将氏は、「読者の皆さんには、その場に身を置いて読んでほしい」と語る。硫黄島の洞窟の中で、自分が死ぬ意味を考えていた日本人将...
収録日:2025/07/09
追加日:2025/08/15