テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2016.02.28

「お電話いたします」は正しい?今さら聞けない敬語の使い方

 ビジネスの場では日常的に使う敬語。しかし社会人の半数以上の人は、敬語は難しい、自信がない、と感じているというデータがある。その一方、他人の敬語の間違いが気になるという人も同じくらいいる。特に電話やメールといった、顔を合わさないコミュニケーションの中では、言葉のみでその人となりが判断されてしまうこともあるため、要注意だ。

 今回は、電話やメールで毎日使う頻度の高い敬語や言葉遣いの中から、実際に間違いの多かったものをご紹介。基本過ぎて今さら人に聞けない、といった言葉遣いを、この機会に改めて見直してみよう。

お世話になります/お世話になっております

 電話やメールの挨拶に使う「お世話になります」「お世話になっております」、その違いをご存知だろうか。よく「お世話になっております」の簡略型として「お世話になります」を使っている人を見かけるが、それは間違い。

 お世話になります
 →初めて仕事をする相手の場合。

 お世話になっております
 →すでに先方と接触があり、取引関係が発生している場合。「いつも」や「大変」を冒頭につけると、より丁寧な印象に。

いたします/致します

 メールの最後の一文としてもっとも多く使われるのが「よろしくお願いいたします」。ここでよくある間違いは「いたします」を「致します」と表記する漢字変換だ。

 致します
 →「致し方ない」や「不徳の致すところ」など、自分の言動に使うへりくだった表現のみに使用する。

 いたします
 →相手に何かお願いする場合に使用するのは、平仮名の「いたします」が正解。

 また、似たような漢字変換の間違いに気をつけたいのが「下さい」。

 「下さい」は、「コーヒーを下さい。」のように、物を「くれ」という場合の丁寧表現であり、「ご確認ください。」のように相手に何かをお願いするときや、敬意を表す尊敬・丁寧表現としては仮名の「ください」を使用しよう。

お電話?ご連絡?「お」と「ご」には要注意

 メールでも電話でも頻繁に出てくるワードといったら、「電話」と「連絡」ではないだろうか。

 相手を高める尊敬語として、相手から来る電話や連絡に対して「お電話ありがとうございます。」や「ご連絡ください。」と言うのは当然だが、自分からする行為に対しては「お」や「ご」の尊敬語をつけるのはおかしいのではないか?という疑問をよく聞く。実際に「お電話します」「電話いたします」、「ご連絡します」「連絡いたします」と人によって使い方はさまざまだ。

 ここで気をつけたいポイントは、「電話」も「連絡」も自分と相手の双方が関わる行為だということ。この場合「お」も「ご」も、尊敬語と謙譲語ふたつの意味を持つことになるため、「お電話いたします」「ご連絡いたします」は正しい表現とされている。

 敬語を使いこなす一番の鍵は、謙虚な姿勢。というのも、目上の人を立てる、へりくだる、といった自分や相手の立場を意識して尊重することが、言葉選びにも自然と繋がってくるからだ。曖昧なまま使っていた敬語を今いちど見直すことで、コミュニケーション力のスキルアップをはかってみてはいかがだろうか。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率

日本の政治史を見る上で地理的条件は外せない。「島国」という、外圧から離れて安心をもたらす環境と、「山がち」という大きな権力が生まれにくく拡張しにくい風土である。特に日本の国土は韓国やバルカン半島よりも高い割合の...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/15
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授 音楽評論家
2

外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?

外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?

外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス

国際関係においては外交と軍事(内政)のバランスが重要となる。著書では、近代日本において、それらのバランスが崩れていった過程を3つのステージに分けて解説しているが、今回はその中の、国のトップが外政家・原敬から職業外...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/09/12
小原雅博
東京大学名誉教授
3

狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き

狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き

ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す

ヒトは、そもそもの生き方であった狩猟採集生活でも子育てを分担してきた。それは農業社会においても大きくは変わらなかったが、しかし産業革命以降、都市化が進み、貨幣経済と核家族化と個人主義が浸透した。ヒトが従来行って...
収録日:2025/03/17
追加日:2025/09/14
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長 元総合研究大学院大学長
4

フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる

フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる

数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数

音が波であることは分かっても、それが三角関数で支えられていると言われてもピンとこないという方は少なくないだろう。そこで、その話を補足するのが倍音や周波数という概念であり、そのことを目で確認できるとっておきのイメ...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/09/11
中島さち子
ジャズピアニスト 数学研究者 STEAM 教育者 メディアアーティスト
5

トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ

トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ

トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン

アメリカのトランプ大統領は、2025年5月に訪れたサウジアラビアでの演説で「トランプ・ドクトリン」を表明した。それは外交政策の指針を民主主義の牽引からビジネスファーストへと転換することを意味していた。中東歴訪において...
収録日:2025/08/04
追加日:2025/09/13
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー