社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
大塚家具からセブン&アイHDまで、4つのお家騒動の顛末は?
「お家騒動」とニュースを賑わすコーポレートガバナンスの問題。大塚家具、ロッテ、クックパッド、セブン& アイHDなどなど、経営権をめぐる争いは尽きることはありません。現在進行形ではありますが、それぞれのケースをご覧ください。
そして1年後、父・大塚勝久氏は新たに家具販売会社「匠(たくみ)大塚」を立ち上げ、4月22日にその1号店を開店させました。経営権争いで敗れた父のリベンジはいかに、その動向が気になるところです。
ロッテグループは、事業規模や業績面において日韓で大きな差があります。日本では、お菓子やプロ野球団とのイメージが強いのですが、韓国では、百貨店や量販店などの流通業、製菓、化学と多種多様な事業を展開する、同国5位の一大財閥として知られています。
この騒動は、日韓のこうしたアンバランスを背景に、会長である武雄氏が想定した「日本=長男、韓国=二男」という後継体制があるにもかかわらず、宏之氏が韓国ロッテ傘下の主要企業の株式を買い集め、弟の経営権を奪おうとしたことが、武雄氏の反感を買った可能性は高いことが指摘されています。
今年の3月の臨時株主総会において、宏之氏は自らの経営復帰と現経営陣の一掃を求めた議案を提出するも、議案はあえなく否決されました。従業員持株会の支持を取り付けた昭夫副会長の勝利によって一端は決着したこのお家騒動ではありますが、敗北した宏之氏は、「経営陣から従業員持株会への不当な圧力があった」と反発を強めているようです。
発端は今年の1月、創業者で筆頭株主の佐野陽光氏が株主提案によって取締役を刷新しようと動いたことによるもの。2月になって、一度は収束に向かうかと思われましたが、3月24日の株主総会後に開かれた取締役会で、突然の執行役員と穐田誉輝社長の交代劇で騒動が再燃しました。
社員の7割が前社長の復帰を望んでいるともいわれており、穐田氏が会社を去る事態となれば、IT業界だけに人材の大規模な流出は避けられないでしょう。社内の不協和音は鮮鋭化し、想定を超えて深刻な経営危機に発展する可能性があります。
この日発表された2月期連結決算で、経常利益は3501億円と過去最高をつけたところで、青天の霹靂ともいえる鈴木氏の意に沿わぬ否決には、お家騒動ともいえる事情が見え隠れします。およそ10%パーセントの株式を保有する創業家の伊藤雅俊名誉会長の意向が否決に作用しているようです。鈴木氏の後継者に向けて、米投資ファンドの意向も加味し、どのような組織の新陳代謝につながるのか気になるところです。
大塚家具の場合
3月25日、大塚家具の株主総会が開催されました。昨年のテレビのワイドショーを賑わした父と娘の争いから1年、今年の総会は60分も経たないうちに、大塚久美子社長を含む取締役の選任など3議案が賛成多数をもって承認されました。1年前は経営方針を巡り、従来の高級路線を「情」に訴えた父と、カジュアル路線の「理」を説いた娘の争いでした。最終的に、娘が社長となり、株主から経営者として評価され決着した顛末。そして1年後、父・大塚勝久氏は新たに家具販売会社「匠(たくみ)大塚」を立ち上げ、4月22日にその1号店を開店させました。経営権争いで敗れた父のリベンジはいかに、その動向が気になるところです。
ロッテの場合
日韓を股に掛けた“お家騒動”といえば、ロッテグループの経営権をめぐる争い。ロッテは、日韓両国で事業を展開し、兄弟2人の後継者によって分割経営されていました。日本は長男の宏之氏、韓国は二男の重光昭夫氏、父親の武雄会長の意を受けて経営を行ってきました。それが昨年、長男の宏之氏が日本ロッテHDの副会長職から解任されことが騒動の発端となります。ロッテグループは、事業規模や業績面において日韓で大きな差があります。日本では、お菓子やプロ野球団とのイメージが強いのですが、韓国では、百貨店や量販店などの流通業、製菓、化学と多種多様な事業を展開する、同国5位の一大財閥として知られています。
この騒動は、日韓のこうしたアンバランスを背景に、会長である武雄氏が想定した「日本=長男、韓国=二男」という後継体制があるにもかかわらず、宏之氏が韓国ロッテ傘下の主要企業の株式を買い集め、弟の経営権を奪おうとしたことが、武雄氏の反感を買った可能性は高いことが指摘されています。
今年の3月の臨時株主総会において、宏之氏は自らの経営復帰と現経営陣の一掃を求めた議案を提出するも、議案はあえなく否決されました。従業員持株会の支持を取り付けた昭夫副会長の勝利によって一端は決着したこのお家騒動ではありますが、敗北した宏之氏は、「経営陣から従業員持株会への不当な圧力があった」と反発を強めているようです。
クックパッドの場合
レシピサイト最大手のクックパッドが、経営体制をめぐる騒動で揺れています。絶好調な業績とは裏腹に、経営の混乱は収まらず、先行きの不透明さが株価にも大きく影響しているようです。発端は今年の1月、創業者で筆頭株主の佐野陽光氏が株主提案によって取締役を刷新しようと動いたことによるもの。2月になって、一度は収束に向かうかと思われましたが、3月24日の株主総会後に開かれた取締役会で、突然の執行役員と穐田誉輝社長の交代劇で騒動が再燃しました。
社員の7割が前社長の復帰を望んでいるともいわれており、穐田氏が会社を去る事態となれば、IT業界だけに人材の大規模な流出は避けられないでしょう。社内の不協和音は鮮鋭化し、想定を超えて深刻な経営危機に発展する可能性があります。
セブン&アイHDの場合
日本の流通業界をけん引してきたカリスマ経営者として知られるセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が4月7日、電撃引退を発表しました。きっかけは、自らが調整してきた人事案が取締役会で否決されたことによります。鈴木氏は「私が続投することは禍根を残す」と役員会直後に引退を決意したとのこと。この日発表された2月期連結決算で、経常利益は3501億円と過去最高をつけたところで、青天の霹靂ともいえる鈴木氏の意に沿わぬ否決には、お家騒動ともいえる事情が見え隠れします。およそ10%パーセントの株式を保有する創業家の伊藤雅俊名誉会長の意向が否決に作用しているようです。鈴木氏の後継者に向けて、米投資ファンドの意向も加味し、どのような組織の新陳代謝につながるのか気になるところです。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣と羽柴…二つの名前で語られる秀吉と秀長だが、その違いは何なのか。また、これまで秀長には秀吉の「補佐役」というイメージがあったが、史実ではどうなのか。実はこれまで伝えられてきた羽柴(豊臣)兄弟のエピソードにはか...
収録日:2025/10/20
追加日:2025/12/18
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
「逆境とは何に逆らうことなのか」「人はそもそも逆境でしか思考しないのではないか」――哲学者鼎談のテーマは「逆境に対峙する哲学」だったが、冒頭からまさに根源的な問いが続いていく。ヨーロッパ近世、ヨーロッパ現代、日本...
収録日:2025/07/24
追加日:2025/12/19
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
国家が的確な情報を素早く見つけ行動するためには、インテリジェンスが欠かせない。日本の外交がかくも交渉下手なのは、インテリジェンスに対する意識の低さが原因だ。日本人の苦手なインテリジェンスの重要性について、また日...
収録日:2017/11/14
追加日:2018/05/07
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
「バイアスがかかる」と聞くと、つい「ないほうが望ましい」という印象を抱いてしまうが、実は人間が生きていく上でバイアスは必要不可欠な存在である。それを今井氏は「マイワールドバイアス」と呼んでいるが、いったいどうい...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/09
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為という「画狂親娘」の人生と作品について、堀口茉純先生にそれぞれの絵をふんだんに示しながら教えていただいた講義を、今回の編集部ラジオで紹介しました。
葛飾北斎といえば知らぬ人はいない江戸の絵...
葛飾北斎といえば知らぬ人はいない江戸の絵...
収録日:2025/12/04
追加日:2025/12/18


