社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
ヒトの脳はサルの3倍!なぜこんなに大きいのか?
生物のなかで、ヒトの脳だけが身体に対して極めて大きいことをご存じでしょうか。チンパンジーもオランウータンもゴリラも、脳はだいたい400グラムほどです。それに対して、ヒトの脳は1200グラムから1400グラムほどあります。体重との比率を考えると、ヒトだけがありえないくらい大きな脳を持っているのです。いったいなぜでしょうか。
社会性のなかでも、「三項関係の理解」が特に重要ではないかと長谷川氏は言います。三項関係の理解とは、「私」と「あなた」と「外界にある他のもの」の関係が理解できることです。
たとえば、「私が何かを見ていることをあなたが知っていることを私が知っている」ということを、ヒトは軽々と理解します。それどころか、赤ちゃんのときから、三項関係をある程度理解していることがわかっています。しかし、ヒト以外にはこれが理解できないようなのです。そこまで深く相手の心をシミュレーションして、理解・共有できるのは、実はヒトの重要な能力なのです。その能力を得るために、ヒトの脳はこれほど大きくなったのではないかと長谷川氏は言うのです。
つまり、ヒトの大きな脳は、何よりも社会的ネットワークを構築するために必要なものなのです。ヒトは、分厚い社会的ネットワークなしでは生きていけない生き物なのです。
昨今、社会関係の希薄化や地域コミュニティの崩壊、社会的コミュニケーションの不足などが取りざたされ、家庭内暴力や幼児虐待などが社会問題になっています。こうした社会的ネットワークの希薄化は、ヒトにとって大きな危機ではないでしょうか。
社会性を身につけるために、ヒトの脳は大きくなった
10MTVオピニオン講師で行動生態学者・進化生物学者の長谷川眞理子氏は、その理由の一端は「社会脳仮説」にあるといいます。社会脳仮説とは、社会集団で生き抜く社会性を身につけるために、ヒトの脳はここまで大きく発達したのではないかという考え方です。社会性のなかでも、「三項関係の理解」が特に重要ではないかと長谷川氏は言います。三項関係の理解とは、「私」と「あなた」と「外界にある他のもの」の関係が理解できることです。
たとえば、「私が何かを見ていることをあなたが知っていることを私が知っている」ということを、ヒトは軽々と理解します。それどころか、赤ちゃんのときから、三項関係をある程度理解していることがわかっています。しかし、ヒト以外にはこれが理解できないようなのです。そこまで深く相手の心をシミュレーションして、理解・共有できるのは、実はヒトの重要な能力なのです。その能力を得るために、ヒトの脳はこれほど大きくなったのではないかと長谷川氏は言うのです。
社会的ネットワークの希薄化は、大きな危機ではないか
三項関係の理解は、古代から、私たちの社会や文化の基盤になってきました。私たちは長く分業し、協力し合って生きてきました。また、子どもを親だけで育てず、家族や地域で共同保育をしてきました。老人から若者へ、複雑な知識を大量に伝達するといったことも行われてきました。これらのことは、すべて三項関係を理解できなければ不可能です。ヒトが文明を創りだせたのは、脳が大きいから、三項関係を理解できるからと言っても過言ではないのです。つまり、ヒトの大きな脳は、何よりも社会的ネットワークを構築するために必要なものなのです。ヒトは、分厚い社会的ネットワークなしでは生きていけない生き物なのです。
昨今、社会関係の希薄化や地域コミュニティの崩壊、社会的コミュニケーションの不足などが取りざたされ、家庭内暴力や幼児虐待などが社会問題になっています。こうした社会的ネットワークの希薄化は、ヒトにとって大きな危機ではないでしょうか。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
相互依存で平和は保てるか…EUの深化・拡大の難題とは
地政学入門 ヨーロッパ編(9)EUの深化・拡大とトルコの問題
国際政治の理論として国同士の経済交流、相互依存が安全保障、つまり平和を維持できると伝統的に考えられてきたが、今般の国際政治ではそれは必ずしも当てはまらないようだ。そこでEUの問題である。国の垣根を越えて世界国家に...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/06/30
最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか
第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ
反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/28
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
昨今、生成AIに代表されるようにAIの進化が目覚ましく、「AIに代わられる仕事、代わられない仕事」といったテーマが巷で非常に話題となっている。では、AIに代わられない事とは何であろうか。そこで、『江藤淳と加藤典洋』(文...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/06/25
遍歴とアバター…多様な仏、多様な菩薩が変容する面白さ
おもしろき『法華経』の世界(5)遍歴するアバター
『銀河鉄道の夜』の著者・宮沢賢治にとってもそうだが、『法華経』の重要なテーマは「遍歴」であると考えられる。遍歴や修行の旅は、仏教的には方便を用いて悟りに向かうことだが、『大日経』住心品には悟りと大悲こそが究境と...
収録日:2025/01/27
追加日:2025/06/29
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24