社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.01.15

机やカバンが汚い人は仕事ができない?

 あなたの机やカバン、整理できていますか。改まってそんなことを聞かれたら、ドキッとしてしまいますね。でも実はこれ、雇われる、使われる上での判断材料になっているかもしれません。仕事ができないと思われてしまうかも。そう言われるのはなぜなのか、探っていきたいと思います。

整理能力=仕事力

 ベストセラー本を数々世に送り出しているムーギー・キム氏のビジネス書『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』が話題を呼んでいます。できる仕事人になるためのノウハウがぎっしりつまっていますが、キム氏によると、面接ではまず机やカバンの整理ができているかを聞くのだそうです。

 整理整頓。簡単なようで、きれいな状態を維持するのは難しいのです。出したものを片付ける、すぐにファイルにまとめる、など当たり前のことですが、これが仕事ができるかどうかの分かれ道とのこと。誰もが知る大手自動車会社のトヨタでは、職場環境の向上のために、整理整頓を徹底させているといいます。

 机やカバンの整理ができないということは、情報をさまざまなところに置いたままにしてしまうことにもつながりかねません。いざというときに必要な分をさっと取り出せる状況にないということは、当然仕事が遅くなりますし、「どこだろう?」と探している動作によって効率が悪くなってしまいます。ファイルの中にしまう、入れなおすといった一動作を怠って意味のない行動をしているほうが、かえって無駄な労力を負うことになるのですね。

整理できる人は調査もできる 

 キム氏によれば、整理能力のある人は調査能力があるのだといいます。これは、何か資料をひっぱりだしてこなくてはならないとき、整理している人はすぐに持ち出して必要な情報を手早く調べることができるからです。質問されればすぐに答えることができ、自分のみならず関わっている人間、ひいては会社全体の生産性向上に繋がると指摘しています。

保存と捨てるのサイクルと、ファイル活用

 さて、では何に気をつければ良いのでしょうか。まずひとつは、「いるものは保存し、いらないものは捨てる」ことを一つのサイクルにすることです。整理ができる人は「使ってから捨てるまでの流れを理解する」ことができているといいます。よほどのことがなければ、このサイクルを中断しないようにしましょう。

 次に、ファイルを活用することです。どれがいつの何か、ということをはっきりさせておくだけで、すぐに必要なメモや書類を取り出すことができます。データ管理も同じで、名前を付けてフォルダ分けしておくだけで、どこに何があるかすぐにわかりますね。

 また、カバンの中はできるだけ物を少なくすると良いそうです。必要なものだけにとどめておけば、訪問先で必要な書類を取るときすぐに取り出せますし、体裁も良く見えますね。

整理整頓すれば、考えもまとまりやすくなる

 机やカバンが汚い人が必ずしも仕事ができないというわけではありません。しかし、整理整頓ができる人のほうが仕事の能率が高く、また整理することで頭をすっきりさせることもできるでしょう。

 日常でいるものといらないものを見分け、思い切って捨てていく、また整理しなおす。そうすることで考えもまとまりやすくなるのではないでしょうか。

<参考文献>
・『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』(ムーギー・キム著、東洋経済新報社)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
2

『武功夜話』は偽書か?…疑われた理由と執筆動機の評価

『武功夜話』は偽書か?…疑われた理由と執筆動機の評価

歴史の探り方、活かし方(5)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈下〉

豊臣秀次事件に対する見方を変えた『武功夜話』だが、実は偽書疑惑もある。今回は、そのことに鋭く迫っていく。『武功夜話』は、豊臣秀吉に仕えて大名まで上り詰めた前野長康の功績を中心に記された史料だが、その発表・出版の...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/28
3

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール

内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた主な要因として、二つのオウンゴールを挙げる島田氏。その一つとして台湾のモリス・チャン氏によるTSMC立ち上げの話を取り上げるが、日本はその動きに興味を示さず、かつて世界を席巻して...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/25
4

歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方

歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方

編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる

この人生を生きていくうえで、「歴史」をひもとくと貴重なヒントにいくつも出会えます。では、実際にはどのように歴史をひもといていけばいいのか。

今回の編集部ラジオでは、歴史作家の中村彰彦先生がご自身の方法論...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/27
5

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授