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DATE/ 2017.01.10

仕事を辞めるべきかどうかの判断基準とは?

 この仕事の先がみえない、自分はこのままでいいのか、といった気持ちを抱きながら歳を重ねていませんか?

 もし心当たりがあれば、一度立ち止まってじっくり考えてみてみましょう。

仕事や職場とのミスマッチなのか、単なる不満なのか

 上司とそりが合わない、会社の要求が高すぎる、できることをやらせてもらえない、などといった気持ちを抱くことはあるでしょう。そんなとき、まずは一旦冷静になって、その気持ちが単なる一時的な不満なのか、それとも本質的に職場に問題があったり、仕事や職場と自分のミスマッチであったりするのか、見極めることが大事ではないでしょうか。

 経営・人事・ITコンサルタントの安達裕哉氏(ティネクスト代表取締役)は、東洋経済のコラム上で「仕事上でガマンしないほうがいいこと」として以下の15項目を挙げています。

・働かない社長、上司の下で働き続けること
・社長の私的欲望に付き合うこと
・礼儀を欠く人と働くこと
・気の合わない人と働くこと
・社長の取り巻きがYESマンで固められている職場で働くこと
・罵声を浴びせられる職場で働くこと
・言論統制される職場で働くこと
・顧客をだまさなくてはいけない職場で働くこと
・無謀すぎる目標達成のために頑張ること
・1日5時間以上の残業を続けること
・やる気があるようなフリをし続けること
・好きになれない商品を売り歩くこと
・家族が大変なときに、仕事を優先してしまうこと
・責任の小さい仕事をすること
・不条理な顧客を相手にすること

 たしかにこれはきつい、と思わせられるものが並んでいます。いくつか職種や待遇にもよるものはありますが、これらの項目のなかで自分に多くあてはまるものがあると感じる場合、現在の職場環境や仕事は、代償を払う意味が薄いと考えていいかもしれません。

「現状維持バイアス」に早く気づくこと

 でも、いざ「現状の仕事はちょっと違うな」と気づいても、なかなか環境を変えるのは勇気もエネルギーも必要ですよね。

 ひとには「現状維持バイアス」があります。「現状維持バイアス」とは、現状を変えたほうがよりよい結果が得られることが客観的に分かっていても、現状維持でよい、という判断を下すというものです。簡単にいえば「今のままのほうが楽」という発想です。

 しかし、その発想で仕事を続けてしまうと、よりよい環境を得ることは時間の経過とともに難しくなります。「現状の仕事はちょっと違うな」という違和感は、この「現状維持バイアス」になるべく早く気づくべきだ、というシグナルかもしれません。

ときに思い切った決断をすることも一つの方法

 ただ、誰もがやりたいことを明確にもち、情熱的に、意欲的に生きなければいけないわけではありません。むしろやりたいことを明確にもてるひとのほうが少ないでしょう。

 大事なのは、自分の状況を客観的に見つめ、無理をしすぎない環境で、それなりのやりがいをもって生きていけるようになることだと思われます。そのために仕事を変える必要があるとなれば、上記に挙げたようなことを判断基準にして、ときに思い切った決断をすることも一つの方法かもしれませんね。

<参考サイト>
・東洋経済Online:会社の「辞めどき」は15のポイントで判断せよ
http://toyokeizai.net/articles/-/146697
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一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授