社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
仏教用語が語源の言葉は意外に多い?
日本という国は、島国というロケーションからか、かつては中国や韓国といった大陸から、近代では西欧文化が滞留し、日本ならではの文化として熟成させてきました。私たち日本人は、新しい情報をそのままに受け入れるのではなく、それまで培ってきた宗教観や精神性から、自分たちに都合のよい解釈をして、組み立て直して、新たな文化を創っていく、いわゆる日本ナイズしていくというプロセスを繰り返してきました。
このような和の文化の成り立ちと特性を、法隆寺管長・大野玄妙氏が10MTVの中でも解説しています。その中で、仏教伝来の仏教用語がどのように日常語になっているか、興味深い宿題が出されています。そこで、そのような仏教が語源となっている言葉をいくつか集めてみました。みなさん、どれだけご存じでしょうか?
まだまだ、たくさんある仏教語源の言葉。これらの本来の意味を調べながら、日本文化の奥深さを感じることも時には必要でしょう。
このような和の文化の成り立ちと特性を、法隆寺管長・大野玄妙氏が10MTVの中でも解説しています。その中で、仏教伝来の仏教用語がどのように日常語になっているか、興味深い宿題が出されています。そこで、そのような仏教が語源となっている言葉をいくつか集めてみました。みなさん、どれだけご存じでしょうか?
有頂天
ものすごく喜んで得意になっている人の様子を「有頂天になっている」といいます。これは、由来・語源辞典によると、仏教語で「天の中の最上にある天」を意味するサンスクリット語「bhava-agra」からの漢訳とのこと。ここから、「天の中の最上にある天に上り詰める」「絶頂を極める」という意味に転じたということです。金輪際
決して、または、もう二度と~しない、という意味で使われている「金輪際」も仏教用語です。由来・語源辞典には、「金輪」は「地下にあって大地を支える三輪の一つ」とあり、つまり大地の世界を意味するとのことです。金輪=水輪=風輪とつながっていて、金輪際とは、金輪と水輪の接する場所で、金輪のもっとも奥底を意味していましたが、「底の底まで」「とことんまで」に打ち消しの語を伴って用いられるようになりました。お釈迦になる
作り損ねた不良品、使いモノにならなくなったもの、だいなしになる、お金がなくなる状態を「お釈迦になる」と表現します。お釈迦様であることから仏教語であることはわかりやすいですが、もともとの意味はどうだったのでしょう。この場合の「お釈迦」は、花祭りに水をかけられるお釈迦様のように、裸にされるという意味からの派生と、仏師が阿弥陀さんや観音さんなど、他の仏さんの注文を受けてこしらえたはずなのに、お釈迦さんができてしまった。これでは商売にならないことから「お釈迦になった」という説もあります。退屈
何もすることがなくて時間をもてあますこと、あきること、つまらないことを意味する「退屈」もまた、仏教用語です。goo辞典(デジタル大辞泉)には、「修行の苦難に負け、精進の気をなくすこと」とあり、そこから意味が転じたようです。大衆
「大衆酒場」「大衆浴場」「大衆芸能」「大衆文学」など、一般ピープルを示す「大衆」。仏教では「だいしゅ」と読み、『古語辞典 改訂新版』(旺文社)には、「多くの僧たち。衆徒。(貴族出身ではない僧にいう)」とありました。また、ブリタニカ国際大百科事典には、「平安時代以降,主として僧兵をさすようになり,寺院組織のなかで,これにあたる衆徒,堂衆および俗兵を総称するようになった」とありました。つまり、はじめは僧一般をさしていましたが、僧兵などを「大衆」と呼ぶようになり、寺院組織のなかの一般僧、一般兵などの意味から、現在の大衆の意味になったようです。まだまだ、たくさんある仏教語源の言葉。これらの本来の意味を調べながら、日本文化の奥深さを感じることも時には必要でしょう。
<参考文献・参考サイト>
・『古語辞典 改訂新版』(旺文社)
・由来・語源辞典
http://yain.jp/
・goo辞典(デジタル大辞泉)
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/132919/meaning/m0u/
・コトバンク(ブリタニカ国際大百科事典)
https://kotobank.jp/word/%E5%A4%A7%E8%A1%86-91267
・『古語辞典 改訂新版』(旺文社)
・由来・語源辞典
http://yain.jp/
・goo辞典(デジタル大辞泉)
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/132919/meaning/m0u/
・コトバンク(ブリタニカ国際大百科事典)
https://kotobank.jp/word/%E5%A4%A7%E8%A1%86-91267
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
『武功夜話』は偽書か?…疑われた理由と執筆動機の評価
歴史の探り方、活かし方(5)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈下〉
豊臣秀次事件に対する見方を変えた『武功夜話』だが、実は偽書疑惑もある。今回は、そのことに鋭く迫っていく。『武功夜話』は、豊臣秀吉に仕えて大名まで上り詰めた前野長康の功績を中心に記された史料だが、その発表・出版の...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/28
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた主な要因として、二つのオウンゴールを挙げる島田氏。その一つとして台湾のモリス・チャン氏によるTSMC立ち上げの話を取り上げるが、日本はその動きに興味を示さず、かつて世界を席巻して...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/25
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
この人生を生きていくうえで、「歴史」をひもとくと貴重なヒントにいくつも出会えます。では、実際にはどのように歴史をひもといていけばいいのか。
今回の編集部ラジオでは、歴史作家の中村彰彦先生がご自身の方法論...
今回の編集部ラジオでは、歴史作家の中村彰彦先生がご自身の方法論...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/27
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02


