「進化」への誤解…本当は何か?
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
「進化論」対「創造論」…アリストテレスの目的論とは?
第2話へ進む
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
「進化」と聞くと、つい「進歩する」「物事が良くなる」ようなイメージを抱いてしまう。だが、生物学の考えでは、それは「違う」のだという。「生物進化」のあり方と「思想としての進化」が、実はまったく別々になってしまっているのである。では、「生物から考える進化」とは、本当はどのようなものなのだろうか。第1話では、まず、ダーウィン時代に考えられていた“transmutation”としての「進化」を踏まえたうえで、古代ギリシアからの生物についての諸々の議論を紹介しつつ、解説していく。(2025年5月15日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全9話中第1話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:9分46秒
収録日:2025年5月17日
追加日:2026年1月5日
カテゴリー:
≪全文≫

●生物の進化は進歩思想とは関係がない


―― 皆さま、おはようございます。

(会場の声) おはようございます。

―― 本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 実は今回の講義でございますけれど、2024年も長谷川先生にはこちらの同じ場所にご登壇をいただきまして、お話をいただきました。前回は「ヒトの性差とジェンダー論」というテーマで講義を行いました。ヒトの性差というものと、ジェンダーですね、社会的な意味があるジェンダーというものがどう関連するのかというような形のお話をいただいたのですが、その中で実は「進化」についてたいへん興味深いお話を先生がしてくださっており、それがどういう話かというのはぜひ(テンミニッツ・アカデミーでの配信講義を)見てのお楽しみではあるのです。

 そのことをきっかけに今回は、そもそも進化とはどういうものなのかというところでお話をいただこうと思った次第です。実は私もそうだったのですが、「進化というと、何か物事が良くなることだ」と思っておられる方はどのぐらいいらっしゃいますか。

(会場で多数の挙手があった反応を見て)……先生、こういうことです。

(会場の声) (笑)

―― 私も進化というのはてっきり良くなることかと思っていたのですが、先ほど挙げた「ヒトの性差とジェンダー論」という講義の中で、「実は違うのです」というお話がありました。特に生物学的に見たら違うのですというお話があり、そこがたいへん興味深いお話だったので、今日はそこを深掘りするということで、ぜひ講義を進めてまいりたいと思います。長谷川先生、どうぞよろしくお願いいたします。

長谷川 どうもありがとうございます。

 長谷川です。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、自然人類学という――文化人類(学)ではない――ヒトという動物がどのように進化してきたかということを考える自然人類学の出身です。

 私は人類学の立場なのだけれど、ずっと化石とか遺伝子とか、そういうことにはあまり興味がなかったのです。人間がどういうふうに行動するか、動物も含めて、生態、環境がこうなときにどういう行動をするかという、その行動の研究をしたかったので、あまり化石とか遺伝子とか、主流の人類学(の研究)はやってきませんでした。でも人類学なので、そういうことは知らければいけないから、一応全部分かってはおります。

...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
科学的思考はなぜ大切か(1)「状態図」という概念
科学的思考とは「なぜ?」を追究していくこと
岡部徹
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
IoTとは何か~モノのインターネットの本質(1)TRONは究極の「縁の下の力持ち」
坂村教授が開発したTRON―知られざる世界標準
坂村健

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(4)認知症と共生社会の実現に向けた対策
その物忘れ、認知症かも…加齢による物忘れとの違いと一番大事なこと
小川純人
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾