中東最新事情を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
真っ正直なサウジより一枚上手の老獪なイラン
中東最新事情を読む(3)イランとサウジ、どちらが上手?
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
歴史学者・山内昌之氏が引き続き、イランとサウジアラビアの対立について解説する。イランが原油増産を公言すればサウジアラビアも増産に出る。イランが経済制裁解除を手にすればサウジアラビアは核開発の意志を表明する。拮抗する中東二大国対立だが、山内氏が一枚上手と評価する国はどっち?(全7話中第3話)
時間:9分19秒
収録日:2016年1月27日
追加日:2016年2月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●石油増産で張り合う二国


 皆さん、こんにちは。

 イランが経済制裁を解除され、そして、ウィーン最終合意と呼ばれる核合意を今後順調に履行し続けるとすれば、最低1000億ドルと目されている、邦貨換算約12兆円のイランの海外資産の凍結が解除されることとなります。これは、一説には1500億ドルもあるのではないかという説もありましたが、しかし、最低1000億ドルと考えておきますと、このほとんどはイランが自由に投資や貿易への原資としてつぎ込むことができるお金になります。したがって、イラン経済は上向きになることは確かです。

 ただ、制裁解除後のイランは、何と言っても石油の輸出の問題がありまして、「輸出量を日量50万バーレル増やす」と公言しました。50万バーレル増やすということは、今、原油価格が安くなっている市場において、さらに原油安を促進するということを意味します。これには大きな意味があります。それは、原油安によってサウジアラビアという最大の産油国、アラブの盟主サウジアラビアの弱体化を図るという戦略にほかなりません。サウジアラビアの方も、ここはイランに負けていられません。やはり増産で応じながら、石油輸出国機構(OPEC)の主導権を確保することを狙っています。そこで、サウジアラビアとイランとの間には、宗派対立や政治危機に加えて、安い油価をやせ我慢する、福沢諭吉の言葉ではありませんが、まさに『瘠我慢の説』、やせ我慢する消耗戦争を当面始めたということが言えます。とはいえ、前回も最後に申し上げたように、イランの文明論と歴史観に裏打ちされた冷静かつ長期的な戦略に、いつもやや一籌(いっちゅう)を輸する、すなわち、やや譲りがちになるのは、サウジアラビアの方です。


●イランとの国交断絶後、サウジは核開発の意志を公言


 イランとの国交断絶宣言をする前、ウィーン核合意に対応したサウジアラビアの多角的な外交は、それなりに目立つものもありました。昨年2015年6月のサウジアラビアの副皇太子にして国防大臣、ムハンマド・ビン・サルマーンのロシア訪問は、象徴的でした。副皇太子のロシア訪問は、ちょうどEUとアメリカがロシアを経済ボイコットし、ウクライナ問題でモスクワを制裁している時期と重なっていました。

 このとき、サウジアラビアは、ロシアに16基の原子炉建設を認め、運用、監督において...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
中国春秋戦国時代と始皇帝(4)秦と周辺国の激烈な戦い
秦と周辺国の激戦の真実に迫る…各国の兵力と秦の戦略とは?
鶴間和幸
編集部ラジオ2026(23)上半期人気ランキングBest30
【編集部ラジオ】令和8年上半期人気ランキングBest30
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(4)5人の皇帝と現代中国
特筆すべき5人の皇帝…中国史を知らなければ現代中国もわからない
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
福田恆存とオルテガ、ロレンス~現代と幸福(4)福田恆存とは誰か?
「一匹と九十九匹と」…政治と文学の関係を問うた福田恆存
浜崎洋介