中東最新事情を読む
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
スンナ派とシーア派の宗教戦争に発展する危険性は?
中東最新事情を読む(2)イランの国際社会復帰
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
サウジアラビアとイランの対立は、スンナ派とシーア派の対立を代表するものといわれてきた。一朝一夕に始まったものではない宗派間の対立は長く冷戦状態を続けてきたが、ここへ来て、なぜ断交という一触即発の危機に及んだのか。これは世界戦争に直結してしまうのか。歴史学者・山内昌之氏に解説いただこう。(全7話中第2話目)
時間:10分44秒
収録日:2016年1月27日
追加日:2016年2月22日
カテゴリー:
≪全文≫

●中東の宗教「紛争」が「戦争」に発展する危険性


 皆さん、こんにちは。サウジアラビアとイランとの断交はまだ続いていて、国際関係における緊張要因になっています。

 スンナ派の盟主であるサウジアラビアと、シーア派の総本山ともいうべきイランは、これまでも安全保障など、国益の相対を含めて長いこと競い合ってきました。いわば、彼らはすでに冷戦状態にあったのです。そこに、2016年1月の断交が起きたわけです。

 引き続いて、私の中東滞在期間中に、サウジアラビア空軍がイエメンにあるイラン大使館を空爆したことで、イラン政府による非難が起こりました。サウジアラビア側は、「いや、その空爆はイラン大使館を目標にしたものではない。その近くを攻撃したものが、たまたま大使館のそばに着弾しただけである」と弁解をしています。

 いずれにせよ、両国がもし正面から事を構えるとすれば、これは国家間の衝突という通常の戦争のレベルにとどまりません。肥沃な三日月地帯(Fertile Crescent)という、イラクからシリア、レバノン、ヨルダン、イスラエル、エジプトまでつながる大きな舞台が絡んでくることになります。すなわち、スンナ派対シーア派という宗教紛争が、一挙に宗教戦争に発展する危険性が生じてくるのです。


●中東複合危機と第3次世界大戦の間の短い距離


 この最悪のシナリオが実現すれば、中東複合危機は第三次世界大戦への扉をストレートに開くことになると思います。そうなれば、米欧やロシアは中国とともにこれに巻き込まれ、ホルムズ海峡は封鎖されるか、自由航行が大きく制限されます。そして、日本はもとより、世界中のエネルギー供給や金融株式市場、景気動向を直撃するショックが到来することになります。

 もっとも、非常に冷静な面を持つ文明国家イランは、1月下旬のイスラム協力機構の緊急外相会議やダボス会議において、外務大臣がサウジアラビアに緊張緩和を呼び掛けていますし、アリー・ハメネイ最高指導者もサウジ大使館焼き討ちを「悪行であった」として、率直に下手人たちに対する非難声明を出しています。

 イランのハメネイ最高指導者とハッサン・ローハニ大統領は、いずれも制裁解除によるイランの国際社会復帰を優先したいものと思われます。

 サウジアラビアとイランが対立して、スンナ派とシーア派の宗教紛争が高じ、戦争のレ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
戦国武将の経済学(3)豊臣秀吉の経済政策
豊臣秀吉の驚愕の国内貿易…莫大な財力を生んだ経済政策
小和田哲男
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎