中東最新事情を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
サウジアラビアとイランの対立…背景にあるコンプレックス
中東最新事情を読む(5)イラン国内の二つの流れ
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
歴史学者・山内昌之氏によるイランとサウジアラビアをめぐるシリーズレクチャー。今回は、対サウジアラビアにみるイラン国内の大きな二つの流れについて、山内氏が解説を加える。イランはサウジアラビアの一連の行為をきっかけに、一気にシーア派革命を推し進めるのだろうか?(全7話中第5話)
時間:9分48秒
収録日:2016年2月2日
追加日:2016年3月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●イランに独特のコンプレックスを持つサウジ


 皆さん、こんにちは。前回は、サウジアラビアとイランとの関係の悪化、緊張の増大について触れてみました。特にサウジアラビアの同盟国アメリカが、サウジにとっては敵性国家と見られたイランへ傾斜するといった国際要因を含めて、サウジアラビアの政治環境がますます複雑に変化していることについて触れた次第です。

 スンナ派とシーア派の中東政治学や地政学、あるいは、宗派対立の歴史性については、アメリカ、ヨーロッパ、ひいてはロシアの国際政治感にはない独特なものが多く見受けられます。シリアにおいては、シーア派のイランが戦争の当事者であり、かつレバノンもイラクもシーア派が多数を占めています。湾岸においても、シーア派住民が多いのは周知の事実です。つまり、ペルシャ湾から地中海まで、普通の一般的な地図には決して描かれることのないシーア派イランの勢力圏が広がっているということに、サウジアラビアは敏感なのです。ムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子は、オバマ政権が中東で戦略的に重要な国としてイランを事実上認知した以上、地域安全保障と国内シーア派の反乱阻止を、自らの力で図らざるを得ない状況になっています。

 重要なのは、サウジアラビアのイランに対する独特な優性コンプレックスと劣性コンプレックスの二つを見極める点です。スンナ派の盟主を自認し、かつ7世紀の預言者ムハンマドの流れを汲んでいると自負するサウジアラビア人にとって、シーア派に対する優越感があることは言うまでもありません。その反面、長い歴史的な伝統や、歴史そのものに支えられた文明大国であるイラン、そして、それを構成している洗練された国民であるイラン人に対して、サウジアラビア人は、もちろん明示的には言いませんが、深層心理を含めて劣等感を持っていると言われています。双方の関係は、逆説と複雑なねじれに彩られていると言ってもよろしいかと思います。


●イランの複雑さの要因-スキゾフレニア


 しかし、イランの複雑さは、それ自身の内にあるということが、またこれが複雑な点です。つまり、ルーホッラー・ホメイニーの衣鉢を継いで、国際イスラム革命、国際シーア派革命の拡大に忠実な流れと、一国イスラム主義、シーア派国家として一国主義に満足し、イラン国民国家を世界市場と国際社会に戻そうとする流れとの対立とも形容で...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
編集部ラジオ2026(30)AI時代の企業と道徳
【10minで考える】CPO(最高哲学責任者)…AI時代に必須の哲学とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(2)大規模言語モデルが孕む問題
AIは頭のないオウム?…AIがAIを引用する世界に創造性はあるか?
橋爪大三郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾