中東最新事情を読む
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
シーア派VSスンナ派~セクタリアン・クレンジングの恐怖
中東最新事情を読む(7)危機の元凶・宗派対立
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
歴史学者・山内昌之氏による中東最新事情解説のシリーズ最終話は、中東に蔓延する宗派対立の脅威についてだ。宗派対立は、一度表出すると国家間の利益問題を越えて、国民レベルでの怨恨、憎悪を拡大させる厄介な側面を持っている。果たして中東秩序の回復は可能なのだろうか?(全7話中最終話)
時間:9分28秒
収録日:2016年2月2日
追加日:2016年3月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●全ての元凶はイスラム文明内の宗派と政治の対立


 皆さん、こんにちは。

 イランとサウジアラビアとの対決には、国家間の対決、安全保障をめぐる対決という側面や、油価の問題をめぐる対立という側面の他に、シーア派対スンナ派という宗派対立の側面があるということは、遺憾ながら事実です。宗派対立は両国の関係に限らず、現実にシリア問題をはじめとし、中東複合危機をますます深める原因になっています。イラクとシリアの分裂に関連するシーア派対スンナ派の対立激化は、IS(イスラム国)というスンナ派の鬼っ子を生んでしまいました。

 宗教イデオロギーに基づく政治対決と武力衝突の構図は、シリアのアサド政権やレバノンのヒズボラ、神の党の同盟国たるイランとIS、あるいは、その背後に絡むサウジアラビアとの対決で明確になったと言えます。1980年のイラン・イラク戦争で始まったシーア派対スンナ派の紛争は、次々と新しい紛争、ひいては衝突、そして戦争に発展しました。宗派と政治の絡んだ文明内の対立、すなわち、イスラムという一つの文明内における宗派と政治の絡んだ対立は、これからも進化し、深まることはあっても、和らいだり薄まることはないかと思われます。すでに触れた政治化したセクタリアン・クレンジング(宗派浄化)の恐怖は、いまや中東の広い範囲に及んでいます。言い換えれば、宗派戦争とその脅威は、もはやシリア戦争やイエメン内戦、あるいは、バーレーン紛争というものを超えてしまっているのです。


●同盟、支援体制づくりで立場維持に必死のサウジ


 2016年1月のサウジアラビアとイランとの危機は、現代中東の一番深い宗派的な断層線(セクタリアン・フォルト・ラインズ)がどこに横たわっているかを、まざまざと見せつけた事件だったと思います。サウジアラビアのサルマン国王や、皇太子、あるいは副皇太子である二人のムハンマドたちは、国の財政基盤やこれまでアメリカとの同盟に依存してきた自分の存在感が、ますます弱まることを知っています。

 順番から言えば、今回の対立に関して言えば、イランにもかなりの責任があることは申すまでもありません。これを有利に進めていくために、サウジアラビアは、新しい同盟や支援体制をつくろうと試みています。偶然と思えないのは、昨年12月末にトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がサウジアラビア...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(2)プロジェクトの複雑性とマネジメント
コスパが鍵!? 顧客満足につながる品質マネジメントとは
大塚有希子
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ